同じことを考えていた二人 【企画参加】
今月のうりもさんのスタエフテーマ
『友達のこと』
就職して数日経った夜。
急にKちゃんの声が聞きたくなった。
特別なことがあった訳でもなく、ただなんとなく話したかった。
携帯電話もまだ普及していない時代。
彼女の家の電話番号をプッシュ。
すると、ワンコールもなく、いきなり繫がった。
「えっ!」
思わず声が出た。
受話器の向こうからも同じ言葉が。
そう。同時に電話をかけたのだ。
一秒も違わずに。
こんなことってある?
約束したわけでもないのに。
たとえ同じ時間にかけようとしても
ボタンを押すタイミングを揃えるのは難しい。
その相手が、彼氏だったら間違いなく運命を感じる瞬間になったに違いない。
そして、同時に
「何で?」と発した。
理由も同じだった。
ただ声が聞きたくなっただけ。
彼女とは、このようなことが何度かある。
同じ日に手紙を投函したり。
読んでいる本が同じだったり。
それは出会って40年になる現在でも時々おこる。
先日も元気にしてるかな〜?と思っていたら
LINEの通知音が。
スマホの画面には、KちゃんからのLINEのお知らせ。
こんなにもタイミングが合う二人。
そんな私たちだが、同じ人を好きになったことは、
一度もないのである。