
ドローンも規制が厳しくなってきた
ドローンは単なる趣味や遊びの世界だけではない。いまや商業としても成り立っている。しかし様々の問題も発生していることからドローン飛行に関して規制が厳しくなってきているのでちょっとヨミときます。
|ドローンとは
ドローンは、元々は軍事用として使用されていたもので、無人車両や無人航空機、無人船舶などを総称して「ドローン」と呼んでいたという。
2010年以降現在のような無人操作の飛行物体のことを「ドローン」というようになった。
2015年には、航空法が改正され「無人で、遠隔操作または自動操縦で飛行できるもの」とされ、政令で機体の大きさ等が定められた。
そして2022年12月からは機体重量が100g以上のものに規制対象が強化され、ドローンを飛行させるために必要な技能(知識や能力)を証明する資格制度として「無人航空機の操縦者技能証明制度(操縦ライセンス制度)」が開始された。
|ドローンに関する法律
ドローンの飛行に関しては、いろいろな法律が関係しており、主なものとしては、航空法、小型無人機等飛行禁止法、民法、電波法、道路交通法、都道府県、市町村条例などがある。
ドローンに関する主管省庁は国土交通省になり、ドローンも「航空法」によって定義されている。
また、無線操縦には電波を使用することから、総務省の管轄となる電波法、飛行エリアの禁止規制については警察庁所管の小型無線等飛行禁止法も関係している。
|航空法による規制
航空法でドローンは、「無人航空機」と定義されているなかに含まれ、一般的な形状のドローンは「回転翼航空機」という分類になる。
この法律では、ドローン機体の登録の義務、操縦資格などが規定されている。
なお、この法律の規制の対象となるドローンは、現在は100g以上の重さ(バッテリー重量含む)のものが航空法の対象となっている(2022年12月)。
第2条22項
この法律において「無人航空機」とは、航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であつて構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)をいう。
なお、国土交通省令では100g未満の重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)のものを除くとされているため、この種のドローン操縦には免許等の資格、機体の登録は不要ということになる。
この規定にいう「無人航空機」には、いわゆるドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプター等が該当する。
👉 航空法上の飛行禁止空域等の規制
航空法では飛行の禁止空域(法第132条の85)及び飛行の方法(法第132条の86)が定められている。
禁止空域での飛行の際には許可が必要であり、また飛行の方法については承認行為となっている。主なものは
・空港周辺での飛行
・地表から150m以上上空での飛行
・人口集中地区(DID地区)での飛行
・緊急用務空域での飛行
・夜間(日没後)の飛行
・目視外飛行
・第三者、第三物から30m以内の飛行
・イベント会場上空
・危険物の輸送
・物件投下(ドローンから物を落とす)
などであり、規制に当てはまる飛行をする場合には航空局に許可や承認が必要になる。
なお、100g未満の重量のものを、空港等周辺で飛行させることや、高高度で飛行させることは、「航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為」として、航空法第134条の3の規制を受け、飛行の許可等が必要となる可能性がある。つまり、重量や大きさに関わりなく飛行が禁止されているということだ。
(飛行の禁止空域)
第百三十二条の八十五 何人も、次に掲げる空域においては、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合(立入管理措置(無人航空機の飛行経路下において無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者の立入りを管理する措置であつて国土交通省令で定めるものをいう。以下同じ。)を講ずることなく無人航空機を飛行させるときは、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合に限る。)でなければ、無人航空機を飛行させてはならない。
一 無人航空機の飛行により航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるものとして国土交通省令で定める空域
二 前号に掲げる空域以外の空域であつて、国土交通省令で定める人又は家屋の密集している地域の上空
2 何人も、前項第一号の空域又は同項第二号の空域(立入管理措置を講ずることなく無人航空機を飛行させる場合又は立入管理措置を講じた上で国土交通省令で定める総重量を超える無人航空機を飛行させる場合に限る。)においては、同項に規定する場合に該当し、かつ、国土交通大臣がその運航の管理が適切に行われるものと認めて許可した場合でなければ、無人航空機を飛行させてはならない。
3 第一項に規定する場合において、立入管理措置を講じた上で同項第二号の空域において無人航空機(国土交通省令で定める総重量を超えるものを除く。)を飛行させる者は、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保するために必要なものとして国土交通省令で定める措置を講じなければならない。
4 前三項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合には、適用しない。
一 係留することにより無人航空機の飛行の範囲を制限した上で行う飛行その他の航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保することができるものとして国土交通省令で定める方法による飛行を行う場合
二 前号に掲げるもののほか、国土交通大臣がその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認めて許可した場合
(飛行の方法)
第百三十二条の八十六 無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない。
一 アルコール又は薬物の影響により当該無人航空機の正常な飛行ができないおそれがある間において飛行させないこと。
