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飲酒検知器を使用する際に注意を!

青ナンバーの自動車運送事業者はもとより、2,022年10月からは白ナンバーの安全運転管理者にも運転者の飲酒の有無を確認する義務が明確化された。飲酒検知器を使用する場合に注意しないと・・・・


|はじめに

千葉県八街市で飲酒運転の「白ナンバー」の自家用大型トラックにはねられ小学生5人が死傷した悲惨な交通事故(令和3年6月28日発生)が発生した。

緑ナンバーの事業用自動車については、運行管理者の義務としてアルコール検知器を使用した飲酒検査が2011年5月から義務付けられている。
しかし八街市の事故の対象となった自家用大型トラックなど白ナンバー事業者についても運送事業者と同様に、飲酒運転防止の観点から、安全運転管理者等の業務として、運転前後の運転者の状態を、目視及びアルコール検知器を使用して酒気帯びの有無を確認することなどが2022年10月から義務化された。

|自動車運送事業者の義務

事業用自動車の運転者の飲酒運転を根絶するため、2011年(平成23年)5月1日より、自動車運送事業者が運転者に対して実施することとされている点呼において、運転者の酒気帯びの有無を確認する際にアルコール検知器を使用することとされた。

➤ 対象事業者
この対象となる事業者は
・ 一般旅客自動車運送事業者
・ 特定旅客自動車運送事業者
・ 一般貨物自動車運送事業者
・ 特定貨物自動車運送事業者
・ 貨物軽自動車運送事業者
これらの他、貨物自動車運送事業法第三十七条第三項の特定第二種貨物利用運送事業者も対象となる。

➤ アルコール検知器の備え付け義務
・ 営業所ごとにアルコール検知器を備える。
・ 遠隔地で乗務を終了または開始する場合には、運転者に携帯型のアルコ
  ール検知器を携行
させる。

➤ 点呼時の運転者の酒気帯びの有無の確認の際のアルコール検知器の使用
・ 乗務の開始前、終了後等において実施することとされている点呼の際
  に、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子を目視等で確認するこ
  とに加え、アルコール検知器を使用することにより、運転者の酒気帯び
  の有無を確認する。

➤ アルコール検知器の保守
運行管理者はアルコール検知器を故障がない状態で保持しておくために、アルコール検知器の製作者が定めた取扱説明書に基づき、適切に使用し、管理し、及び保守するとともに、次の事項を実施しなければいけない。
 ⇒ 毎日確認すること
  ・ 電源が確実に入ること。
  ・ 損傷がないこと。
※ 遠隔地で乗務を終了または開始する場合等、アルコール検知器を運転者
  に携行させ、又は自動車に設置されているアルコール検知器を使用させ
  る場合にあっては、運転者が所属営業所を出発する前に実施すること

 ⇒ 少なくとも週1回以上確認
  ・ 酒気を帯びていない者がアルコール検知器を使用した場合に、アル
    コールを検知しない
こと。
  ・ アルコールを含有する液体又はこれを希釈したものを、口内に噴霧
    した上でアルコール検知器を使用した場合に、アルコールを検知す  
    る
こと。

などが定められている

|安全運転管理者等(自家用自動車関係)

一方白ナンバーの自家用自動車を一定台数以上使用する事業者は安全運転管理者等を選任しなければならないが、選任された安全運転管理者の義務として運送事業者と同じように運転者の飲酒運転を防止するために、飲酒の有無の確認をしなければならないことされている。

➤ アルコールの検知器の使用等(2022年10月施行)
(1)運転前後の運転者の酒気帯びの有無をアルコール検知器を用いて確認すること。
(2)アルコール検知器を常時有効に保持すること。

➤  対面で確認できない場合等の措置 
目視でのチェックやアルコール検知器を使用するチェックは対面で行うことが原則である。しかし必ずしも対面で実施できない場合もある。

スマホを利用したアルコール検知と点呼イメージ

○ 対面での確認が困難な場合
直行直帰や運転者が遠方にいる時など対面が困難な場合、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させたうえで 安全運転管理者がカメラやモニターを通して運転者の顔色、応答の声の調子等とともにアルコール検知器の測定結果を確認する。

○ 運転者の顔色等を確認すること自体が困難な場合
携帯電話や業務用無線その他の運転者と直接対話できる方法によって、安全運転管理者が運転者の応答の声の調子等を確認するとともに、アルコール検知器での測定結果を報告させる。

| アルコール検知器について

アルコール検知器は常に正常に作動するような状態であるよう点検・管理しなければならない。
アルコール検知器には、酒気帯びの有無が「音」、「色」、「数値」などで確認できるものなどがあるが、精度の低い商品から精度の高い商品まで、またクラウドやインターネットを活用した機器もある。

検知器の精度が低いと結果として飲酒運転を見落とすことにつながる可能性がある。
また、アルコール検知器協議会が設けている基準に適合した製品(JBマークが貼付)が推奨されている。

|アルコール検知器の使用上の注意

アルコール検知器を使用することで飲酒運転を防止することにつながるのであるが、正しく適正に使用することが求められる。
点検され正しく作動された機器でないとせっかくの義務化の効果が得られないことになる。

➤ アルコール検知器には使用期限がある
メーカーによって違いはあるが、使用回数や使用年数に制限があり一定限度を超えてしまうと正しく作動しないことがあるという。
最近では事業所だけではなく、個人で使用する人も増えているが、使用する機器の取扱説明書などをよく読んで対応することが必要だ。

正常に作動するアルコール検知器を使用しないと、思わぬ落とし穴となることがある。

○ 製品によっては、1年経過もしくは測定が一定回数(2000回や5000回などメーカ製品による)を超えると製品寿命となるものもある。

○ アルコール検知機を起動した際に「センサー寿命」ランプが表示される製品もあり、点灯すると買替が必要となる場合もある。

○ 測定結果をクラウドにアップしスマートフォンアプリを使用する機器の場合に、接続中のデバイスで使用回数と使用期限が確認できるものもある。

○ 1年〜1年半使用するとセンサー交換・修理、買換えとなる製品もある。

など、それぞれの機器(製品)によってことなるのでメンテナンス時期などを誤らないにすることが肝要だ。

|おわりに

飲酒運転をした場合は運転者だけでなく、企業への責任が問われ、企業の社会的信頼が失墜いすることになる。
自動車運送事業者及び安全運転管理者等選任事業所などは、業務中はもとより従業員の通勤等における飲酒運転の防止に、企業の責任としてしっかり対応することが必要である。

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