2024.12.7 vs広島
1Qにつけられた点差を一時は1まで減らすも、惜しくも敗れた昨日の試合。そこにはどんな攻防があったのかについての一考察です。
1Qの失点が多かった理由
1Qに広島があげた得点は35。その60%の21点を、初めの約5分間であげています。この時間、広島の何が良かったのか。それは選手の配置(アライメントと言います)。
この時間、スタート時広島が起用した5人は中村、エバンス、メイヨ、山崎、三谷。一番大きい選手はメイヨですが、彼は現在3pt%でリーグ3位につける名シューターで、この試合でも3ptラインの外に位置取ることが多かったです。
その結果起こったのが、メイヨについていたバッツがゴール下を離れる、ということです。バッツは、FEにとっては貴重なリバウンダーであり、かつリングへのアタックを防ぐリムプロテクター。そのバッツが外に誘き寄せられると、FEの守備力は低下してしまいます。
例えばこのシーン(0:21〜)では中がぽっかり空いていますが、これもバッツがメイヨから距離を取れなくなってしまって、ペイントに居座ることができなくなったためと言えます。
更に、バッツは1Q残り4:54で2つ目、残り1:22で3つ目のファウルを犯してしまいます。バッツに代わるセンターのジャックは若干強度不足。ここでFEがとった対策は2−3ゾーンディフェンスでした。
広島がゾーンを攻めあぐねた理由①
ゾーン、特に2−3ゾーンは、ゴール下に多く選手を配置し、外側のシュートに対するプレッシャーはやや薄くなる守り方です。1Qに75%の3ptを沈めた広島には寧ろ逆効果なように思えますが、これが不思議と奏功します。その理由の1つが、広島のゾーンアタックの拙さです。
ゾーンアタックをする際、「ハイポスト」と呼ばれるフリスローライン辺りのポジションに一度ボールを入れることは、1つの定石と言っていいものです。ハイポストにボールを入れることで、2−3の上2人の意識、もしくは体自体をインサイドに引き付けることができ、アウトサイドへのプレッシャーを弱めることができるからです。
しかし、広島は5outのアライメントをゾーンアタックでも続けたことで、ボールがインサイドに入ることがなかなかありませんでした。その理由はおそらくですが、やはりバッツの存在でしょう。もしインサイドにボールが入りシュートチャンスが生まれたとしても、最後にリーグ屈指のリムプロテクターが控えています。3Q4:24の場面などは正しくその好例で、完全にフリーな状態で山崎にパスが入りましたが、そこにいたバッツにブロックをされています。
更にもう一つバッツの存在によって生まれた効果が、ディフェンスリバウンドの確保です。バッツ不在の2Qに5本だったFEのディフェンスリバウンドは12本(うち6本はバッツ)に増え、また広島のオフェンスリバウンドは5本から2本に数を減らしています。
広島がゾーンを攻めあぐねた理由②
もう一つFEのゾーンが良かったのは、ゾーンの柔軟性です。
ゾーンディフェンスは本来そのゾーンを守るためにディフェンスは持ち場を離れません。もし離れてしまったらそれはディフェンスの形の崩壊を意味します。
ところがFEはそこにある程度の可変性を許していました。その最たる例が、3Q6:32からの場面です。ここでは右ウイングでボールを受けたブラックシアーがコート中央側(ミドルレーンと言います)にドライブを開始します。このドライブは保岡がなんとか侵入を阻止し、ブラックシアーは左ウイングにいる中村にパス。そこに右下にいたヘンリーが対応。すると左コーナーにいる山崎がフリーになります。これこそが2−3ゾーンの崩し方の好例なのですが、なんとここに飛び込んだのが、本来逆サイドのウィングを守っていた保岡です。ブラックシアーに対応して近くにいたとは言え、一般的なゾーンの運用ルールからは外れていると言えます。この形が続けばそれはもはやマンツーマンなのですが、ショットクロックの残り秒数などで、ゾーンをマンツーに変えることをよしとしているのかもしれません。
この柔軟性、当然外側の選手はとてもしんどいのですが、バッツの機動力という弱みをカバーしつつ、寧ろリムプロテクターとしての存在感という強みを最大限引き出す、絶好の作戦だったように思います。
まとめ
結局4Qに広島はハイポストに選手を置き始め、FEはゾーンを解除しますそれによってまた広島の攻撃にリズムが生まれてしまったように思いますが、それは結果論であり、どちらが正しいのかは分かりません。
広島の5outに対する守り方を見出さない限りゾーンはまた使うように思います。その時、ハイポスト対応のために昨日以上にバッツ以外の4人の運動量が求められますが、きっと彼らはやってくれるでしょう。Go!Eagles!!