「急ブレーキの禁止」について
急ブレーキはかけてはいけないことになっているが、突然歩道から子どもや自転中が飛び出して来た場合、交通事故を防ぐために急ブレーキが必要なこともあるだろう。
|道交法の禁止規定
道路交通法では急ブレーキを禁止しています。
と規定されている。
この規定は、自動車、原動機付自転車、軽車両、トロリーバス、路面電車の運転者は、
① 急に停止させること
② 速度を急激に減ずること
になるような急ブレーキをかけてはならない。
ということであり、
危険を防止するためやむを得ない場合
は、除外されているのだ。
例えば
・前車が急ブレーキをかけたとき。
・歩行者の急な飛び出しがあったとき。
・通常の注意力では遠方から発見できない障害物をその直前で発見したとき。
などが除外対象になるのだ。
ちなみに罰則は、
3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金
である。
|ブレーキシステムは昔と違う
自動車のブレーキシステムが昔と違っていることを知っているか?
ちなみに、ブレーキにはデスク方式やドラム方式があり、四輪車の場合にすべての車輪のブレーキシステムがディスクタイプである場合と、前輪はドラム方式、後輪はドラム方式になている車両がまだまだ多いのだ。
そしてもう一つ大きな違いが「アンチロックブレーキシステム」である。
アンチロックブレーキシステムとは、「Anti-lock Brake System」の略称で「ABS」ともいわれるもの。
急ブレーキをかけた時などにタイヤがロック(回転が止まること)するのを防ぐことにより、車両の進行方向の安定性を保ち、また、ハンドル操作で障害物を回避できる可能性を高める装置(システム)である。
つまりABSブレーキシステムを効果的に活用することで制動距離を従来のそれよりも短く制動することができるようになったのである。
これも導入されてからかなりの年月を経過してきたが、その使い方がいまだに十分浸透していないと感じる。
|急ブレーキを踏めるか?
前記のように、必要がある場合には積極的に急ブレーキを使用してもよいということになるのだが、さて、ドライバーの皆さんは急ブレーキを踏むことができますか?
実は、運転する車のブレーキシステムを理解しないと急ブレーキの効果が発揮できないことがあるのだ。
ABS(アンチロックブレーキ)がついている車の場合には、急ブレーキはできるだけ強くブレーキペダルを踏み続けることが必要であり、強く一気に踏み、そのまま踏み続けることがその制動効果を高めることになるのだ。
ABSが作動すると、ブレーキペダルが細かく振動したり、「グツグツグツ」という音が出ることがあるが、故障ではないので、そのまま強く踏み続けることだ。
一方、ブレーキを踏む力、瞬発力が弱いと信号待ちで停止するようイメージしか感じずABSが働かないという。
このことをドライバーが認識していないと、いざというときに急ブレーキが作動しない、急ブレーキの効果が十分に発揮されないということになる。
|教習所のカリキュラムで
最近の自動車学校では免許を取るためのカリキュラムのひとつとして急ブレーキの教習が加わっている。
それは近年ほとんどの車にABS装置が装備されるようになったことから、いざというときには思い切ってブレーキペダルを踏み込み、急ブレーキをかけてよいことになったからである。
教習所という施設の中では、比較的安全度合いも高いことから、安全の確保等の観点からもぜひ教習所の教習では、力いっぱいブレーキを踏むということを繰り返して習得させていただきたい。
|止まつたままでも練習OK
急ブレーキは一度できるようになっても、練習しなくてはまた元に戻ってできなくなってしまう。まして車を乗り替えたり、車検などで車両の点検やブレーキの遊び等を点検・調整した後などはブレーキ感覚が変わるのだ。
したがって、ときどき練習しなくてはならないのだが、一般道で走りながらの急ブレーキ練習はできない。
しかし実際に走行していなくても、例えば、停止中の車でブレーキを踏む練習することもできるのだ。
これなら他のクルマに迷惑をかけることもない。
最初に走り始める前に、ガ~ンと一発強くブレーキを踏むことで、急ブレーキをかけることの練習になるのだ。
一番重要なことは、たとえドライバーが急ブレーキをかけられる能力を持っていたとしても、それを使わなくても済むように安全を確保して運転することだ。
とはいえ・・・・実際なかなか踏めない、踏む機会がない急ブレーキなのだ。
|おわりに
急ブレーキは原則禁止ではあるが、実は必要不可欠な場合もあるが、乱用は絶対控えるべきである。
とはいえよくあるブレーキとアクセルの踏み間違いは、ブレーキの踏み方が適切でない場合に起こるともいえる。
記載したように、特に緊急性を要する場合などには強く踏むことができないこともあるという。
急ブレーキや急ハンドルというようなことを使用しないで済む運転が望ましいところであるが、万が一の場合に備え、発進操作前、停止中に急ブレーキの練習などもしておきたいものですね。