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子どもの自殺概要

自殺対策白書(R5)が公表された。その中の子どもの自殺に関することを以下概略を記載します。少子化のおり子どもの自殺は避けたいですね。


|概要

我が国の自殺者数は、全体としては減少傾向にあるものの、こどもについては増加傾向にある。特に、小中高生の自殺者数については、令和5(2023)年に513人となり、過去最多であった前年と同水準で推移している。

|政府の取組状況

政府は、この状況を大変重く受け止め、令和4年に、こども・若者の自殺対策の更なる推進・強化を柱のひとつとした第4次「自殺総合対策大綱」を閣議決定した。

令和5年には、「こどもの自殺対策緊急強化プラン」を取りまとめ、こどもの自殺対策を緊急的かつより強力に推進している。
なお、小中高生の自殺の推移は以下のグラフのとおり。

資料:厚生労働省「自殺対策白書_概要」より転載

|子ども(小中高生)の自殺の原因と動機(大分類)

○ 小中高生は自殺の原因・動機が「不詳」である割合が高く、学校段階が上がるにつれ、その割合は低下する。
「家庭問題」の割合が高いのは、男女ともに小学生である。
○ 「健康問題」の割合が高いのは、女子高校生である。
○ 「学校問題」の割合が高いのは、男性では中学生高校生であり、女性では中学生である。

資料:厚生労働省「自殺対策白書_概要」より転載

|小中高生の自殺の原因と動機(詳細項目)

自殺の原因・動機の詳細項目で多くみられるものは、
➢ 「家庭問題」では「家族からのしつけ・叱責」「親子関係の不和」
➢ 「健康問題」では「病気の悩み・影響(うつ病)」、「病気の悩み・影響(その他の精神疾患)」等
➢ 「学校問題」では「学業不振」、「その他学友との不和」、「その他進路に関する悩み」等である。

資料:厚生労働省「自殺対策白書_概要」より転載

|小中高生の自殺の増加と原因・動機

○ 小中高生のうち、男性は2019年、女性は2020年に自殺者数が急増しており、特に男子高校生、女子中学生及び女子 高校生が大きく増加している。
○ 自殺者数の急増に伴って増加した自殺の原因・動機は、
女子中学生では「不詳」、「その他家族関係の不和」、「学業不振」、 ➢ 男子高校生では「病気の悩み・影響(うつ病)」、
女子高校生では「病気の悩み・影響(その他の精神疾患)」 、 「不詳」、 「病気の悩み・影響(うつ病)」であった。

資料:厚生労働省「自殺対策白書_概要」より転載

|小中高生の自殺者における自殺未遂歴

○ 小中高生の自殺者急増前(2009〜2019年)、自殺者急増期(2020〜2021年)、自殺者急増後(2022〜2023年)の各期間について、小中高生の自殺者に占める自殺未遂歴ありの割合の推移をみると、
女性は、自殺者急増期に自殺未遂歴ありの割合が上昇している。
女子小学生は、自殺者急増後も自殺未遂歴ありの割合が横ばいで推移している。

○ 2022年以降では、小中高生は男女ともに自殺未遂があった時期が自殺の1年以内である場合が過半数を占め、特に女子小学生や女子高校生では、自殺から1か月以内に自殺未遂歴があった自殺者の割合が高い

資料:厚生労働省「自殺対策白書_概要」より転載

|長期休暇明けの小中高生の自殺

○ 2009年以降の小中高生の自殺者数を日別でみると、8月後半から増加し、特に夏休み明けの9月1日に多くなって いる。
過去の分析と比べ、夏休み明けの9月1日の自殺者数は減少し、春休み明け(4月上旬)の自殺者数の増加 は緩やかになっている。

○ 地域別にみると、「北海道・東北」の自殺者数が特に増加する時期は、「その他地域」よりも2週間ほど早い。北 海道・東北地方については、夏休み明けが1〜2週間早い傾向にあることと関連があると考えられる。

資料:厚生労働省「自殺対策白書_概要」より転載

|自殺統計原票 データから示されたこと、および対策

👉 自殺統計原票 データから示されたこと
・ 小中高生の自殺の原因・動機は不詳が多いが、小学生では「家
庭問題」
、中学生では「学校問題」、高校生では男性で「学校問
題」
、女性で「健康問題」が多くみられるなど、年齢別・性別で
様相が異なる。
・ 令和2年前後の自殺者急増期に、女性の自殺未遂歴のある自殺
者の割合が上昇

・ 夏休み明けが早い「北海道・東北」は、小中高生の自殺者数が
特に増加する時期がその他地域より約2週間早い

👉 これらから考えられる対策等
☆ 1人1台端末等を活用した「心の健康観察」の推進
☆ 「こども・若者の自殺危機対応チーム」の取組を通 じた、地域における自殺未遂・自傷行為の経験者等 への支援に関する知見の蓄積 
☆ 「自傷・自殺未遂レジストリ」を活用した自殺未遂 者の属性や傾向についての分析と支援手法の探究
☆ 国や都道府県等による、適時適切かつ集中的な相談 窓口等の啓発活動

|おわりに

子どもの自殺対策として政府を挙げていろいろな施策に取り組んでいるところであるが、子どもが自ら命を絶つようなことのない社会を実現して欲しいと思う。

学校や家庭においても自殺リスクを早期に発見して、リスクの排除、支援が行われるよう願っている。

参考・資料等:
自殺対策実施状況概要;https://www.mhlw.go.jp/content/001321212.pdf

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