
【データ分析】2024年を振り返る ー玉村昇悟投手ー
どうも、キュプリーヌス(@cyprinus_wrc)です。
昨季に続き、今季もnoteにてデータ分析記事を上げていきたいと思います。
本日は玉村昇悟投手です。
選手詳細
玉村 昇悟 (たまむら しょうご) 投手 23歳 179cm85kg 左投左打 2019ドラフト6位
基本成績
一軍

二軍

寸評
出どころが見づらいフォームと緩急を使ったピッチングで打者を幻惑させる若手左腕。今季は一二軍合わせて127イニングを投げ、それぞれ4勝を挙げる活躍を見せた。来季は1年間先発ローテを守り抜くことが期待される。
分析
Pitch Type
一軍


二軍


ストレート・2シーム・スライダー・カーブ・チェンジアップ・フォークの6球種で構成されています。ストレートとスライダーで7割以上を占める傾向は昨季から変わっておらず、この2球種が今季も軸となっていたことが分かります。
平均球速はストレートが1.8km/h低下して141.5km/hとなるなど、全体的に低下傾向にありました。
Pitch Tempo
一軍

二軍

Tempo+/-は一二軍ともにマイナスとなっており、平均よりも早いテンポで投じていたことが分かります。Timer Equiv.も7秒台とピッチクロックが導入されても全く問題ありません。
一軍

二軍

ランナーを背負っても、傾向は変わりませんでした。今季の一軍のTimer Equiv.は16.9となっており、ランナーなし時と同じくピッチクロックが導入されても問題はない数字になっていました。
Pitch Value
一軍

二軍

一軍では2シームとスライダー、二軍ではストレート・2シーム・チェンジアップがプラスとなりました。一二軍ともに2シームがプラスとなっており、得意球としていることが推測されます。一軍では最も割合が多いストレートがマイナスとなっているため、同じ速球系である2シームの割合を増やして置き換えてもよいかもしれません。
Plate Discipline
一軍

二軍

コンタクト率・空振り率・Whiff%は一二軍ともに昨季より悪化し、平均よりも悪い数字になっていました。空振りはあまり奪えていなかったことが分かります。ただ、ゾーン率やストライク率(CSW%)は平均よりも高く、制球力は問題なかったようです。
Batted Ball
一軍


二軍


これまでの傾向通り、フライ率の方が高くなっています。奪三振が多くはないため、ゴロを打たせて取るイメージがある方も多いかもしれませんが、実際にはフライを打ち上げさせて打ち取っているケースの方が多くなっています。
一軍


二軍


Soft/Hard%が二軍ではどちらも平均よりかなり優れており、非常に優秀な被打球管理となっていたことが分かります。一方で、一軍ではSoft%は平均より優れていたものの、Hard%は悪くなっていました。フライ率が高いため、長打を浴びる確率が高くなっていた可能性が考えられます。
Advanced
一軍

二軍

二軍では多くの指標が悪化しています。特にK%がかなり低下しており、それに伴ってK-BB%も6.4%とかなり低くなっていました。二軍ではあまり良い投球内容ではなかったようです。
一方で、一軍ではK%を平均より若干高めの18.6%としつつ、BB%を3.5%とリーグで3番目の低さに抑え、K-BB%を15.9%と優れた数字にしていました。このK%とBB%の組み合わせは今季復活を果たしてオフにオリオールズへの移籍を果たした菅野と似た数字(18.3%,2.6%)となっています。この優れたK-BB%の影響もあって、tRAは2.81と防御率よりも低い数字になっています。今季の玉村の防御率は2.96と比較的優秀でしたが、それでも運が悪く、実際はもっと低い防御率になっていてもおかしくなかったようです。
Win Probability/Value

WPAとClutchがマイナスとなっています。投球内容の優秀さの割に、重要な場面ではあまり結果を残せていなかったようです。ただ、優秀な投球内容で76イニングを投げたこともあり、WARは1.2と131.2イニングを投げた九里よりも高くなっています。
まとめ
被打球管理には課題を残しているものの、とにかく与四球を減らすことで無駄な出塁を許しておらず、安打を打たれたとしても簡単には失点しないようなピッチングができていました。与四球をこれ以上減らすことはかなり難しいため、改善するとすれば被打球管理と奪空振り能力の低さでしょう。特に空振りを奪えるようになればさらに奪三振が増えてK-BB%をリーグトップクラスまで伸ばすことができるため、なんとか奪空振り能力の低さ改善に着手していきたいところです。
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