
Photo by
アルフレッド・シスレー / メトロポリタン美術館
石川遼
2008年、一人の少年が、
男子プロ・ゴルフ界に現れた。
16歳でプロ転向、ツアー2勝目、獲得賞金1億突破、
他すべてが史上最年少記録を塗り替えた神童だ。
すでに女子では宮里藍が2003年、
東北高校3年生で優勝し、
プロ転向して、2010年に世界ランク1位を掴む。
シンデレラ・ストーリーに、
いよいよ男子が挑むかと期待された。
だが2009年、2010年と、
招待されたマスターズで予選落ち。
世界の壁は厚かった。
仕事で、彼の撮影のため、
ゴルフに興味の無い先輩が、オーガスタに行った。
行きたかったけど僕は、韓国ロケで行けなかった。
今にして思えば、未曾有の彼の才能を、
広告ビジネスは台無しにしたかと不安になる。
スポンサーは彼を応援していたのは間違いない。
だが彼はまだ、十代である。
肉体はもちろん、心の成長期に、
大人の事情が踏み込んでしまった。
尾崎豊のことが、頭をよぎる。
音楽ビジネスが、彼を追い詰めた。
2011年、1歳下の松山英樹が19歳で、
マスターズでローアマチュアを獲得。
石川遼は悔しいより、ホッとしたのではないか。
好きなゴルフを、好きなだけやればいい。
今はあの時、オーガスタに行かなくて、
本当によかったと思う。
今年、松山がマスターズで優勝する。
歴史的瞬間を、明け方テレビで観ていた。
彼は先輩、石川遼からしっかり学んでいたのだ。
一昨日、東京2020の開会式。
日本はまたしっかり学んだと思いたい。