ボレロ
モーリス・ラヴェルが1928年に、
バレエ音楽として作曲した。
ロシアのラフマニノフと同時期を生きた彼は、
バスク系フランス人である。
「スペイン狂詩曲」「展覧会の絵」も、
独創的で人気のある作品だが、
「ボレロ」は彼の代名詞ほどの代表作だ。
僕は子どもの頃から、
この曲の独特のリズムを気に入っていた。
各楽器、特に木管楽器の、
音色の違いを楽しめるのも、
この曲を聴き入ってしまう理由だろうか。
1995年から始まったBunkamuraの、
東急ジルベスター・コンサートは、
「ボレロ」でカウントダウンをした。
テンポがよく話題に出る。
作曲したラヴェルの指揮は遅めで、
1930年の録音は16分24秒だった。
それより遅いのは少なくて、
1981年バレンボイム指揮パリ管弦楽団が17分29秒。
ラヴェルのイメージには近いのかもしれない。
彼も10年後の91年にはロンドン交響楽団で、
15分50秒と速くなった。
90年ラトルはバーミンガム市交響楽団で16分6秒。
カラヤンがベルリン・フィルで3度録音するが、
1966年が16分9秒、1977年が16分8秒、
85年に15分46秒である。
このあたりが王道のようだ。
僕の大好きなアバドはさすが、
85年にロンドン交響楽団で14分20秒だ。
もっと早い人もいるが、
ラヴェルからは嫌われただろう。
東急ジルベスター・コンサートでは、
何度かカウントダウンで使われた。
2回目は99年に、ロイヤルを退団した熊川哲也が、
ローラン・プティ振付を踊ったのは、先に書いた。
5回目は2015年、シルヴィ・ギエム引退記念、
モーリス・ベジャール振付を踊る。
先に書いた通り、ジョルジュ・ドンが踊っていた。
映画「愛と哀しみのボレロ」だ。
僕の大好きなスペイン国立バレエ団も、
重要なレパートリーのひとつで、
よく観に行ったものである。
2005年頃、六本木のスペイン舞踊学校で、
僕はこの「ボレロ」をいつか踊るために、
アントニオ・アロンソに師事していた。
ダンサーとして、円熟期を迎えていた。