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|離婚後の同居についての考察_Ver2

前回の記事で離婚後の同居のメリットについてあげてみたので、今回は離婚後の同居に潜むデメリットについて書きます。


|離婚後も同居を続けるデメリット

 ① 再トラブルの可能性が高まる

離婚後に同居を続ける場合には、相手の顔を見ながら生活することになるため、子供が成長し夫婦二人きりだった場合には、2人の関係性が良好であればよいが、相手をよく思っていないときは顔を合わせることが大きなストレスになる。

また、同じ家に住む以上、食事や洗濯、家賃、光熱費、お金に関する最低限の会話は避けられない。

 ② 子どもへの影響

元夫婦間での喧嘩が頻繁に起ったり、トラブルが発生した場合には、子どもへの影響も大きくなる可能性がある。

両親の関係性が悪い場合は、家の中で険悪な空気が流れ、子どもが気まずい思いをしてしまうであろう。

また、子どもの姓(苗字)も複雑になる可能性がある。
婚姻時に姓を変えた方(多くの場合母親)が親権者となることが多く、子どもを母親の戸籍に移す場合には、子どもの姓(苗字)も母親の旧姓に変える必要があるため、同じ家に住んでいながら両親の苗字が異なる状況になってしまうということもあり得るのだ。

なお、これについては、両親とも継続して同一の姓を名のることで必要な手続きを行ったり、子どもの戸籍を移さない方法を使うことで、避けることも可能である。

 ③ 追い出されるリスク

婚姻中の夫婦は、同居義務を負っている。
これに反して勝手に家を出たり、相手を追い出したりすると、悪意の遺棄といって離婚原因や慰謝料請求原因になる。

一方、離婚後は法律上の同居義務がなくなるため、いきなり追い出されたり、相手が勝手に家を出て行った相手に同居を求めたり、慰謝料を請求することはできない

つまり、離婚後の同居は、住居の面で不安定な状態が存在するのだ。

そもそも、離婚するほど仲が悪くなったのに、同居し同じ家で顔を合わせるということを不思議に感じる人は多いはずだ。

 ④ 「事実婚」「偽装離婚」とみなされる可能性がある

離婚後も同居していると「事実婚」として婚姻関係を継続しているとみなされたり、「偽装離婚」を疑われたりする可能性がある。

離婚後の同居が事実婚偽装離婚であると認定されると、
・ひとり親の場合に給付される児童扶養手当、就学支援金、高校無償化などの給付金については返還しなければならなくなる可能性がある。
・財産分与した後で偽装離婚を疑われると、高い税率の贈与税が課税される。
・生活保護の需給ができなくなる可能性がある。

等のリスクが生じることもある。

また、事実婚や偽装離婚となった場合には、給付金の返金や犯罪となる可能性があり捜査機関の取り調べを受けることがある。

一方、配偶者控除・扶養控除配偶者控除や扶養控除は、離婚すると受けられなくなるので注意が必要。

 ⑤ 離婚後の一方の借金やローンを他の一方も連帯責任を負う?

離婚後に同居しているいずれか一方(特に就労していない元妻の場合が多いかも)がしたローンや借金、その他契約について、同居していることが「事実婚」と判断された場合には、日常生活において必要な契約であり、もう一方も連帯して責任を負うことになり、借金や購入費用などを支払わなければならないことになるのだ。

民法第761条
「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯して責任を負う。」

イメージ:筆者撮影

|おわりに

以上、ざっくりと離婚後の同居に係るメリット、デメリットについて記載しましたが、そのほかにもまだまだある。

いずれにしても、離婚後の同居が「偽装離婚である」もしくは「事実婚(内縁関係も含む)の状態である」というように判断されて、結果としていろいろな給付金や手当が給付されなくなったり、犯罪であるとの汚名を着せられないようにしないといけない。

ましてや同居の借財や契約が同居生活(共同生活)に必要な契約として、別れたはずの相手方の借財を連帯して返済する義務まで負う可能性があることも理解しておくことが必要ですね。

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