【すっぱいチェリーたち🍒】 スピーンオフ 千代子編 #3
クリスマスまでの創作活動。
学園モノ妄想物語
▼ プロローグはこちら。
今回は、哲子&友美たちとの話
わたしの名前は千代子。
哲子の妹、友美ちゃんがのど自慢大会に出ることが決まったんだって。
衣装選びの協力をお願いされて、調子よく返事をしちゃったんだけど、哲子に褒められた袴は、波都子とフグちゃんが選んでくれたのよねぇ。
なので、全く自信がないから波都子と圭子も誘っちゃった。
フグちゃんちのレンタルショップ近くに、男子校があって、商店街で夕方にイケメンに会うことが多いと彩子にも話したら、もちのろん一緒に来てくれることになったんだよね。
三人が一緒なら友美の衣装はバッチリだわ。
それにフグちゃんのお店、同級生だからかお値段もサービスしてくれちゃうので助かるのよ。
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「ねぇフグちゃん、もっと明るめの方がいいかも」
波都子は、気に入ったものが見つかるまで妥協はしないタイプ。
テレビ放送されるのであれば尚さらである。
哲子も可愛い妹のために店内を歩き回っている。
「ね〜千代子、友美ちゃんって何時に来るんだっけ?」
「ボイストレーニングが終わってからだと17時過ぎるかも」
「友美ちゃんが来るまで、哲子が代わりに着てくれない?イメージつかみたいの」
「わたしが?まぁいいけど」
「千代子、代わりにフグちゃんと一緒に他の色も探してきてくれない?」
「オッケー」
そういえば、彩子と圭子は何をしているんだろう?
彩子は、飽きて外に男子学生を見に行きたくなっていた。
圭子は、途中で見かけたバイクショップが気になっていた。
そんな二人が、そっと店から出ようと扉を開けた途端、なにやら聞き覚えのある声が通りからしてきた。
「文化祭でのバンドが終わったら俺たちモテモテのはずなのに、だーれも告白してこないってどういうこと?」
「それな。きっとみんな恥ずかしがってるんやろ。クリスマスにプレゼントを渡しながら告白ってパターンかもな 」
超ポジティブ思考の盛男と阿久である。
盛男の声がしたとたん哲子の表情が一瞬曇った。
「哲子、あのことは気にしなくていいと思うよ」
千代子が気を遣って言葉をかけた。
「そうそう。盛男は、すごくいい奴なんだけれど、彼氏ではなく友達って感じだもんね」
と、波都子もフォローする。
「彩子だって盛男をフッたけれど、あーやって普通に喋ってるじゃん。哲子も普通にしていれば大丈夫だよ」
「でも、それができなくて」
「まぁーいまに盛男の方から話しかけてくるんじゃない?」
フグちゃんが優しく哲子の肩をたたく。
「それよりも早く衣装を決めなきゃ!」
「波都子、ちゃんと予算も考えて選んでよぉ」
計算が得意な千代子が、頭の中でそろばんを弾いている。
「わかってる、わかってるって。ポイントも貯まっているから安心して」
「今、会員セール中でーす」
と、フグちゃん。
外では、のど自慢大会の話を聞いた阿久と盛男が
「友美ちゃんの親衛隊、俺たちで作っちゃう?」
と、ノリノリである。
(盛男が友美を好きにならなきゃいいけれど)
ハロウィーンの夜にお菓子をあげた女の子が、実は友美だったとは、二人は夢にも思っていないのであった。