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エドガー・ドガ / メトロポリタン美術館
パブロ・カザルス
チェロを始めて、彼を知った。
1973年に96歳で亡くなっているが、
けっこう録音が残っている。
単なる練習曲と思われていた、
バッハのチェロ無伴奏組曲の価値を、
再発見したことで有名。
近代奏法を確立し、深い精神性を持つ、
20世紀最高のチェリストという。
スペイン生まれと知って驚いた。
僕はチェロを弾き始める前に、
フラメンコを踊っていたからだ。
チェロとフラメンコ・ギターには、
どこか似通うところがあるのではないか。
全体を引き上げたり、引き戻したり。
彼は、第2次世界大戦の直前、
スペインで内戦が始まるとフランスに亡命。
戦後も一貫してフランコ独裁政権に強く反発し、
各国が容認すると演奏活動を停止する。
彼が亡くなった2年後の1975年、
フランコも亡くなり、民主化へと舵が切られた。
僕が生まれた後の話で、まだ50年も経っていない。
いや、50年も経ったのに。
パブロ・カザルスの偉業は、さらに輝いて見える。