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結婚詐欺その2…詐欺罪?

前回に続いてその2記載しますね。今回は結婚詐欺といわれる行為が刑法の詐欺罪に該当する場合などについて簡単に説明します。


|結婚詐欺罪?

結婚詐欺については前回もちょっと触れましたが、
ロマンス詐欺や国際ロマンス詐欺とも呼ばれる恋愛感情をもて遊び、その過程において金品等を搾取する行為が増加してるようです。

そしてこれらは結婚詐欺といわれていますが、もう一度結婚詐欺の定義をまとめると、
「結婚する意思がないにもかかわらず、結婚する意思があるように装い、相手が結婚するものだと騙された状態で、嘘をついて相手からお金や財産を奪い取る行為」
ということができますよね。

ところで結婚詐欺という罪名は存在するのでしょうか?
厳密には、「結婚詐欺罪」という罪名は存在しません。
しかしながら、結婚詐欺といわれるものは、刑法上の「詐欺罪(刑法246条1項)」にあたりこの罪名で処罰されることになります。

(詐欺)
第二百四十六条人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

参考e-Gov法令検索

|結婚詐欺立証のポイント

結婚詐欺を詐欺罪として処罰するためのポイントは、
 「相手に結婚を信じさせた上で、相手に嘘をついてお金を騙し取る行為」
があったかどうかということです。

今日、多くの詐欺的行為が行われていますが、結婚詐欺といわれる行為もSNSなどを使ったいろいろな手口の詐欺事件が横行していますよね。

例えば、結婚前提で付き合い始めたものの、相手に対する嫌悪感が強くなって別れ話を切り出すこともあります。
交際期間中に、相手からお金を借りることや将来の結婚資金のためということでお金を貯めるなどの行為は、結婚詐欺でなくともあり得ますね。

ところで刑法上の詐欺罪に該当するためには、犯罪構成要件として「相手を騙す意図」が必要です。
初めから相手をだますつもりで近づき、結婚を餌に相手を騙してお金を騙し取った場合でないと、詐欺罪として処罰することは困難かもしれません。
そして現実には、
 ・相手をだます意思
 ・金品等の搾取(だまし取る)
 ・被害者側の錯誤の意思
という要件を満たす必要があるのです。

|結婚詐欺(こあたらない行為

繰り返しになるが、結婚詐欺は「相手に結婚を信じさせた上で、相手に嘘をついてお金を騙し取る行為」がない場合には成立しません。

結婚詐欺にあたらない行為を3つに分けて紹介します。
〇 結婚の意思•金銭が必要な目的に嘘がなかった、結婚する意思に嘘がなかった
〇 お金を借りる目的に嘘がなかった
などの場合には、結婚詐欺は成立しないということになります。

➤ 相手をだます意図
結婚詐欺にあたるためには、詐欺非の成立要件である「相手を騙す意図」があったかどうかが極めて重要であり刑事裁判では検察側が底を立証しなければなりません。
例えば、初めから結婚するつもりで交際を続けており、お金を借りる目的に嘘がなかった場合には、相手を騙す意図がなかったことになり、結婚詐欺は成立しないことになります。

また、結婚前提で付き合っている相手に、相手方の「親の介護費」が必要といわれ、そのために借金をしたが、相手方が給与の未払いなどで返済期限に間に合わなかったというような場合にも、詐欺罪は成立しません。

➤ 経済的な損害の発生がない場合
詐欺罪は、相手からお金や財産を騙し取る犯罪行為です。
たとえ、最初から結婚詐欺の目的で相手に近づいたとしても、結果的に交際途中で結婚が破局(約束を果たさない)したとしても、金品を騙し取られていないのであれば(結果の発生がない)、詐欺罪として処罰することができません。

ただし、経済的な損害が発生していないとしても、結婚詐欺目的で金銭を要求した時点で、が成立する可能性があります。

また、詐欺罪・詐欺未遂罪などにあたらない場合でも、婚約破棄による精神的ダメージについて、相手に慰謝料や手切れ金を請求することは可能です。 自分から請求はしておらず、相手から一方的に金銭をもらった自分からお金を請求したわけではなく、相手から一方的に援助を受けた場合も、結婚詐欺には該当しない可能性が高いです。

詐欺罪が成立するには、相手が騙された状態でお金を渡すことが必要です。相手が自分の意思で、一方的にお金を渡した場合には、騙された状態でお金を渡しているとはいえません。そのため、受け取り側が詐欺罪として処罰されることはありません。

ただし、直接的にお金を要求する言葉がなかったとしても、身の上話で相手の同情を誘いながら援助してもらえるよう仕向ける行為があれば、詐欺罪として処罰できる可能性もあります。

➤ 被害者側(金品を渡した側)の「錯誤」の有無
これも重要なことなんです。
交際期間中に何度も結婚の話が出ていても、いざお金を要求された際に「結婚するには「お金を用意しなければいけない」、「お金を用意すればきっと結婚してくれる」などと信じ込んでしまいます。
法律上は、騙されて勘違いしてしまうことを「錯誤(さくご)」といいますが、詐欺罪の成立には、金品を渡す際に錯誤に陥っている必要があります。  

|結婚詐欺の被害者の傾向  

結婚詐欺は、結婚願望のある独身の方であれば、誰でも被害に遭う可能性のある犯罪であり、老若男女、年齢にかかわらず発生しています。
ただ、結婚詐欺に遭う人には、男性・女性でそれぞれ一定の傾向があると言われています。

➤ 男性の場合 ⇒ 真面目で優しい中年男性が多い
結婚詐欺の被害に遭いやすい男性の特徴としたは、
 根が真面目で優しい中年の方
です。

真面目であればあるほど、相手の話をそのまま信じてしまう可能性が高いといわれています。
普段仕事を真面目にこなしている人にとって、自分を頼ってくれる存在がいるだけで、何の疑問も持たずにお金を貸してしまうかもしれません。

また、優しくお人好しな男性ほど、「自分がこの女性を守ってあげたい」と考えてしまいがちです。
被害に遭う年齢層はさまざまですが、結婚適齢期を過ぎている中年の男性であれば、そこそこの貯金額のある方も少なくありません。
男性がこれまで溜めてきたお金を狙う結婚詐欺師から、ターゲットにされやすい傾向にあります。 

➤ 女性の場合 ⇒ 高収入の未婚キャリアウーマン女性が多い
高収入で未婚のキャリアウーマンが被害に遭いやすい傾向にあるといわれています。
これまで仕事一筋の女性の中には、周りよりも結婚が遅れていることに悩んでいる方も結して少なくありません。

結婚詐欺師は、こういった女性をターゲットにしてその心のスキマに入り込み言葉巧みにお金を騙し取ろうとしてきます。
初めはただの相談相手として近づき、女性の不安や悩みを解消しながら徐々に好意を自分に向けるよう仕向けるケースもあります。

高収入でお金のある女性であるほど、信頼関係さえ築ければお金を騙し取れるということで結婚詐欺のターゲットとして狙われやすいとも言われています。

(詐欺)
第二百四十六条
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。2前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

|おわりに


今回は刑法の詐欺罪の成立要件と結婚詐欺の関係について書きましたが如何でしょうか?
結局のところ、相手をだます意思、金品等の搾取(だまし取る)、被害者側の錯誤の意思の立証が必要ということになることをご理解いただけましたか?
いずれにしても騙されないようにすることが重要なのですね ~( ^)o(^ )
読者のみなさんもお気をつけて~ 




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