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高齢者の犯罪(犯罪白書より)

犯罪白書によると、高齢者の人口が増加する中、高齢者の犯罪はやや減少傾向にあるようだが、高齢者率は高いという。少しひもといてみました。


|犯罪白書とは

犯罪白書は、犯罪の動向や犯罪者の処遇の状況について、統計資料等に基づいて紹介しているものです。 昭和35年から、法務省法務総合研究所により毎年発刊されており、犯罪対策を検討するための基礎的な資料としての役割を担っているもの。

|人口推計(高齢者数)

我が国の総人口は、令和4年10月1日現在、1億2,495万人で、高齢者人口は65歳以上では3,624万人(総人口に占める割合は29.0%)であり、70歳以上では2,870万人(同23.0%)である(総務省統計局の人口資料のうち、人口推計による。)。

|高齢者犯罪の動向
年齢層別の刑法犯検挙人員及び高齢者率(刑法犯検挙人員に占める高齢者の比率をいう。)の推移(最近20年間)を総数・女性別に見ると、4-8-1-1図のとおりである。

高齢者の検挙人員は、平成20年にピーク(4万8,805人)を迎え、その後高止まりの状況にあったが、28年から減少し続けており、令和4年は3万9,144人(前年比5.1%減)であった。

このうち、70歳以上の者は、平成23年以降高齢者の検挙人員の65%以上を占めるようになり、令和4年は77.4%に相当する3万283人(同3.9%減)となった。

しかしながら、総数に占める高齢者の割合である高齢者率は、他の年齢層の多くが減少傾向にあることから、ほぼ一貫して上昇しており、平成28年以降20%を上回り、令和4年は23.1%(同0.5pt低下)となった。

犯罪白書R5年より

|高齢者の刑法犯検挙人員の罪名別構成比

4-8-1-3図は、令和4年における高齢者の刑法犯検挙人員の罪名別構成比を男女別に見たものであ る。全年齢層と比べて、高齢者は窃盗の構成比が高いが、特に、女性高齢者は、約9割が窃盗であ り、そのうち万引きによるものの構成比が約8割と顕著に高い。

犯罪白書R5年より

|高齢女性の動向

女性高齢者の検挙人員は、平成24年にピーク(1万6,503人)を迎えた後高止まり状況にあったが、28年から減少し続けて、令和4年は1万2,289人(前年比6.6%減)であった。

このうち、70歳以上の女性は、平成23年以降女性高齢者の検挙人員の7割を超えるようになり、令和4年は82.5%に相当する1万136人(同6.4%減)となった。

女性の高齢者率は、平成10年から平成29年(34.3%)まで上昇し続けた後は横ばいで推移し、令和4年は33.2%(同0.3pt低下)であった。

刑法犯検挙人員の人口比の推移(最近20年間)を主な罪名別で見るとともに、これを年齢層別で見ると、4-8-1-4図のとおりである。

犯罪白書R5年より

|検察による起訴率

令和4年の起訴猶予率を罪名別に見るとともに、これを年齢層別に見ると、4-8-2-1図のとおりである。

刑法犯及び特別法犯(道交違反を除く。)における65~69歳の者及び70歳以上の者の起訴猶予率は、他の年齢層より高く、特に70歳以上の者では全体の起訴猶予率よりも12.0pt高い

このうち刑法犯で見ると、件数の多い窃盗の後記の状況を受けて、高齢者の起訴猶予率は、全体で他の年齢層より高く、特に70歳以上の者では全体の起訴猶予率よりも11.5pt高い

罪名別で見ると、65~69歳の者の起訴猶予率は、傷害、暴行共に他の年齢層と比べて低かった。

70歳以上の者の起訴猶予率は、傷害では、他の年齢層よりも高かったが、暴行では、65~69歳、50~64歳の者に次いで低かった。

窃盗について、更に男女別に見ると、70歳以上の男性の起訴猶予率は、他の年齢層よりも顕著に高く、女性の起訴猶予率は、年齢層による差が男性ほど大きくないものの、70歳以上の者は他の年齢層よりも高い

犯罪白書R5年より

|矯正

4-8-2-2図は、年齢層別の入所受刑者人員及び高齢者率(入所受刑者に占める高齢者の比率をいう。以下この項において同じ。)の推移(最近20年間)を見たものである。

高齢入所受刑者の人員は、平成28年(2,498人)に元年以降で最多となった後、29年以降は2,100人~2,200人台で推移していたが、令和4年は2,025人(前年比9.3%減)で、平成15年と比べると約1.5倍であった。

70歳以上の入所受刑者人員は、同年と比べて約2.8倍と、増加が顕著である。他の年齢層の多くが減少傾向にあることから、高齢者率は、上昇傾向にあり、令和4年は14.0%で、平成15年と比べて9.7pt上昇した。


女性の高齢入所受刑者の人員も、増加傾向にあったが、平成29年(373人)をピークとして、30年以降は290~330人台で推移しており、令和4年は333人(前年比1.5%増)で、平成15年と比べると約3.3倍であった。

70歳以上の女性の入所受刑者人員は、20年以降に大きく増加し、22年以降は一貫して65~69歳の女性の入所受刑者人員を上回り、25年以降は180~240人台で推移していたが、令和4年は256人(前年比8.5%増)で平成元年以降最多となり、平成15年の約5.4倍であった。

女性の高齢者率も、上昇傾向にあり、令和4年は21.4%で、平成15年と比べて16.0pt上昇している。

犯罪白書R5年より

4-8-2-3図は、令和4年における高齢の入所受刑者の罪名別構成比を男女別に見たものである。罪 名別構成比について全高齢者で見ると、窃盗が最も高く、次いで覚醒剤取締法違反と道路交通法違反 が同率であった。女性高齢者は、男性高齢者と比べて、窃盗の構成比が顕著に高い。

犯罪白書R5年より

|おわりに

以上高齢者の犯罪(R5年)について要約して記載しました。
高齢者は窃盗の構成比が高く、特に、女性高齢者は、約9割が窃盗であ り、そのうち万引きによるものの構成比が約8割と顕著に高いという状況があるようです。
このことは、家事を司る女性特有の犯罪なのであろうか・・・と考えるところであるが定かではない。
いずれにしても高齢の女性の万引き事犯が多いという傾向にあり、かつ窃盗罪により服役する人の割合が多いことが注目すべき事情ではないでしょうか?

https://www.moj.go.jp/content/001410095.pdf


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