電動キックボードに関する交通ルールを正しく認識しましょう。~その4~
歩道を走行することができる「特例特定原付」
道交法上、歩道を通行することができる「特例特定原付(特例特定小型原動機付自転車)」について説明します。
|特例特定原付とは・・
これまで説明したとおり、特定原付(特定小型原動機付自転車)の区分の中で、さらに一定の要件を満たすものを「特例特定原付」といい、
・ 時速6kmを超える速度を出すことができないもの
・ 歩道等を通行するとき6km以下であることがわかる識別灯(最高速度表示灯)を点滅させているもの
・ 側車をつけていないこと
・ ブレーキが走行中容易に操作できる位置にあること
・ 鋭い突出部のないこと
などの基準を満たすことが必要。
また、「特定原付」と「特例特定原付」は、同じ車体であっても、走行モードを切り替えることなどで、「特定原付」として、または「特例特定原付」として使用することが可能である。
最近では、特例特定原付としてのみ使用することを目的とした製品も販売されているようだ。
|勘違いしないで ~ 間違いやすい
未だに勘違いしている人が結構いるようなのだが、特定原付などを
時速6km/h以下で走れば良い
のではなく、機械的・システム的に6km/hを超えない装置であることが性能要件なのである。
特例特定原付は「6km/hを超える速度を出すことができない走行モード」を備え、そのモードで走行しているときは「最高速度表示灯が点滅する機構」を備えていることとされている。
※速度表示灯の取り付けていないものは特例特定原付の要件を欠くので歩道等は走行できない。
|整理してみると
特定原付、特例特定原付、一般原付・・・とちょっと複雑!
なのでちょっと整理してみるとその区分は下の表のような感じ。
|製品モデルをよく確認して使用することが大事
市販の製品には、“特例特定原付・・”という名称が付く切り替え式のものと、単に特定原付としてだけ使用できるモデルである。
また、特例特定原付としてのみ使用するタイプもあるようだ。
見た目は余り変わらないので、購入するときや使用するときはしっかり確認することが必要である。
確認する際には、性能等確認済シールの有無、歩道走行のできる速度切り替えスイッチの有無、電動出力の規格表などを利用するとよい。
なお、シールが無いものであっても、要件を満たしていれば特定原付に該当するが、職務質問等の際には基準に適合することを疎明しないといけなくなるので極めて大変。
さらに最近では「特例特定原付」に似ている形状の移動用小型車がある(2023年7月施行改正道交法に規定)。
これは、歩道走行のみ可能(速度6km以下)で道交法上は特定原付や特例特定原付とは別のもの、具体的には「みなし歩行者」つまり歩行者として扱われる。
|切り替え式の場合に注意を
切り替え方式の場合、歩道を走る際には走行モード(6km/hを超えない)に切り替えることになるが、モードを切り替えるときは一旦停止して操作を行うことが必要だ。
走行中に車道からそのまま歩道に乗り入れて切り替えるという走り方はダメ。
車道左端で一旦停止して、押して歩道に入ってからモードを切り替えるか、またはモード切替を行い降りて歩道に入り走り出すようにする必要がある。
機種によってはモードの切り替え操作をすると電源が一旦切れるシステム設けているものもある。
また、歩道走行していて車道走行に切り替える場合も同様である。
|特例特定原付の通行方法
○歩道通行
歩道通行は可能であるが、すべての歩道が走れるわけではない。
・通行できるのは「普通自転車等及び歩行者等専用」の道路標識が設置されている歩道。
・自歩道(自転車歩行者用道路)と呼ばれる歩道側に自転車道が設けられている部分も走ることができる。
・歩道通行可能な場合には、歩道上の通行指定部分がある場合にはその部分を、ない場合には歩道の中央から車道寄りの部分を通行(徐行)する。
・歩行者の通行を妨げることとなるときは一時停止しなければならない。
なお、繰り返しになるが、普通自転車の場合とは異なり、特例特定原付の場合は、
運転者が12歳以下の子供、70歳以上の者など、「車道等の状況に照らして自転車の通行の安全を確保するため、歩道を通行することがやむを得ないと認められる」というだけでは歩道の通行はできない。
つまり自転車歩道通行可という交通規制が行われている歩道だけである。
○横断歩道は通行可能
特例特定原付は歩行者用信号機のある横断歩道を通行することができる。
道交法施行令に定める信号の意味も改正され、特例特定原付は普通自転車と同様青色の人の形の表示で横断歩道を直進または左折することができることとされた。
○自転車横断帯は通行不可
特例特定原付の位置づけは、あくまでも原付の一種である特定原付の特例バージョン。したがって自転車横断帯は通行できない。
○路側帯通行
路側帯については、軽車両と同様に、歩行者専用路側帯以外の、道路中央から左側にある路側帯を通行できる。
この場合も、歩行者の通行を妨げることとなるときは一旦停止すること。
今回は以上のような特に特例特定原付に関係する部分を記載した。
なお、特定原付の信号機の見方は次回に記載することとする。
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