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相続について
以前「遺言と法定遺留分」ということについて記載しました。その後そもそも法定相続人は?という質問がありましたので今回はそのことについて記載します。
|相続の開始は?
民法( 第882条)は、「相続は、死亡によって開始する。」と規定しています。
(相続開始の原因)
第八百八十二条 相続は、死亡によって開始する。
すなわち、人が死亡したときにその人の相続人となる権利のある者(相続人)において相続が開始されることになります。
そして相続は、プラスの財産もマイナスの財産もすべて受け継ぐことになります。
えっ!!マイナスの財産とプラスの財産のすべてなんですか?
はい、
|相続の対象
相続されるものは、ありとあらゆる財産すべてです。
不動産、預貯金、株式、債券等の金融資産、現金、自動車、あらゆる動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も全部です。
もしも各相続人が取得する財産額を厳密に決めようとすると、レアフィギュアやレアキラカードなどのレアグッズも含めた全資産を相続する際、それらの金銭的な評価をする必要はありますが、実際にそれらをお金に換えて分ける必要まではありません。
相続によって、財産や借金に限らず 法的な地位もすべて受け継ぐことになります。たとえば、夫婦で家を借りていて、夫が賃借人となっていたとします。夫が亡くなれば、相続人である妻が、夫の財産だけでなく、夫の賃借人としての地位も引き継ぎます。
|相続人
配偶者は、常に相続人になります。
配偶者以外の相続人には順位があります。
まず、子どもがいれば子ども、子どもがいないときは親、親も亡くなっていれば兄弟姉妹が相続人です。
「子どもはすでに亡くなっているが、孫がいる」という場合は、子どもの代わりに孫が相続人になります (代襲相続)。
「子 (孫)も父母 (祖父母)もおらず、兄弟姉妹も死亡しているが、兄弟姉妹の子ども(甥・姪)はいる」という場合も、甥•姪が相続人になります (代襲相続)。
相続が発生した際にはまずは相続人を確定させる必要があります。
被相続人の出生時から死亡に至るまでの連続した戸籍謄本などを揃えて子の有無などを調べることになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1723642955928-5gZQmeCqcN.png?width=1200)
(相続に関する胎児の権利能力)
第八百八十六条 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
第八百八十八条 削除
(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
2 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。
(配偶者の相続権)
第八百九十条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。
|法定相続分
法定相続分は、家族構成によって変わってきます。
各相続人が取得できるものとして法律上定められている財産の割合のことを 「法定相続分」といいます。例えば以下のとおり。
〇 子どもと配偶者が相続人であるときは、子どもと配偶者の法定相続分は各1/2ずつ。子どもが複数いるときは、その1/2を子どもの人数で等分する。
〇 配偶者と親または祖父母 (直系尊属)が相続人のときは、配偶者が2/3、直系尊属が1/3
〇 配偶者と兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4。兄弟姉妹が複数人いれば、その1/4を兄弟姉妹の人数で等分する
もちろん、相続人どうしが合意すれば、法定相続分と異なる財産の分け方をすることが可能です。
相続人のうちの一人が全部を取得するという分け方にすることも問題ありません。
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(法定相続分)
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
(代襲相続人の相続分)
第九百一条 第八百八十七条第二項又は第三項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。
2 前項の規定は、第八百八十九条第二項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する。
|相続放棄?
借金などのマイナスの財産もまるごと相続することになります。
しかし、マイナスの財産は相続したくないですよね。
たとえば、プラスの資産が100万円しかないのに、借金がL000万円ある場合などです。
このような場合、相続放棄をすることが考えられます。
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相続の放棄をするときは、家庭裁判所で申述という手続をする必要があります。
裁判所に申述が受理されると、その相続に関して初めから相続人ではなかったものとみなされます。
つまり、「相続人ではない」ことから資産(プラス分もマイナス分も)は、なにももらうことができないということになります。
相続放棄ができる期間は、原則、自分が相続人になったことを知ったときから3カ月以内です。
知らない間に親が亡くなり、死んだことを知ったのが1年後であった場合は、死んだことを知ったときから3カ月ということになります。
ただし、その3カ月を過ぎてしまった場合でも、放棄できるケースもあります。
たとえば、プラスもマイナスも財産がまったくないと思っていたために、相続開始後なんの手続もしていなかったところ、3カ月以上が経過後に金融機関から督促状が届き、被相続人には500万円の借金があることを知ったというような場合には、例外的に、督促状が届いたときから3カ月以内であれば、相続放棄が可能です。
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
第九百十六条 相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第一項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する。
第九百十七条 相続人が未成年者又は成年被後見人であるときは、第九百十五条第一項の期間は、その法定代理人が未成年者又は成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から起算する。
|相続財産管理人
相続人全員が相続放棄した場合、債権者 (たとえば、被相続人に金を貸していた銀行)は、債務を引き継いだ相続人がいないため、被相続人に対して有していた債権を回収できなくなりますよね。
このような場合において債権を回収したい場合は、裁判所に相続財産管理人の選任を申立てることができます。
相続財産管理人は、被相続人の財産を売却等して換価し(たとえば、不動産や自動車など交換価値のあるものを売却してお金に換えたりします)、債権者にお金を分配して清算を行います。
|おわりに
今回はここまでです。
相続順位や相続放棄については、こういう制度があるんだということを認識しておくことは大切です。
遺言と法定遺留分の関係はこちらから確認してみてください。