二 国土交通省令で定めるところにより、当該無人航空機が飛行に支障がないことその他飛行に必要な準備が整つていることを確認した後において飛行させること。
三 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するため、無人航空機をその周囲の状況に応じ地上に降下させることその他の国土交通省令で定める方法により飛行させること。
四 飛行上の必要がないのに高調音を発し、又は急降下し、その他他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと。
2 以下省略
(飛行に影響を及ぼすおそれのある行為)
第百三十四条の三 何人も、航空交通管制圏、航空交通情報圏、高度変更禁止空域又は航空交通管制区内の特別管制空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのあるロケットの打上げその他の行為(物件の設置及び植栽を除く。)で国土交通省令で定めるものをしてはならない。ただし、国土交通大臣が、当該行為について、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれがないものであると認め、又は公益上必要やむを得ず、かつ、一時的なものであると認めて許可をした場合は、この限りでない。
2 前項の空域以外の空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為(物件の設置及び植栽を除く。)で国土交通省令で定めるものをしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に通報しなければならない。
第134条の3関係 → https://www.mlit.go.jp/common/001708524.pdf
👉 飲酒等飛行の禁止
ドロ-ンの操作に際して、アルコール、その他薬物の影響下において正常な飛行ができないおそれあるの間にドローンを操縦し飛行させることを禁止している(航空法第132条の86第1項第1号)。
罰則:アルコール、または薬物の影響下でドローンを飛行させた場合は、1年以下の懲役、または30万円以下の罰金(航空法・第157条の8)

|小型無人機等飛行禁止法
小型無人機等飛行禁止法は、「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」が正式な法律名である。
この法律では、指定された重要施設及びその周囲おおむね300mの周辺地域の上空における小型無人機等の飛行が禁止されている。
なお、この法律でいう「小型無人機等」には100g未満の機体も含まれる。つまり全ての無人機等が対象である。
【飛行禁止対象施設】
○ 国の重要な施設等( 国会議事堂等、 内閣総理大臣官邸等、危機管理行政機関・最高裁判所庁舎、皇居・御所など
○ 外国公館等、防衛関係施設、空港、原子力事業所
など
【規制の対象となる小型無人機等の飛行】
この法律ではドローンのみならず以下のような飛行装置が対象となっている。
○ 小型無人機を飛行させること
無人飛行機(ラジコン飛行機等)、無人滑空機、無人回転翼航空機(ドローン等)、無人飛行船 等
○ 特定航空用機器を用いて人が飛行すること
気球、ハンググライダー、パラグライダー 等
【違反に対する罰則】
小型無人機等飛行禁止法の規定に違反して
・対象施設の敷地・区域の上空(レッド・ゾーン)で小型無人機等の飛行を行った者
・小型無人機等飛行禁止法第11条第1項に基づく警察官の命令に違反した者
については、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」。
|電波法
電波で操縦するドローンには、電波法が適用されている。
ドローン操縦のための操縦用機器に「技適」マークがついているかを確認することが重要。
「技適」とは、電波法で定める「技術基準適合証明」のことであり、この技適基準に適合しているものについては「技適」マークがついている。
ドローンの中には技適がついていない製品もあるので注意が必要である。
なお、送信装置等の電波出力などによっては電波法の規定により無線従事者免許が必要になるので注意をが必要だ。
|民法
私有地の上空での飛行は、民法上の「土地所有権の範囲」として土地所有者の固有の権利となるため、ドローン飛行のためにの土地使用の許可を地権者に確認することが必要になる。
土地所有者(地権者)がドローン飛行禁止と表明している場所もある。例えば立て札に「ドロ-ン飛行禁止」を明記していることあるのでそのような場所は避けるべきである。
|道路交通法
道路からの離着陸行為は、道路交通法で禁止されていることから たとえ団地内の交通量の少ない道路や農道などから飛行させる場合でも「道路使用許可」が必要になる。
|都道府県、市町村条例
公園でのドローン飛行は自治体の条例で禁止されている。
ドローンを公園で飛ばそうと考えている人もいるが、公園は公共の場なので危険性があるドローンを飛行させることは好ましくないなどの理由から、ほとんどの公園でドローン利用が禁止されているのが現状である。
航空法の対象であるドローンに限らず、100g未満のいわゆるおもちゃのドローンも同様に禁止されている場合がほとんどのようなので、公園でドローンを飛行させる前に、必ず地域の条例を調べることが必要だ。
|ドローン操縦のための資格
ドローンの操縦には
国家資格としては「一等及び二等無人航空機操縦士」
民間資格(国土交通省登録管理団体資格)としては「ドロン操縦士回転翼3級」
がある。
詳しくは別途掲載する。
|おわりに
以上のようにドローンに関する規制等について記載したが、必ずしも免許がないとドローンを飛ばせないというわけではない。
例えば100g未満のドローンについては、免許がなくても飛行させることができるし、機体の登録も不要である。
しかしながら、ドローン飛行を禁止している場所や民地を使用する場合には地権者の了解を得るなどいろいろと手間がかかることになる。
そのため、私もドローンを持っているのだが100gを超える機体のドローンは室内でインテリア化してしまった。
100g未満のいわばおもちゃの機体も飛行させる場所がなかなか見つからない(民法上の地権者の許可など)ので、最近は休止状態。
屋内飛行場などが近くにあると良いのですが・・・
中にはこっそり飛ばして検挙された例もあるようなので、ドローンの飛行を考えている人は気を付ける必要がある。
参考資料
https://www.npa.go.jp/bureau/security/kogatamujinki/pdf/gaiyou.pdf