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児童虐待通告が過去最多に!

警察庁の発表によると、令和5年中に警察が児童相談所に対し「虐待の疑いがある」として通告をした未成年の数が過去最多を更新したそうです。


|発表概要

警察庁によると、昨年(R5年)中の統計をまとめた結果は

○ 警察が児童相談所に「児童虐待の疑いがある」として通告した18歳未満の未成年は12万2,806人、前年比6.1%増
○ 2004年から19年連続で過去最多を更新
○ 最多は「暴言を吐くなどの心理的虐待」9万761人身体虐待2万1,520人ネグレクト(育児放棄)1万205人性的虐待320人
○ 虐待の被害に遭った18歳未満の子どもは2,415人(前年比9.1%増)で過去最多、内訳は男児が1,262人、女児が1,153人、死者は28人(過去最小)
○ 警察が摘発した虐待事件は2,385件(同9.4%増)
○ 摘発された加害者は2,419人で、内訳は実父1,068人、実母650人、養父・継父390人
○ 面前DV(ドメスティックバイオレンス)などの「心理的虐待」を受けた子どもが9万761人で、約7割を占めた。

だったという。

|「児童相談所」とは

いまさらですが「児童相談所」は、子どもの権利を守るための相談・援助を行う機関です。

設置の根拠法令は、「児童福祉法」です。
この法律(法第12条)に基づきに各自治体に設置されている行政機関なのです。
原則として0〜17歳までの子どもに関する相談や通告を受け、適切な支援につなげることで子どもの権利を守ることを目的としているのです。

児童相談所は都道府県及び指定都市に設置義務が課されており、全国に232ヶ所あります(2023年4月時点)。

児童相談所での相談・通告で多いのは「児童虐待」に関することだそうです。

|「児童相談所への通告」義務

○ 国民の義務

児童虐待の通告は全ての国民に課せられた義務
児童福祉法第25条の規定に基づき、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した場合、全ての国民に通告する義務が定められています。

児童福祉法第25条(要保護児童発見者の通告義務)
要保護児童を発見した者は、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない(抜粋)。

○ 早期発見の義務(児童虐待の防止等に関する法律:第5条)

児童虐待の防止に関する法律では、特に、学校、児童福祉施設、病院等児童虐待を発見しやすい立場にあるものは,児童虐待の早期発見に努めなければならないとされています。

第5条
1 学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。
2 前項に規定する者は、児童虐待の予防その他の児童虐待の防止並びに児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援に関する国及び地方公共団体の施策に協力するように努めなければならない。
3 学校及び児童福祉施設は、児童及び保護者に対して、児童虐待の防止のための教育又は啓発に努めなければならない。

○ もう一つの警察から児童相談所への通告

14歳以上の虞(ぐ)犯少年については,原則として,これを発見した者が家庭裁判所に通告しなければならない。
警察官又は保護者は,この虞犯少年が18歳未満であり,かつ,直接これを家庭裁判所に送致し,又は通告するよりも,まず児童福祉法による措置にゆだねるのが適当であると認めるときは,その少年を直接児童相談所に通告することになります。

つまり、14歳~18歳未満の少年について、保護者がいないとき又は保護者に監護させることが不適当と認められ、かつ、福祉の措置に委ねるのが適当であると認められるときは、児童相談所に通告することになります。

14歳未満の少年については、保護者がいないとき又は保護者に監護させるのが不適当であると認められるときに児童相談所に通告します。

|おわりに

子細な統計データは現時点では入手できていないですが、通告等の概要は上記のとおりです。

警察が児童相談所に「児童虐待の疑いがある」として通告した18歳未満の未成年者数が過去最多を更新したことは由々しき事態ですね。
今回調べてみて、児童相談所への通告が全国民の義務であると知りました。

児童虐待がないことが望ましいが、もし児童虐待を受けたと思われる児童を発見した場合には法律に基づいて児童相談所に通告しましょう。

<参考>

配布されているチラシです。参考にどうぞ!

日工組社会安全研究財団公式サイトから転載

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