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法律を知ろう

法律は知らないと身を守ってくれないし、損をする場合がある。
調べてみると余りにも多くの法律があるではないか!


|日本における法律の数

現在、日本には下図のとおり、憲法を含めて
 約2,029の法律と6,733の政令・省令など合わせて約9,000の法令
があるとされている。
その数は余りに多くて、知ろうとすると大変なことになる。

|法律の意味するところは

多くの法律の中には、なぜこの法律があるのか・・・、この法律は誰のために制定されたのか不思議に思う法律もあるよね。

しかしながら、いったん法律として制定された限り、私たち日本国内に居住する者はもちろん、入国したばかりの外国人等でも同様に法律等に拘束されることになるのだ。

|日本の法律で最も長い名前のは・・

最も長い名前の法律は、
「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う道路運送法等の特例に関する法律」
ということだ。

名前に使用されている字数はなんと110文字もあるのでびっくり(参議院法制局HP「法律の題名」参照)。

ちなみにこういう事例もある。
平成10年に改正された
「原材料の供給事情及び水産加工品の貿易事情の変化に即応して行われる水産加工業の施設の改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律」
だが、閣議にこの法律を改正する法案が提出された段階で
 「題名があまりに長すぎる」
と指摘され、もっと簡略な「水産加工業施設改良資金融通臨時措置法」という題名に改正されたという(参議院法制局HP「法律の題名」参照)。

|最も短い名前は

法律には、題名、つまり名前を付けることとされている。
法律を掲載した官報を見ると、「○○法をここに公布する。」という公布文、御名、御璽、日付、内閣総理大臣名及び「法律第△号」という記載があり、その次に「○○法」という記載があり、これが法律の題名なのだ。

しかしながら、昭和22年ごろまでは、既存の法律の一部を改正する法律、一時的な問題を処理するために制定される法律、内容の比較的重要でない法律などについては、題名が付けられないことも少なくなかったという。

いわゆる「題名のない法律」、例えば、現存する昭和22年法律第82号という表示がされているだけであり、公報では
「朕は、帝國議会の協賛を経た國会予備金に関する法律を裁可し、ここにこれを公布せしめる。」という公布文、御名、御璽、大臣名及び「法律第八十二号」という記載の次が「第一條 各議院の予備金は...」
となっており、題名が付されていないのだ。

|題名は必要ないのか

法律には「令和×年法律第△号」といった法律番号が付されているので、この法律番号で呼べばよいよう思われるが、これだけでは法律の内容が分かりにくい。

そこで、法律の公布文に引用されている字句がその法律の名称として用いられているという。
この名称のことを件名といい、例えば、昭和22年法律第82号でいえば、件名は「国会予備金に関する法律」ということで短縮し内容がわかりやすい件名になっている。

題名がなく、「朕決鬪罪ニ關スル件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム」という公布文がある。
これは明治22年法律第34号であり、件名としては「決闘罪ニ関スル件」ということになるのだ。

|法律を知らないと損をする?

法律を知らないと、自分の利益や利益となるようなことを逃したり、法律で救われるべき被害者であるのにそれに気づかず、またはなんとなく気づいてもその後の対応ができなかったなどで損をしたり、身の安全を確保できなかったりすることがある。

後日時間が経ってしまい気づいたときにはもう遅かった……という人たちもいるのだ。
ましてや自分の身を守るためには必要なことである。

|できっこないよ?

余りに法律が多いので「いちいちそんなこと考えられない、法律家ではない」という人もいるでしょう。

しかし、法律を知るということは、専門家と同じように法律を知るということではないのだ。

法律があるのではないかと気づくことが大事、つまり「これはなにかおかしい」「なんらかの法律があるのでは?」と気がつくことができれば、その後は、弁護士などの専門家に相談すればいいのだ。

正直、弁護士とて全ての法律を知っているわけではなく、相談を受けて初めて「この法律に違反するのでは?」「この法律に基づけて助成金の支給を受けられるのでないか」と法律をひもとき駆使しているのである。

今後、AIの発連などにより、急激に世の中が変わっていくと思われる。
法律もどんどん変わるでしょう。
もし、必要な法律がないときは、「これはおかしい」と気づき、声を上げることが、新たな立法につながるのだ。

|決闘罪は必要か?

