犯罪対策閣僚会議で・・仮装身分捜査等緊急対策を決定
闇バイトによる犯罪が相次いでいることを受けて、政府の犯罪対策閣僚会議が開かれ当面の緊急対策が決定された。
｜犯罪対策閣僚会議
政府は総理大臣を長とする犯罪対策閣僚会議を開催した。
今回は第41回目（令和６年12月17日）。
今回の議題は
いわゆる「闇バイト」による強盗事件等から国民の生命・財産を守るため
の緊急対策について
である。
｜緊急対策の概要
今回の犯罪対策閣僚会議で決定した当面の緊急対策として決定した主な項目は
〇 求人者の情報や業務内容を明示しない募集を「違法」と明確化
〇 事業者に違法な労働者募集の削除を促す
〇 単発アルバイトの仲介業者に、求人情報の事前審査の厳格化を指導
〇 SNS事業者にアカウント開設時の本人確認の厳格化を要請
〇 雇われたふりをする「仮装身分捜査」を導入
などである。
なお、緊急対策は内容はこちらURLで。
｜ＳＮＳ事業者に闇バイト募集投稿削除促す
ＳＮＳ事業者に闇バイト募集の投稿を削除するよう促すなどの対策を進めていく考えを示した。
インターネット上でどのよう情報の流通が違法になるかを示すガイドラインの策定の準備を総務省で進め
アルバイトの募集を行う者の氏名や業務内容などの明示がない募集は職業安定法に違反することを明示し、ＳＮＳ事業者による投稿の削除など適切な対応を促していく
という。
また、インターネットサービスを提供する事業者に対し、
・携帯電話番号による認証など本人確認の厳格化
・利用者への注意喚起などの対策を進めるよう求めていく
こととするという。
｜仮装身分捜査
警察庁では、闇バイトによる犯罪が相次いでいることを受けて、捜査員が架空の人物の運転免許証などを使って闇バイトに応募し、犯行グループに接触する「仮装身分捜査」を早期に実施する。https://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/dai41/siryou1.pdf
これは、警察庁が、ことし８月以降、闇バイトによる強盗事件が相次いでおり、一部逮捕しているものの、指示役の検挙や実態解明、それに次の犯行をいかに未然に防ぐかが課題となっている。
ＳＮＳなどの媒体を使用して行われてる闇バイトの募集活動は、秘匿性の高い通信アプリに誘導し、本人確認のためであるとして、指示役から運転免許証などの証明書の提示が求められている。
求めに応じて送ると、その後断ろうとしても個人情報をもとに脅されて犯罪に加担させられるケースが多くなっているという実態がある。
一方で、警察庁ではこれまでも、捜査員の身分を隠して、闇バイトに応募するという捜査手法自体は行ってきたが、本人であることの証明書の提示,つまり運転免許証やマイナンバーカード、学生証などの提示を求められることが多くなった。
そのため検挙につながるケースはほとんどなかったという。
そこで、捜査員が架空の人物の運転免許証などを使って闇バイトに応募する「仮装身分捜査」の導入が検討されているのだ。
👉 刑法との関係
運転免許証などの証明書を偽造することは公文書偽造などの罪に問われるおそれがあるのだ。
一方、刑法では「法令または正当な業務による行為は罰しない」と規定されていることから、警察庁では正当業務行為として現在の法律の範囲内で対応が可能ではないかとして、関係省庁と協議を進めている。
闇バイトによる犯罪の捜査に限定し運用するなど、運用の指針を策定した上で、来年にも実施したい考えだ。
👉 「おとり捜査」との違い
「おとり捜査」は、捜査員であることを隠して犯行グループに接触する捜査手法の一つであり、日本では現在、薬物や銃器の取引に関する捜査でのみ実施されている。
例えば薬物の売人や購入しようとする人に薬物の売買を働きかけて、犯罪行為を行った段階で摘発するのだ。
「仮装身分捜査」との大きな違いの一つは、「おとり捜査」では本人証明書を偽造して提示することまでは行わない。
一方、「仮装身分捜査」では、ＳＮＳ上で募集されている闇バイトの投稿にアクセスして応募を装うなど接触を図ることを目的にしており、捜査員から犯罪行為を働きかけるわけではなく、その際に使用する身分証明書の偽造を容認しようというもの。
｜おわりに
今回の緊急的な対策が功を奏して、闇バイトの募集やこれに伴う犯罪が減少することが望ましいところである。
捜査手法等については,正当業務行為ということでスタートすることを否定するつもりはないが、将来的な公判の維持ということを考えると、法令で明確に規定しておくことが望ましいと考える。
参考資料
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/index.html