【データ分析】2024年を振り返る ー河野佳投手ー
どうも、キュプリーヌス(@cyprinus_wrc)です。
昨季に続き、今季もnoteにてデータ分析記事を上げていきたいと思います。
本日は河野佳投手です。
選手詳細
河野 佳 (かわの けい) 投手 23歳 175cm86kg 右投右打 2022ドラフト5位
基本成績
一軍
二軍
寸評
先発・中継ぎのどちらもこなせる本格派右腕。昨季に続いて二軍登板の方が多かったものの、今季はプロ初セーブも挙げるなど一軍での活躍も目立ったシーズンとなった。来季は一軍に長く帯同し続け、二軍の登板数を少なくしていきたいところだ。
分析
Pitch Type
一軍
二軍
ストレート・2シーム・スライダー・カットボール・カーブ・フォークの6球種で構成されています。新たに2シームを投げ始めたことにより、一軍では平均球速140km/h台の速球系の割合が60%を超えています。また、2シームを覚えた影響なのか、昨季まではストレートに次ぐ速さがあったカットボールの割合が低くなっています。左右にボールを動かして的を絞りづらくしていた可能性が考えられます。
平均球速は二軍では低下していますが、一軍では昨季とほぼ同じ数字となっています。
Pitch Tempo
一軍
二軍
一二軍ともにかなりテンポが悪くなっています。Slow%が0%となっておらず、ランナーがいないにも関わらず30秒以上の投球間隔を要するケースがあったようです。リリーバーにはテンポが悪い投手が多いですが、来季はなるべく早くすることを意識してもらいたいところです。
一軍
二軍
ランナーなしの状態で悪いことから予想はつきましたが、やはりランナーを背負うとかなりテンポは悪くなっています。Timer Equiv.は一軍が20.5、二軍は22.6とどちらも20秒を超えてしまっています。日本にピッチクロックが導入されるとすれば、ランナーありの場合の制限時間は現在MLBで用いられている18秒ではなく、昨季用いられていた20秒になるとは思われますが、河野はその20秒も超えてしまっているので、なるべく早くこのテンポの悪さを直しておきたいところです。
Pitch Value
一軍
二軍
一二軍ともにプラスとなっているのがストレートとカットボールです。投球の軸となる球種をプラスにするのが最も大切なことなので、ストレートがプラスとなっているのは良い傾向と言えるでしょう。カットボールが基本的に数字が良いことを考えると、来季はもう少しカットボールの割合を増やしてみるのも1つの手かもしれません。
Plate Discipline
一軍
二軍
一二軍で共通しているのが、見送りストライク率(CStr%)とストライク率(CSW%)が上昇しているという点です。被スイング率がともに低下しているため、見送りストライク率が上昇するのは当然と言えますが、空振り率が下がっているにも関わらず、見送りストライク+空振り/投球で計算されるCSW%が上昇しているのは一見不思議に思えます。ゾーン率も低下しているのでなおさらです。
これは恐らく、ファールで粘られるケースが少なくなっていることによるものだと思われます。ゾーンコンタクト率を見てみると、一二軍ともに昨季より低下しているため、空振り率とWhiff%が低下していた一軍でも、ゾーン内の球にコンタクトされるケースは少なくなっていることが分かります。ファールを打たれる確率が低下したことで、ストライク率は上昇していたというわけです。
Batted Ball
一軍
二軍
一二軍ともに、昨季に続いてフライ率の方が高くなっています。球種が豊富なためゴロを打たせて取るイメージがあるかもしれませんが、実際にはその逆となっているようです。縦変化量の多いストレートを投じているのかもしれません。
一軍
二軍
一軍ではSoft/Hard%がともに平均より悪く、捉えられるケースが多いことが分かります。Soft%は昨季と比べると大分改善されましたが、Hard%にはそこまで変化がありません。空振りが奪えないうえにここまでSoft/Hard%が悪くなると、自然と被安打も増えてしまいます。ここは来季改善しなければならない部分です。
Advanced
一軍
二軍
一軍では、空振り率の低さに反してK%が高く、奪三振は多かったことが分かります。BB%もK%と同じく平均より良く、K-BB%も18.1%とかなり優秀な数字になっています。ただ、やはり被打率は高く、WHIPも1.44と平均より高くなってしまっています。DERが.612と運が悪いようにも見えますが、打球管理の悪さもここには影響していそうなので一概に運が悪かったと片付けることはできないかもしれません。しかし、それでもtRAは2.47とリリーフのリーグ平均よりも優れた数字を残しているため、打球管理が改善されればセットアッパー級の投手となる可能性も秘めています。
Win Probability/Value
こちらの項目は一軍の数字のみを掲載します。
昨季よりは良化していますが、WPAやClutchはマイナスとなっており、まだ重要な場面で結果を残せてはいないようです。Advancedでは優秀な数字を残していましたが、緊迫した場面での登板が増えるとその数字が悪化してしまう可能性も考えられます。来季、勝ちパターンでの起用が増えた場合にどのような数字を残すかに注目しておきたいところです。
まとめ
空振り率の低さや打球管理の悪さなど改善点も多くありましたが、それでもK-BB%やtRAは優秀な数字となっていたため、それらの改善点も伸びしろと捉えることができるでしょう。もし、空振り率を高め、Soft/Hard%も良い数字に抑えることができれば、栗林やハーンに次ぐリリーバーとなる可能性も秘めています。あるいは、先発ローテの一角として機能するような投手にもなれるかもしれません。個人的に、来季特に注目したい投手の1人です。
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