高速道路の最高速度規制と最低速度(法定)の関係は?
道路工事や交通事故などで車線規制を行っている場合に、最高速度が50km/hに指定されることが多いが、法定の最低速度も50km/hである。はて?
どうしたらいいのでしょうか。
|高速道路の最高速度は
道路交通法上、高速道路の本線車道上等の最高速度は100km/h(一部車両を除く)である。
また、最近では、法定の最高速度を超える120km/hの交通規制が行われているところもある。
|高速道路にける最低速度は
高速道路の最低速度は、道路交通法第23条により「最低速度に達しない速度で進行してはならない」とされ、道路交通法施行令第27条3項によってその最高速度は「50km/h」と定められている。
これは高速道路という特殊性から定められている規定である。
つまり、法定最高速度が100km/hで走行する車と、50km/h以下でゆっくりした速度で走行する車が同じ道路上を混在走行すると、速度差が大きくなり危険性が増加し交通事故の発生する可能性が高くなること、高速道路の安全と円滑を阻害することになる可能性があることなどの観点から最低速度が定めている。
高速道路では、特別な事情がないにもかかわらず、50km/hよりも遅い速度で走り続ける行為については、最低速度違反として違反者に罰則を科することにしているのだ。
|法定の最低速度と規制による最高速度の交錯
事故処理や緊急工事などで、公安員会等が道路標識を設置して最高速度を「50km/h」と指定して交通規制が行われていることがある。
指定された最高速度と法定の最低速度が同じ50km/hになるのだが・・・この場合に運転者はどうすれば良いか?というと・・・・
結論は、道路標識による交通規制が優先するので最高速度の「50km/h」以下の速度で進行しなければならないことになるのだ。
|標識標示主義
標識標示主義とは、交通の規制は原則として、道路標識等により行い、道路標識等のない場合に限り、法定の規制が働くという考え方である。
「標識標示主義」という表現は道路交通法には明記されていないが、この考え方を条文上に表明しているものがある。
例えば、法第22条の最高速度の規定「道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない」とされている。
つまり、道路標識等による最高速度を指定することができ、標識が設置されていないときに法定最高速度が適用されるということであり、標識標示等が優先されることを明示している。
そのほか、法第30条(追越しを禁止する場所)、法第42条(徐行すべき場所)、法第44条(停車及び駐車を禁止する場所)及び法第45条(駐車を禁止する場所)などがあり、法定の規制は、道路標識等によって交通規制が行われていない道路又は道路標識等の効果が及んでいない道路の部分に限って働くことになるのだ。
関心のある方はご確認を
|おわりに
以上記載したように、高速道路の工事現場や事故などにより最高速度規制が行われることがある場合には、法定の最低速度と同じ50km/hの速度規制された場合には法定の最低速度より指定の規制(最高速度)が優先することになるのだ。
現実には、最高速度が規制されている工事区間などでは、規制速度を守らない車両が多く、規制速度で走行しているとあおられるような事態が発生することも経験しているが、交通規制は安全を確保するために行うものなので遵守してほしいものだ。
参考資料