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本の感想 「フェイクニュースの生態系」 藤代裕之編著

「フェイクニュースの生態系 (青弓社ライブラリー)」が日経新聞で紹介されていたので、読んでみました。

「はじめに」で、すでに「ほとんどの人にフェイクニュースは見抜けない」と宣言されています。私は大丈夫だと思ったのに…(いや、最初から自信がないから、こういう本読んでます)。でも、逆に免罪符をもらった気も…。(いや、そういうわけでないですね…)

フェイクニュース1つ1つへの対処方法というよりは、そもそもニュースが世の中で流れていく中で、どうしてフェイクが含まれていくのかを理解して、世の中どういう対策をしているのか(とその対策自体の難しさ)と、さらに今後どうしていくべきか、という話。

noteをやっていると関連記事がたくさん出てくるので、ふむふむと読んでしまう方ですが、リコメンデーションのあるSNSとの付き合い方、気をつけねば、と、思わされる本でした。あとは、個人で対処できる範囲を超えた壮大な問題であるのだということも実感できました。ぜひ多くの方にこの問題を認識してもらいたいです。

フェイクニュースを流すことで利を得る人たちがいる限り、フェイクニュースはなくならず、フェイクニュースはアクセス数を稼ぐため(広告費を得たり、政治的混乱を招くため)に巧妙に人を惹きつけるコンテンツになっており、それを避けるのは、個人には難しいという話や、「批判的思考」で検索をすることでマスコミなどが報じない情報にたどり着き、それが汚染された情報であった場合、フェイクニュースにかえって触れてしまう(そして拡散してしまう機会が増える)という話も。検索やSNSを使っている限りは、避けるのが難しいんですね...。

対処方法としては、情報リテラシー教育(若者だけが問題を抱えているわけではないので、全世代対象)、ジャーナリストがニュースの質を評価できるようにする「ニュースリテラシー」教育、そのような情報を流してしまうメディア(Facebook、Google、ポータルサイトやメッセージアプリ)が、そのような情報を検知して掲載しないようにし広告料を稼げないようにしていくことや、「こたつ記事(取材なしでネット上の情報を集めて記事にする)」を取り上げないなど、社会全体、生態系全体で取り組むべき項目などの提言がありました。

逆に提言になっているということは、現状そのような対応が取られていないという前提で、SNSなどで自分が欲しくてたまらない情報がおすすめグループや広告として提示された場合の対処は気を付ける(リコメンデーションにどっぷりはハマっていると思うけれど)、「ミドルメディア」と言われている「まとめサイト」などのアクセス数稼ぎのサイトは信用しないように付き合っていく、「シェアの意味」などを考えていくとよいのかな、と思いました。

その他、この本でおもしろいと思ったところは、

辻本元議員に関するフェイクニュースのチェックの方法や、そのフェイクニュースがいかに作られていったかの実例があって、事実が曲がっていき、フェイクニュースになっていく過程がわかって興味深かったです。

ファクトチェックを行う難しさ(情報の正しさを評価するための情報集めの困難さ)、ファクトチェックを実施する主体の中立性の大切さなども参考になりました。

小さいこどもがネットで何か調べるときには、なるべく検索を使用する必要がないような直接的な情報を準備したり、YouTube kidsなどある程度チェック済みのものを使用するようにしたいと思いました。

ある程度大きくなったこどもには、この本の内容のようなネットで現状起きている問題を知らせておく必要があると思いました。

参考


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