よなよな33 手にいれる
ばな子
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まみちゃんの場合、ゆっくり納得しながら、同時に瞬間でもうわかってるんだと思うのです。
だから数を経験すると、大切なものがすり減るんじゃないかと思うのです。これからもますますしなくていいというか。ただ、生きてるだけで経験って増えていくから「ああ、やっぱりそうだったか、前もこう思ったな」っていうのを増やしていって意外性を待つというか。
たとえて言うなら、私がカツ丼を10杯食べているあいだに、まみちゃんは1杯食べて、出汁のかげんとかを把握、食べたら昼寝するところだけはおんなじ、みたいな。
なんでこんなたとえを(笑)?しかもたとえでもなんでもない単なる事実だし!
私はただデーターを取りたくて、まみちゃんはしっかり把握したい、そういうことかもしれません。
私はそういう意味ではほんもののボケだから、比べないとなんにもわかんないんです。
「この店のカツ丼、最低だな」と思っても、他のおいしいのを食べないとどこがどう最低かわかんないの。最終的に「玉ねぎが生だし、出汁が『〇〇だし』。しかも米が古い」って、もうわかっていたことを、他を見て初めてデーター化できるという。そこには好奇心と取材という、職業病があるわけです。
でも、まみちゃんの人生の「母」とか「生命」とか「助ける」いう職業要素の中では、そんなことしてたら子どもたちが腐ったものに当たっちゃうから、あと自分が動けないと生命の危機になるから、仕事の上でもどう助けるべきか判断できなくなるから、咀嚼して把握、納得、っていうのがいちばんいいんです。
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よなよな、人生について意味なく語り合うばな子とまみ子。 全然違うタイプだからこそ、野生児まみ子の言うことを聞くとばな子こと小説家吉本ばなな…