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【データ分析】2024年を振り返る ー黒原拓未投手ー

どうも、キュプリーヌス(@cyprinus_wrc)です。

昨季に続き、今季もnoteにてデータ分析記事を上げていきたいと思います。

本日は黒原拓未投手です。


選手詳細

黒原 拓未 (くろはら たくみ) 投手 25歳 173cm78kg 左投左打 2021ドラフト1位

基本成績

一軍

二軍

寸評

キレのあるストレートとカットボールが持ち味のプロスペクト左腕。今季は主に中継ぎとして一軍に帯同し、WAR0.8とキャリアハイをマークした。その潜在能力の高さから先発転向を望む声も多く聞かれるが、本人はリリーバーとしてチームに貢献することを意気に感じているようだ。来季はセットアッパーや守護神といった役割を担うことが期待される。

分析

※二軍成績はサンプル不足のため割愛させていただきます。

Pitch Type

 ストレート・カットボール・カーブ・チェンジアップ・フォークの5球種で構成されています。昨季と比較すると、カットボールが減ってストレートとチェンジアップが増加しています。カットボールは黒原の代名詞でもある球種ですが、それに頼りすぎることなく、新たな武器としてチェンジアップを多く投じていたことが推測されます。
 平均球速は、147.4km/hをマークしたストレートを筆頭に、全球種が上昇しています。中継ぎに専念したことで出力が上昇し、高速化が進んでいた可能性が考えられます。

Pitch Tempo

※ランナーなし時

 Tempo+/-はプラスに転じましたが、0.7と平均からそこまで離れているわけではなく、テンポが悪かったというほどではありません。Timer Equiv.も10.3とピッチクロックに対して余裕のある数字となっています。

※ランナーあり時

 ランナーを背負っても気にしすぎることはないようで、Tempo+/-は-0.8と平均的なテンポよりも早くなっていることが分かります。Timer Equiv.も19.0と20秒を下回っており、ピッチクロックが導入されてもそこまで苦労することはなさそうです。

Pitch Value

 フォーク以外がプラスとなりました。今季割合を増やしたチェンジアップのプラスが最も大きくなっており、新たな武器として機能していたことが推測されます。一方で、昨季二軍で3.24をマークした自慢のカットボールは、0.36と大きなプラスとはなっておらず、一線級の打者に対してはそこまで通用していなかったようです。まだまだ改良の余地があることが分かります。

Plate Discipline

 コンタクト率・空振り率・Whiff%はどれも平均よりかなり優れており、空振りを多く奪っていたことが分かります。これらの指標よりもさらに良くなったのがストライク率(CSW%)で、7%以上上昇して30.7%となり、平均よりも高くなっていました。ここまで高くなった要因は、スイング率の内訳を見ることで推測を立てることができます。スイング率自体は49.1%で昨季とほぼ同じですが、ボールゾーンが10%以上上昇、ストライクゾーンが10%以上低下と、今季は昨季と比べてボール球を振らせ、逆にゾーンの中に入れた球には手を出させていなかったことが分かります。ここが今季黒原が最も成長した部分と言ってもよいかもしれません。

Batted Ball

 これまではフライ率の方が高くなっていましたが、今季はゴロ率の方が高くなっています。フライを上げられるとその分長打が生まれるリスクが高くなるため、ゴロ率の高い今季の被打球管理が投手にとっては理想的な形となります。また、ライナー率も低く、鋭い被打球も少なくできていたことが推測されます。

 Soft/Hard%はどちらも低下して平均より低くなっていました。ただ、Soft%が平均より2.2%低いのに対して、Hard%は5.2%低くなっており、被打球管理は改善されていたと言えそうです。ゴロが多く、強い被打球が少ないという理想的な形の1つになっていました。

Advanced

 全ての指標が良化しました。また、全ての指標が平均よりも優れており、あらゆる面において優秀な投手であったことが分かります。投手にとって最も重要なK-BB%はマルティネスに次ぐリーグ4位の19.3%となっており、今季はリーグ屈指のリリーバーへと成長を遂げていたようです。この奪三振の多さ・与四球の少なさに加えて被打球管理も優秀だったことで、tRAは2.27でリーグ6位となっています。これは守護神である栗林よりも優秀な数字で、登板する場面の重要度の違いはあったものの、今季の黒原は守護神以上に優秀なリリーバーであったという見方もできます。

Win Probability/Value

 全ての指標がプラスとなりました。ただ、勝ちパターンをほとんど任せられていなかったこともあり、WPA・RE24・REWはチーム内でもそこまで高くなっていません。イニング数が少ないリリーバーがこれらの指標で先発投手を上回るには勝ちパターンを1年間守り続ける必要があるため、来季はなんとしてでも勝ちパターン入りを勝ち取りたいところです。

まとめ

 新たな武器であるチェンジアップなどを駆使しながら、K-BB%と被打球管理を良化させ、リーグ屈指のリリーバーに成長したシーズンとなりました。奪空振り能力と制球力を両立させており、能力の高さはしっかりと証明してみせました。栗林が手術明けであることと島内の今季成績が物足りないものであったことを考えると、来季は勝ちパターン入りが濃厚とも思えますが、重要な場面ではやや不安定なことと、8月末のnoteで確認した左打者の内角へ投じられないという弱点がある可能性が考えられるため、勝ちパターン入りが確定とまでは言えません。これらの弱点が克服されれば不動のセットアッパーとなれるのですが、果たして来季はどのようなピッチングを見せてくれるのでしょうか。

画像引用

データ参照


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