本当にメリットがあるの?「屋根のせ太陽光発電」
東日本大震災以降、新築または現存の家にも屋根にソーラー発電装置が付いている家が増えた。一方、業者の訪問販売、売り込みが多くなった。
また、地方に行くと直近まで山林や田畑だったところに太陽光発電装置が設置されている状況がよく目に入る。
しかしどうでしょうか?本当に、太陽光発電は効果があるのか?特に屋根のせ太陽光発電は効果的なのか?
|太陽光発電とは
太陽光発電は、シリコン半導体などに光が当たると電気が発生する現象を利用し、太陽の光エネルギーを太陽電池(半導体素子)により直接電気に変換する発電方法。
|太陽光発電の種類
太陽光発電の方式はほぼ同じであるがまず太陽光発電を、大きく2つに明確に区別できる。
○ 野立ての太陽光
メガソーラーなど山林を切り開いて造成土地に設置するものを「野立ての太陽光」といわれている。ただ新たな適地が減ってきている中で、大幅な増加が難しくなっていると言われてる。
○ 屋根のせの太陽光
建物の屋根に太陽光発電用のモジュールを設置するもので「屋根のせの太陽光」といわれている。
これはまさに住宅の屋根の上にのせる方式なので、太陽光発電のための新たな土地が必要ない。他にも様々な利点が多いといわれている。
|太陽光発電の国内導入量
太陽光発電の日本における導入量は、近年着実に伸びており、2016年度末累積で4,229万kWに達した。
企業による技術開発や、国内で堅調に太陽光発電の導入が進んだことにより、太陽光発電設備のコストも着実に低下しているという(下表)。
|屋根のせ太陽光発電のメリット
屋根のせ太陽光発電のメリットとしては以下のようなことが挙げられている。
①電気代が削減できる
太陽光発電の電気が使えるので実質鉄器いな電気代が安くなる。節電意識が高まる。
②売電収入が得られる
発電した電気は家庭内で使用でき、余った分は売電することが可能
③再エネ賦課金が削減できる
電気使用料だけでなく、再エネ賦課金も削減でき
④停電しても電気が使える
⑤寿命が長い
パワーコンディショナーは15年程度で交換が必要であるが、パネルの出力保証の期間は25年間とながい。
⑥夏涼しく、冬暖かい
太陽光発電パネルによって夏の強い日差しが遮られ涼しく、冬は暖かい。
⑦蓄電池と相性が良い
太陽光発電の単体設置もできるが蓄電池セットもOKで活用範囲が広がる
⑧環境にやさしい
二酸化炭素排出量を低減できる
そのほか、「エコキュート、IHと相性が良い」、「補助金を使える場合がある」、「ZEHの認定を受けられる」などが揚げられている。
|屋根のせ太陽光発電のデメリット
デメリットしては以下のようなことがいわれている。
①設置費用が高い
導入費用は年々安くなっているが、それでも高額の初期投資が必要。
なお、補助金や専用ローンなどがあり活用することも可能。
②反射光トラブルのリスクがある
太陽光発電パネルからの反射光が「暑い」「まぶしい」などで近隣トラブル、訴訟もある。
③発電量が天候に左右される
天候が悪いと発電量が著しく現象。
④定期的メンテナンスが必要になる
定期点検を行うこと、パソコン交換などが必要になる。
⑤出力制御が起きる可能性がある
出力制御が起こると太陽光発電がせっかく発電しても電気を売れない可能性がある。
⑥詐欺・騙されるリスクがある
悪徳事業者や詐欺業者などが横行しており、言葉巧みに騙すことがある。
⑦雨漏りなど施工不良のリスクがある
施工業者によっては、雨漏りや電気系のトラブルが発生するリスクがある。
⑧屋根にパネルの重さがかかる
パネル1枚が15~20kg程度あり、一般的な住宅だと20~25枚程度設置するので300~500kg近くになる。既存の屋根の上にプラスしてこの重力がかかることになるので重いだろう。
そのほか「設置に向いていない家がある」、「確定申告、固定資産税が必要になる場合もある」、「パワーコンディショナーの設置場所が必要」、「業者の倒産リスクがある」、「試乗、試着ができない」などのデメリットもあるという。
|デメリットの考察
上記のようなデメリットが一般的にいわれているところではあるが、私はもう二点感じている。
👉ひとつは、屋根のメンテナンスの問題だ。
通常、屋根の塗り替えなどのメンテナンスは10~15年であり、清掃と塗り替え、補修などを行うことになる。
太陽光発電モジュールパネルをのせていると、太陽や紫外線の影響は少ないが、降雨や降雪の影響はのせてない部分とに大きな差異は無いようだ。
太陽が当たらないことから、降雨等で濡れた屋根の湿気がのこり乾燥するまでに時間を要することになり屋根材の傷みが生じることもある。
メリットにあげたようにモジュールパネルは寿命が長く約25年も屋根にのせたままになり、屋根のメンテナンスができない。
👉二つ目が「モジュールパネルの廃棄の問題」。
太陽光モジュールパネルには有害物質である鉛などがわずかだが含まれている。そのため廃棄の際に環境負荷が問題になるともいわれている。
まだまだこれらの処理施設が少なく、今後、廃棄する時期が来た場合に、確実に適正に廃棄処分や再生「リユース」ができるのかということだ。
繰り返し使えるとはいわれている。今のところは廃棄するモジュールパネルがまだ少ない。しかし前記のグラフのように設置数が急激な右上がり状態にあるので、これが一斉に廃棄の時期をむかえても対応できるような準備が必要であろう。
|固定価格買取制度(FIT)
固定価格買取制度(FIT)とは、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付ける制度のこと。
対象となる再生可能エネルギーは、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電の5つであり太陽光発電もそのひとつ。
これにより、売電収入が得られる等のメリットにつながっている。
|本当にお得?
太陽光発電の余剰電力の買取価格の1kWhあたりの単価は、FITが開始した2012年には42円、しかし2023年現在では16円だ。
この数字だけをみると電気を売ってもあまりもうからないのかと推察する。
太陽光発電システムの価格は安くなっているというが、ちょっと前にシステムを設置した人にとっては予想外の買価格かも。
売るということより自分で使う、そのことで電気代を低く抑えると考えた方が良いのかもしれない。
|おわりに
太陽光発電システムを個人宅で導入し、屋根にのせることは本当に必要なのか?疑問を感じている。
隣家の屋根をみるとかなりこのシステムを導入しているようだが、メリットがあるという人とないという人がいる。
このあたりは個々の方の生活、家族数などにもよるかもしれない。
そしてシステムをのせた屋根のメンテや廃棄処分方法やその費用などについては考え邸内人も多いようだ。
個人的には余りメリットを感じないので未だシステムの導入はしていない。
参考資料:
資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/about/index.html