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ぼくは半蔵門線から新橋への道すがら、やっぱり苛立って ただ意味わかんないし もう遅刻している だけどどうにか しばし緊張をしながらも、三年目の東京を生きているよ。
その横顔を見たとき、ぼくは本心を看破してしまったと、 そう思った。 雨の日、 「すみません」と言うあなたを 世界は覗いていた だから、忘れよう これから仕事に戻って それから駅横に行って、立ち飲みのレモンチューハイを一杯
もっと自由だったはず。夜な夜なに吉祥寺の路上でギターを片手に歌ってはみていても。結局、ロクな奴らのいない場所だから、お酒の当てにされてポイ捨て。 ひっそりと静まった空を見ていれば、金の粉みたいなホコリがただよって。排水溝の底を見てみればひび割れた土があってさらに歌いたくなるんだ。 この夜は消えない。
遠い月を見ている夜。あのときは無自覚だったけど、こうして夜風を感じていると、隣にはきみがいて、大学のサークルを終えて帰っていたなって。 「土地に宿るものってあるよね」と言うきみ。 「お化けなんていないよ」と言うぼく。 オカルト的だったそんな会話は覚えていて、アパートに帰るしかないこの道も、やっぱり自販機でコカコーラを買いたくて寄り道をして。
答えを知っているみたい、そっけない画面の先。バラバラと世界の断片を垂れ流す、定食屋のテレビじゃなにを言っているのか。ぼくがいても変わらないみたい。 手を伸ばして。 「相手がなにを望んでいるか、」 とアナウンサーは言う。 「それを察することが答えですね」と 流行りのタレントは空気に揺らいで。 「さて、店じまい」と店主は声を上げていつもの午後三時にぼくを追い出していく。
全てのネジの穴が潰れたというのに。それでも人生のことを考えようとして、されどカップラーメンの最後の一滴のスープまでを啜る深夜アパート。 「夕方から雨が降るでしょう」と、真夜中に天気予報。 うっすらと湿気が伸びて、しばし寝むれないまま。
誰もそれを耳にしていないつもり。夏に近所のお祭りに行って、きみは「あっちにイカゲームの型抜きがあったよ」と言って。 帰りのバスで誰かの言葉が振り返れもせずなにを言っているのかも分からず、ただ揺れている。 コツンと窓ガラスを叩いた 「何が?」って。たおやかな日常に 今日はあまりいい内容じゃないね。言い訳的に逃げちゃった。でも、人々が暮らしてるなって伝えたかった。
この世界は妄想で生きていける。夜な夜なの帰りに一人でその日あったことを再現して。あの人のあの仕草はこういうことだったんだ、と。 思い出すことのない学生のときも。 自販機を見つけて小銭入れる。こんな三百円しかないこの暮らしでも、やっぱり立ち消えてくれない夜のまま。 ガコっ、トコトコ。 と、ただの水を飲みながら、しばしレインボーブリッジの観覧車を眺め。
「為替相場に惑わされて」 常の歪みに一つノックをする。いつも階段を上がって、その日も吉祥寺駅のざわめきで溜息。 ギターケースを背負った人、グローブをぶら下げた少年。 「これから資料を作ります」オフィスに戻ってキーボードを叩いていたって、「これからっしょ」と駅で喋っていた奴らの声が離れない。
「酔っぱらった影に宇宙」 何になるというのか。たまたま見かけた路地裏の壁、その深夜に朦朧とした意識で宇宙を感じる。 ふと気づくと電車の広告を見ていて。もうこの夜も終わりか。隣で「あー、ウケんだけど。」と喋っている若者、 終電でゲラゲラ笑えるなんて、その暮らしに憂いはないんだろう。