2024.11.2vs仙台

 アーロン復帰戦を78-62で勝利したFE名古屋。得意な試合展開で連敗を止めることができて大いに喜ばしいのですが、試合後のインタビューで川辺HCは反省点も挙げていました。

 この中にあった「ブース選手のエルボーからのアイソ」について取り上げたいと思います。


用語解説

 まずエルボーとは、

フリースローラインとフリースローレーンの交わるペイントエリアの角のエリア。

株式会社ERUTLUC|用語集

のことを指します。

 またアイソとは、「アイソレーション」の略で、以下のような意味があります。

 昨日の試合では、以下のような流れからブースの1on1でチャンスをたくさん作られてしまいました(0:37~)。

ブースを有利にする方法

 上のブースの1on1をもう一度ご覧ください。本来多嶋をマークしていた笹山が、途中からブースとマッチアップをしており、その結果高さのミスマッチをつかれて難なくジャンプシュートを決められてしまっています。これ以外にも、こうやってミスマッチを作り出されてしまったシーンが、昨日の試合ではたくさん見られました。
 ではなぜこのようにミスマッチを作られてしまうのか。1つはFEのスクリーンに対する守り方に「ショウ」を採用しているからです。
 ショウは、スクリーンを掛けてもらったボールマンの侵入を防ぐため、一旦センターがボールマンの前に立ちはだかるところにあります。そこでボールマンのドリブルを止めさせ、その間にスクリーンにかかってしまったガードがボールマンのディフェンスに戻ってくる時間を稼いで、センターは自分のマークマンに戻る、というのが基本の守り方です。

つまり、一度はオマラやジャックが相手のハンドラーにつき、逆に笹山や並里のような小さい選手がブースにつく「ミスマッチ」が起こる訳です。
 もちろんFEもミスマッチは起こしたくないのでスイッチをし直して、マッチアップを元に戻したいのですが、それを許さないのがもう一つの理由、「ブースのうまさ」です。

 この場面では、笹山は自分のマークマンに戻ろうとブースの背後から回り込もうとします。しかし、それを許さないのがブースのお尻です。これはPnRといっていいですが、ブースは笹山にスクリーンを掛けていません。それよりも早くロールしてしまって、笹山の動きを(結果的に)封じています。(結果的に)というのは、これがスクリーンだとしたら動いてしまっているので「イリーガルスクリーン」という反則になりますが、ここではスクリーンではなく相手DFをお尻で押し込んでゴールに近づく「ダックイン」というプレーをしているのでセーフです。

FEの対策

 ではFEはこれに対しどのような対策を取ったのか。それは、ガードの通り道の変更です。
 先ほども書いたように、ブースの背後を周ればダックインされスイッチを強制的に発生させられますが、逆にブースよりゴールの外側を通れば(つまりは「オーバー」です)、ブースのダックインは防げます。

 こちらは動画がなかったのでバスケットLIVEで確認していただきたいのですが、例えば4Q8:00のシーン。ピックを掛けられた並里はオーバーで多嶋を追いかけます。オマラも多嶋についていったので結果的にはスイッチになっていますが、守り方を変えたのが分かります。残り6:44でも同様並里はオーバーでブースについていっています。下ではなく上を抑えに来たのですから、ブースとしてはゴール下に行けばよさそうなもの。しかしそこにはオマラが待ち構えています。こうして、ブースの選択肢を2つに絞ることに成功するわけです。
 この守り方の変化がついに効果を発揮したのが、4Q残り2:15。青木がフリーになりかけたブースにパスをしますが並里がフリック。速攻に繋げます。また残り51秒でも、今度はオマラがフリック。ブースがロールした後の居場所を消すことに成功します。
 最終的に、3Qまでで16得点をあげていたブースを、4Qは2得点に抑えることができたのです。

 今日も仙台はブースの使い方を工夫してくるのでしょうが、我々のベンチ陣に、相手を上回る修正を期待したいと思います。

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