2024.2.10vs佐賀 超人オマラ
昨日の試合で20得点12リバウンド7アシストと大活躍したオマラ。彼が活躍できた理由の一考察です。
佐賀のPnRへの対応
佐賀は、FEのPnRに対しスイッチで対応してきました。スイッチはハンドラーにビッグマンがすぐ対応できるので、ハンドラーへのプレッシャーを弱めたくなかったのだと思われます。
ただ、スイッチの弱点は、ハンドラーのディフェンスvsスクリーナー(例えば昨日の試合では、角田vsオマラ)といったミスマッチができてしまうことです。
単純にビッグマンがガードを相手にポストプレーを始めてしまえばひとたまりもないですが、例えば前節信州戦のハイライトを見ると、スイッチでできたミスマッチは、ガードが何とか踏ん張り、マークをしていたセンターが近寄りダブルチームを仕掛ける、という守り方をしていたようです。
またビッグマンのダイブに対しては,、下の動画のように(2:28~)
① スイッチしたボールマンのディフェンスが、ビッグマンの前に入りパスを出させない。
② 周りの選手がヘルプ(スタント)に入り、①のディフェンスの頭を越す裏へのパスに備える。
という形で対応しようとしていたとみられます。
相手を上回る個人戦術
ところが、上の佐賀の守り方はなかなかうまくはいきませんでした。
例えば下の場面では、(0:40~)
① オマラのダイブがワンテンポ速く(スリップ)、井上が追い付けていません。
② オマラのダイブに狩野が備えますが、笹山が一瞬左サイドの佐土原に視線を送り、それに反応した狩野が佐土原に戻ろうとすることで逆を突かれています。また満原も、笹山の体の向きから予測されるJJへのスキップパスを警戒していたため、オマラへのダイブに備えることができません。
このように、選手それぞれの個人戦術が佐賀の選手を上回り、イージーなバスケットに繋げることができたのです。
※ 本来はチャイルズがもっと笹山にプレッシャーをかけないとこのディフェンスの意味がありませんが、そういったところ許さなかったところからも我が軍は相手を上回れていたと言えるでしょう。
また、初めに紹介した、ポストプレーへのダブルチームも機能しませんでした。それを打ち破ったのはオマラの判断スピードです。
例えばこの場面では(1:01~)、JJとのPnRでガルシアとのミスマッチになったオマラは、パスが入るや否や勝負を仕掛け、ダブルチームをさせていません。ハレルソンが間に立ちJJからまっすぐにパスが入らなかったので、ルークが角度を変えてパスを経由しているところも重要なポイントです。
またこの場面では(2:27~)、ガルシアとのミスマッチになったオマラにパスが入ったところでチャイルズがダブルチームを仕掛けますが、オマラは冷静にインサイドでフリーになったルークを見付けパスを入れて解決しています。
ではなぜルークがフリーになったのか。
ダブルチームを仕掛けた瞬間、初めルークについていた満原はヘンリーにへのチェックに走っています。これは、パスを入れた瞬間ヘンリーがフリーになることを恐れたのでしょう。それを見たルークはインサイドへダイブ、フリーでパスを受けることができたわけです。
実は3Qの5:56では、同様の形から、十分にハレルソンをひきつけたオマラがJJにパスを返しています。この時は外への対応が遅れていたため、JJは遅れて出てきた井上をかわしてドライブ、ヘルプに来たガルシアからファウルを引き出しています。尚、このファウルから得たフリースローをJJが沈め、オマラにこの日5本目のアシストが記録されています。
このように、佐賀としてはオマラのところにミスマッチが生まれるのは承知の上。そこにダブルチームを仕掛けることで優位に立とうとしていたのでしょう。ところが、外が空いたら外へ、外を警戒されたら中へ。オマラはダブルチームを組まれても、とても落ち着いて対処できていたわけです。昨日の7アシストも頷ける結果です。(超人ハルクを思わせるような空中オーバーヘッドスローはまた別の意味ですげえですが)。
今日の展望
理念は理解できるものの、脚がついてこなかったために「本当にこの守り方でいいの?」と心配になるくらいに最終的には粉砕されてしまった佐賀のディフェンスでしたが、やはりこのままでは終わらないでしょう。エナジーを出して走り回るのか、はたまたがらっと守り方を変えるか。いずれにせよ、落ち着いて対処して、連勝をもぎとってもらいたいです。