現在存在する法律の中にも、法令としての役割がなくなっていると思われるものもある。
しかし、さまざまな理由で廃止できないようだ。

例えば、「決闘罪」という犯罪。
これは明治22年に制定された「決闘罪ニ関スル件」という法律に定められており「2人以上の人物が事前に日時、条件、場所などを約束して戦うこと」を禁じている。

その第五条には、
 決闘ノ挑に応セサルノ故ヲ以テ人ヲ誹謗シタル者ハ刑法ニ照シ誹毀ノ罪ヲ以テ論ス
と、
 決闘の挑みに応じなかったことを理由として人を臆病者呼ばわりしたら、名誉毀損の罪として論ずる
というような規定である。

なんとなく現在には必要な気がするのだが、実はそうでもないので残っているのだ。

ちなみに決闘罪は、
決闘を挑んだ者・応じた者は、6カ月以上2年以下の懲役
決闘を行なった者は、2年以上5年以下の懲役
決闘立会人・立ち合いを約束した者は、1カ月以上1年以下の懲役
決闘が行われることを知って場所を提供した者は、1カ月以上1年以下の懲役
と規定されているのだ。

そして現在では、決闘の約束や企てはメールやSNSでの約束をすれば該当するのだ。

実は余り意味はないといいつつも「決闘罪」で逮捕された事件もある。
○ 暴力団組員ら3人を決闘容疑で逮捕
○ 決闘容疑で暴走族少年ら14人書類送検
○ 集団で殴り合いのけんかをしたとして14~19歳の少年ら22人が「決闘罪」で」書類送検
ということである。

一般的に喧嘩だと加害者側だけが傷害罪などで処分されているが、同じような喧嘩でも決闘ということになると、怪我した者も含めて決闘罪として罰則の対象となるので、全く不要の法律ではないのだ。

|本当に必要なの?「酒税法」

明治時代に起源をもつ「酒税法」
これもいまでもその存在意義はあるのか?を疑いたくなる法律の1つだ。

酒税法は「免許を受けないで酒を造ること」を禁じている
たとえ自分で飲むためであっても、アルコール分1%以上の酒を無免許で作ることを禁じているのだ。

それって本当に必要な規定なのでしょうか?
子どもの頃自宅でぶどうを栽培してワインを作ったり、甘酒(どぶろくに近い発酵性のもの)を作っていた、ご近所さんも同様であったことを記憶している。
あまり実効性のない法律なのではないかと、個人的には疑問が残る。

|時代とともに・・

時代の推移とともにいろいろ必要な法律が制定されていくのはやむを得ないことである。
そしてその新しい法律で身を守られるともに、必要な規制というルールも生じてくる。

法律は、通常行政側が案を策定し、国民の意思を代表する国会の審議を経て法律として成立する。
その法律に基づき、行政・司法も統制市、国民もこれに従っていくというのが真の「法治国家」のあり方である。

しかし市民や企業を縛る規制内容は、「国民のため」と言いながら、役人が業界団体と相談しながら法案を作成していることも多い。

その後パブコメを実施をして議会に法案を上程することになるが、法規制の内容の変更も撤回も、役所や政治家の考えで自由になされるというのが、いまの日本の現状だ。

いま多くの人々にとって、国家や法は空気のような「当たり前の存在」かもしれない。

しかし、選挙で選出された国会議員であると言うことを鼻にかけ、国民の負託を受けたのだと鼻息荒く、法律の内容を変更させたり、無理な要望を言い出す議員もいる・・・。

司法と立法、行政の三権が正しく自らの意見を出しあい、牽制し合うことは良いことだが、「国民の付託」というキーワードで法案の内容まで変えようとする立法府に疑問を呈さざる得ない。

|おわりに

いずれにしても、成立し存在する法律を守ることは、反面法律に守られることになる。
そのために法律を知ることが必要であることは言うまでもない。

<参照>


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