害虫・害獣駆除のトラブルに注意を
「害虫・害 獣駆除サービス(ペストコントロール)」に関するトラブルが増加しているというので、国民生活センターが公表した資料を基に書きます。
|概要
国民生活センターによると、
ハチなどの害虫や、ネズミなどの害獣を駆除してもらう、いわゆる「害虫・害獣駆除サービス」の相談が、全国の消費生活センター等に寄せられているという。
インターネットで検索して出てきた格安料金を提示する業者に来てもらったところ、ネットの表示とかけ離れた高額料金を提示される事例が多く、相談件数はここ数年増加しているという。
|相談件数
同センターが発表した相談件数の推移は下図のとおりである。
2023 年度は 2022 年度同期と比べて約 1.5 倍に増加し、2,000 件を超える相談が寄せられたという。
また年代別にみると、契約当事者の年代別の相談件数・割合は下図のとおりであり、20歳代(21.5%)が最多で、次いで60歳代(14.2%)、70歳代(13.9%)、30歳代(13.1%)となっている。
|若者年代が増加
相談件数は20歳代が最多であったが、特に10~20 歳代が契約当事者となっている相談が急増しているという。
下図は10~20歳代の相談件数の推移をみたものだが、2020年から2021年に約4倍増加し、さらに2022年から2023年にかけて約2.6倍増加している。
2020年と比較すると10倍近くに増加したことになる。
|相談事例
<事例1>
ゴキブリが出て怖くなりネットで見つけた格安業者に依頼したら高額だった。
<事例2>
ゴキブリ駆除の中断を求めても聞き入れてもらえず高額料金を請求された。
<事例3>
ハチに刺されて死ぬと言われ不安になり駆除依頼したが高額なので解約したい。
<事例4>
不安をあおられネズミ駆除を依頼したが作業内容が不十分なので解約したい。
<事例5>
ネットで探したコウモリ駆除業者と契約したがうそをつかれたので解約したい。
<参考>
2023年にゴキブリ駆除に関する相談が急増した。下図のゴキブリ駆除サービスに関する年度別相談件数の推移のとおりである。
|相談事例からみる問題点
〇 インターネット上に記載されている料金と実際の料金がかけ離れている。
サイトや広告に表示された格安料金を見て業者に連絡して自宅に来てもらったところ、実際には表示価格とかけ離れた金額を提示されるという同様の手口の相談が非常に多い。
〇 消費者の不安をあおり、契約を急かす勧誘が行われている。
「このままだとひどいことになる」などと消費者の不安をあおり、「今なら約 150 万円を約 100 万円にする」「はやく駆除した方が良い」などと契約を急がす。
〇 強引に作業を行い代金を請求している。
強引に作業をしたり、消費者が駆除作業の中断を求めても聞き入れてもらえず、作業の代金を請求される。断りづらい状況を作り出す。
〇 事前に複数見積もりを取って比較・検討することができない。
不安をあおり複数の業者から見積もりを取ることができない状態に消費者が置かれることが多く、作業内容や価格について事前に他の業者と比較・検討することなく、サイトや広告で見つけた業者と契約してしまう。
〇 交付される書面に具体的なサービス内容等が明記されていない場合がある。
特商法上の訪問販売に該当する場合 、業者は特商法に定める書面(契約書面)を交付する義務を負い、契約書面には商品や役務の種類や数量、価格などを具体的に記載する必要がある。しかし「一式」とだけ記載されており書面の不備がある。
〇クーリング・オフ妨害をしている事例が見られる。
|消費者へのアドバイス
国民生活センターは、以下の点について呼びかけている。
〇 極端に安い価格を表示するサイトや広告には注意。
〇 複数見積もりを取って比較・検討する時間を与えない事業者とは契約しない。
〇 クーリング・オフ等ができる場合がある。
〇 おかしいと思ったら、すぐに消費生活センター等に相談。
*消費者ホットライン:「188(いやや!)」
お住いの地域の消費生活センター等を案内する全国共通の3桁の電話番号。
|おわりに
インターネット上には様々な広告宣伝が表示されており、「見積もり5分」、「簡単見積もり」などと表示した業者も多いが、前述のような事案が散見されることから十分に注意してほしい。