【データ分析】2024年を振り返る ー栗林良吏投手ー
どうも、キュプリーヌス(@cyprinus_wrc)です。
昨季に続き、今季もnoteにてデータ分析記事を上げていきたいと思います。
本日は栗林良吏投手です。
選手詳細
栗林 良吏 (くりばやし りょうじ) 投手 28歳 177cm87kg 右投右打 2020ドラフト1位
基本成績
寸評
誰もが認めるカープの絶対的守護神。昨季は初の二軍落ちも経験するなど苦しいシーズンとなったが、今季は防御率1点台、キャリアハイの38Sを挙げて日本人最速で100セーブを達成するなど本来の姿を見せてくれた。オフには右肘にメスを入れたが、来季も開幕から守護神は譲らないつもりだ。
分析
Pitch Type
ストレート・カットボール・カーブ・フォークの4球種で構成されています。今季はストレートの割合を減らし、同じ球速帯のカットボールに置き換えていたようです。さらにフォークの割合も増えており、最も割合が多いのはストレートではなくフォークとなっていました。失点を減らすためには最も得意としている球種を多く投げるべきなので、今季の栗林の投球割合は理にかなっている可能性が高いと言えるでしょう。
平均球速は、ストレートが2.2km/h低下の148.5km/h、カットボールが1.6km/h上昇の144.0km/hとなり、2つの球種の球速差は4.5km/hとなっていました。以前よりストレートとカットボールの見極めが難しくなっていた可能性が考えられます。
Pitch Tempo
Tempo+/-は7.2と平均よりかなりテンポが悪くなっており、Timer Equiv.は16.8とピッチクロック違反となる数字になっています。投球テンポは見直す必要があるようです。
ランナーを背負っても傾向は変わらず、Tempo+/-は5.1、Timer Equiv.は24.9となっています。クローザーという役職上多少仕方ない部分はありますが、慎重になりすぎている感は否めません。
Pitch Value
ストレートとフォークがプラスとなりました。Pitch Typeにて失点を減らすためには最も得意な球種を多く投げるべきと述べましたが、最もValueが大きいのが最も割合の多いフォークとなっており、やはり今季の栗林は理にかなった投球割合になっていたと言えます。2番目に割合が多かったストレートが2番目に大きいValueになっているのでなおさらです。来季もこの傾向は続いていくことでしょう。
Plate Discipline
コンタクト率・空振り率・Whiff%はいずれも平均よりかなり優れており、今季も奪空振り能力は遺憾なく発揮できていたようです。ストライク率(CSW%)は32.6%でキャリアハイとなっており、制球力はキャリアハイのWARをマークしたルーキーイヤーよりも上だったと言えそうです。
Batted Ball
ルーキーイヤーから一貫してゴロ率の方が高くなっています。フライを上げられると長打になるリスクが高まるため、投手としてはこれが理想の形であると言えるでしょう。
Soft/Hard%ともに上昇し、平均より高くなっています。特にHard%はかなり高く、強い打球を打たれるケースが今季は多くなっていたようです。ゴロ率が高いとはいえ、やや不安のある被打球管理となっていました。
Advanced
全ての指標が良化しました。BB%は7.5%でキャリアハイとなっており、K-BB%も22.9%と平均を10%以上上回る優秀な数字を残していました。被打率も.173と2年ぶりに1割台に戻しましたが、DERが.758と高く、多少の運の良さもあったことがうかがえます。ただ、tRAは2.36でリーグ9位と充分優秀な数字を残しており、リーグ屈指のリリーバーであったことを疑う余地はありません。
Win Probability/Value
全ての指標が良化しました。WPAは2.72で大瀬良に次いでチーム2位となっており、やはり重要な場面で結果を残していたことが分かります。WARは0.6となっており、チームへの貢献度は1勝に満たないようにも見えますが、得点期待値の増減を基にした勝利貢献であるREWでは1.21となっており、場面の重要度も加味すると1勝分以上の貢献ができていたと言えそうです。
まとめ
ルーキーイヤーほどの内容とまではいきませんでしたが、フォークの割合を最も多くするというモデルチェンジと、制球力の向上もあってチームの絶対的守護神に返り咲きました。不安材料は被打球管理がやや悪いことくらいで、今すぐに解決しなければならないような課題は見当たりません。WPAやREWを見ても重要な場面で結果を残してきたことは明らかですが、栗林本人は9月のジャイアンツ戦で炎上したことに対する悔しさを何度も口にしており、守護神として責任を感じていたことが伝わってきます。来季は最後まで納得する成績で走り抜け、歓喜の輪の中心で満面の笑みを浮かべる栗林を見れることを願うばかりです。
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データ参照