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電波の不正利用は犯罪です!
「電波法違反です」といわれてもあまりピンとこないかも・・。うっかり使用した無線機はもちろん、携帯電話なども・・・電波法に違反する場合があるのだ。
|電波法違反は犯罪!
電波は、周波数帯ごとに用途が割り当てられ、いつ誰がどのくらいの強さで使えるのかが決められている。
電波の不正利用は人命に危険を及ぼすことがあるというから大変なことである。
無線機などを違法に使用していても、「分からないだろう」とか「バレなきゃ平気」というのは許されない。
電波法に違反すると厳しい罰則があるぞ!
|電波法違反の罰則
〇 不法な無線局を開設、または運用した場合
1年以下の懲役または100万円以下の罰金
〇 不法電波で重要な無線通信を妨害した場合
5年以下の懲役または250万円以下の罰金
不法な無線局とは
「不法市民ラジオ」、「不法パーソナル無線」、「不法アマチュア無線」などをいう。
|DEURAS(デューラス)
このワードを聞いたことある人は少ないかもしれない。
これは、不法な電波を取り締まる「デューラスシステム」のことだ。
運用するのは「総務省」。
不法な電波などを取り締まるため電波監視システム「DEURAS (デューラス)」として総務省が整備・活用しているのだ。
総務省によると下図のように、全国に設置されたセンサ局や不法無線局探索車で、不法電波の発射源を探し出すというもの。
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|無線機器は「技適マーク」 が付いているものを!
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国内で使用できる無線機器にはほとんどの製品に上記の「技適マーク(技術基準適合証明等のマーク)」が付いている。
この技適マークのない製品はいわゆる違法無線装置に該当するおそれがあり、無線局の免許を受けようとしても技適マークの付いていない無線装置では免許を受けることができない、違法無線局となるおそれがあるのだ。
このマークに郵便局と同じ「〒」マークがついているが・・。これはこの制度が出来た当時の所管省庁が「郵政省」(民営化により現在の日本郵政グループ)であったことを物語る。
|技適マーク対象となる無線装置は身近にある
技適マークが付いている必要のある電波を利用する装置は、意外にも身近な製品にもあるのだ。
代表的なものとしては、下図のように、無線LAN、ワイヤレスイヤホン、トランシーバーなどの無線機、スマートホンやガラ系携帯電話,ワイヤレスカメラ、Bluetooth機器などにも技適マークが付いているはず?なのだ。
受信側には必要ないが,送信側、送信することができる装置の方に,この技適マークが付いているはずである。
送信する側を製造するメーカなどが製品を製造する際に事前に装置が電波法の定める基準に適合しているかの審査を受け、適合している場合に、この適合マークを貼付して販売することができる。
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|外国の無線機器にはついていない?
インターネット等で、外国製品の無線機器が販売されている。
しかし、これらの多くは日本の電波法令に適合していないので、国内で使用すると違法になる場合が多いといえる。
周波数が日本で使用できる周波数と異なる、送信出力が大きいなど、使用すると無線局等やテレビ,ラジオなどに妨害を与えるおそれがあるため使用できない。
ネットで購入する場合には、まずは仕様や技適マークを確認して購入することが必要だ。
なお、訪日観光客等が持ち込むWi-Fi端末等は入国の日から90日以内に限って一定条件を満たせば利用可能である。
一方で、海外製品を購入した場合、日本で使用可能な周波数や出力を国内基準に調整・改造することが必要である。
その上で,電波監理局の審査を受ける必要があるのだ。
そのことを考えると、たとえ安価で購入したとしても費用負担が増大し、結局のところ国内の技適マーク付き製品を購入した方が,時間と費用をカットし安価に済ませることができるであろう。
|海外製品を使用する際には要注意!
電波の利用には、原則、免許が必要。
いわゆる微弱電波を使用する製品以外を使用する場合には、原則、無線局の免許や無線従事者の資格が必要である。
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無線局を設置する場合には免許を受けなければならず、交付された無線局免許状は無線設備の設置(常置)場所に備え付け、従事中は無線従事者免許証を携帯することが義務付けられているのだ。
無線局の免許状には有効期間(通常5年)があり,更新をしないと失効してしまい違法無線局となる。
再免許(更新)手続きを忘れないようにしないといけない。
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|アマチュア無線は仕事に使えない!
これも当たり前のことだが・・。
アマチュア無線は、その無線局の目的が「アマチュア業務」であり、それ以外の目的に使用すると違法となる。
ルールを守って正しく使って欲しい!
無線機器を改造して出力を大きくしたり、指定された周波数以外で運用することは禁止されている。
下図のような総務省のポスターをみたことあるよね。
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|違法電波によるトラブル
違法電波によるトラブルは時々発生しており、記憶にある有名な事例を示す。
〇 2020年
石川県の小松空港で航空機の位置情報が把握できないトラブルが発生。
同空港ではその影響で、数日に渡り遅延や欠航が発生した。
その原因は、同空港から約4km離れた工事現場に設置された海外製のワイヤレスカメラが発する違法電波だった。
〇 1996年
強力な電波を発する無線機を搭載したダンプカーにより、自動点火式ストーブの電子回路が誤動作し、ストーブが勝手に着火し、火災が発生。
この事案は、いわゆる「石油ファンヒーター」の電源を切っていても、コンセントプラグが差し込んであると、高出力の違法無線機の電波が発信されるとファンヒーターの電源が入り着火,ファンヒーター周辺のものが高温になり発火し火災になるという事案で、当時東京都内では同種事案が多数発生して話題になった。
身に見えない電波であるが、違法に使用したことからこのような事例は発生し、違法電波が日常生活を妨害する可能性を秘めていることも認識して欲しいのだ。
|おわりに
電波は公共の使用物、公共物なのだから、みんなで共有しないといけないですね。
電波法を知り,ルールを守って適切に使用しましょう。
参考資料
https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/monitoring/summary/qa/giteki_mark/