「信号機のない横断歩道」まだ約半数が止まらない!
JAFが今年(2024年)に調査をした「信号機のない横断歩道」で歩行者がある場合の車の停止率が公表されました。まだまだ優先の意識が低いようですね、JAF公表資料を引用して記載します。
|JAFが行った調査の概要・方法等
➤ 調査期間
2024年8月7日~8月28日のうち、月曜日から金曜日の平日のみ
➤ 調査時間
上記期間のうち10時~16時の間
➤ 調査場所
各都道府県2箇所ずつ(全国合計94箇所)の信号機が設置されていない横断歩道
※センターラインのある片側1車線道路で、原則として、調査場所の前後5m以内に十字路および丁字路交差点がない箇所で、道路幅員が片側2.75m~3.5m、交通量が3~8台/分(目安)とし、制限速度が時速40~60km程度の箇所
※詳細の調査場所は非公表
➤ 調査対象
上記の横断歩道を通過する車両
※横断歩行者側の車線を走行する自家用自動車、自家用トラック(白ナンバー)
➤ 調査方法
横断歩行者はJAF職員(横断歩道の立ち位置や横断しようとするタイミングを統一)、調査回数は1箇所50回の横断(合計100回の横断)
➤ 調査台数
全国合計 6,647台
|調査結果(概要)
信号機が設置されていない横断歩道を通過する車両を対象(6,647台)に行ったところ、歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止した車は3,525台であり全国平均では53.0%という結果となったという。
前年の調査時と比べて7.9ポイントの増加となったが、依然として約半数の車が止まらない結果だった。
|都道府県別の調査結果
県別でみると、最も停止率が高いのは長野県の87.0%。最も低いのは富山県の31.6%だった。
これを停止率順で並べ替えると下表のとおりである。
こちらはJAFが公表している資料を引用したものであるが都道府県別の状況を表現したもの。
なお、2023年の調査で最下位だった新潟県(前年の一時停止率23.2%)は、前年と比較すると25.8ポイント改善させて49.0%となり最下位を脱した。一方で富山県のように前年よりも18ポイント低下した (50.0% →31.6%)ところもある。
|信号機のない横断歩道でのルールを振り返えろう
調査結果を見ると、まだまだ徹底されていない「信号機のない横断歩道における横断歩行者等の保護義務」である。
いま一度、道路交通法をひもとくと、道交法第38条に「横断歩道等における歩行者等の優先」に関して規定されている。
信号機のない横断歩道でのルールとしては
○ 横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる場合には一時停止をし、その進行を妨げてはいけない
○ 横断歩行者がいないことが明らかでない場合のほかは、いつでも停止できるように速度を落として進行しなければならない
○ 横断歩道内およびその手前30mは追い越しや追い抜き禁止(前方進行車両等の側方通過の禁止)
である。
また、これに違反した場合には罰則が適用され、
「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する」(第119条の2)
と規定されている。
「横断歩行者等妨害違反(横断歩道等における歩行者等の妨害違反)」の反則金及び基礎点数については、
・ 反則金:大型車 1万2,000円、普通車 9,000円
二輪車 7,000円、原付 6,000円
・ 基礎点数:2点
である。
|横断歩道のない交差点付近での歩行者優先
本件とは直接関係ないが、道路を横断中の歩行者との交通事故の発生も多い。
前述のように横断歩道はもちろんだが、道路交通法第38条の2では「横断歩道のない交差点における歩行者の優先」を定めているのだ。
この規定は、
○ 交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所
○ 歩行者が道路を横断しているとき
○ その歩行者の通行を妨げてはならない
ということである。
つまり、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所で、現に歩行者が道路を横断しているときは、一旦停止するなどしてその歩行者の通行を妨げないようにしなければならないということ。
横断している歩行者がいるのに
・クラクションを鳴らして注意を与え、歩行者を停まらせる
・横断者の直前を通行して退かせたり、歩行者を停まらせる
などの行為をすると違反になる可能性があることも理解しておこう。
|おわりに
自動車運転者の義務として、法律で定められた交通ルールをもう一度確認して、交通事故の発生や危険を防止しましょう。
JAFの調査結果のように、信号機のない横断歩道における歩行者等の優先義務があるのにも関わらず、依然として多くのドライバーが一時停止をせず歩行者の通行を優先していない実態があるのだ。
警察による徹底した取締りを行うことで違反であることの意識付けが必要なのであろう。
また一層の応報啓発活動を行うことも大事である。
参考