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アジアのコーヒースタートアップを実際に体験して発見した、テクノロジー x 店舗チェーンのUX

先日noteにしたアジアのコーヒースタートアップ2019年で、アジアで盛り上がりを見せているコーヒースタートアップをいくつか挙げました。

アジアのコーヒースタートアップの中で、勢いのあるスタートアップはテクノロジー x リアル店舗中心のサービスを展開をしているということがわかりました。仕組み自体は難しいことではないので体験の想像はできるのですが、その体験にどれくらいのインパクトがあるかは実際に体感してみないとわかりません。ということで深セン(中国)ジャカルタ(インドネシア)へ行ってUXを確かめてきました。

今回ターゲットにしたスタートアップ

今回は先日のnoteでも挙げたluckin coffee(瑞幸咖啡) (中国)、Fore Coffee (インドネシア)の体験を目的にし、現地へ向かいました。一連の注文方法などはネット上に溢れているので割愛します。こちらではテクノロジー x リアル店舗コーヒースタートアップで体感したUXについて書きます。

luckin coffee(瑞幸咖啡) (中国)
アプリでしか決済、注文ができないコーヒーショップ。O2O、OMOのコーヒービジネスとして急成長、注目を浴びている。テイクアウトとデリバリーがメイン。2019年3月末で2,370店の店舗数に拡大した。2019年中に4,500店舗まで伸ばす目標としている。
Fore Coffee (インドネシア)
スペシャルティコーヒーのみを使ったオンデマンドコーヒーデリバリー。主要ショッピングモールなどを中心に2019年3月で35店舗を展開。1月時点では19店舗だったので約2倍に拡大した。

WeChat、GO-JEKの存在

どちらの国にも日本とUXの前提を大きく変えるプラットフォームがあります。まず中国はWeChatPay(微信支付)Alipay(支付宝)の電子決済が主な決済手段として普及しており、インドネシアもGO-JEKの提供するGO-PAY、そしてOVOが決済手段として普及しています。そしてそれぞれが柔軟で豊富なAPIを用意することで各サードパーティのサービスがそれを比較的簡単に導入できる環境が整っています。特出して新しいのがWeChatのミニプログラムの存在です。WeChatミニプログラムとはWeChatアプリの中にさらにホーム画面(iOSのホームみたいな)があるイメージをしていただくとわかりやすいかもしれません。お店側とユーザーのインターフェースとして考えると、ミニプログラムはインストールの必要なくすぐに使えるので、iOS/AndroidのAppインストールと比べると格段に使用障壁の低いインターフェースです。

luckin coffeeはWeChatミニプログラムと両OSのアプリ、Fore CoffeeはiOS/Android、いずれも揃っていて基本的にできることはどれも一緒です。今回は場所を変えたり日を分けたりして何度か一連のUXを試してみました。

事前注文、事前決済

飲みたい、欲しい、と思ったときにアプリを開く行動がまず新鮮でした。通常だとお店を探すお店に向かうという行動が先にくるのですが、入り口としてアプリを開くがUXの入口です。

それぞれのアプリは現在地から自動的に近くの店舗を設定してくれるので、ユーザーはすぐにオーダー画面に目を通します。ここで次の発見がありました。メニューからゆっくり選ぶのが思いのほか楽しくて気持ち良いのです。確かにレジカウンターの前で選択の判断を迫られている状況と比較するとだいぶ自由です。

商品を選び終わったら、次は決済です。私はWeChatPay、GO-PAYを使える状態にしていたのでアプリでリンクをしていれば決済は一瞬。そしてここでも新しい発見。お金を使っている感覚が麻痺します 笑。どちらの決済サービスもチャージを前提にしているので、少しお金から距離を置いているのが要因でしょうか。(ただここは個々人で違いがあると思います。) おそらく日本にローカライズする場合、「クレジットカードを登録しておいて都度オーソリをとって決済をする」という手段を安易にとってしまいそうですが、LINE PayやPayPayなどの決済手段も考えて検討すべきところかもしれません。また決済のところで忘れてはならないのがクーポン、バウチャーの存在です。ユーザー登録の時点でどちらも何かしらのクーポンを持った状態になっています。クーポンを使う場合は決済時に使いたいクーポンを選択しておきます。

決済が完了すると、受け取るためのQRコードと商品ができあがる推定の時間が表示されます。このできあがりの推定時間が表示されることによって、ユーザーの時間節約や調整ができるようになるのも新しいUXの発見でした。そして決済と同時に新たなクーポンやバウチャーが発行されます。こうすることによってユーザーは毎回の注文時に何らかのクーポンが使える状態に置かれます。このクーポンを使うという行動がまた気持ち良いんですね。新しいUXの発見です。

ピックアップ

luckin coffeeは用意ができた段階で通知が来ます。(Fore Coffeeのほうは通知なしでした。) 店舗へ行き、アプリに表示されているQRコードをレジに置いてある読み取り機にかざすと、店員さんが用意されている商品を手渡してくれます。ありがとうくらいの言葉は発しますが、基本やりとりはなく受け取って完了です。いやこれクソ早くてスマート!日本にも事前注文、決済のプラットフォームがあったりするので使うことがありますが、だいたいの店舗でイレギュラーのように扱われることがしばしば。これがサービスネイティブで店舗オペレーションに実装されていることでここまでもスマートになるんですね。新しいUXの発見です。むしろキーポイントですね。

デリバリー

デリバリーのUXについては注文、決済時は前述と変わらず。そしてその後のUXは日本のUber Eatsと変わらずでした 笑。日本Uber EatsがサービスネイティブでUXを提供できているので洗練された体験をすることができているのだろうと推察します。そしてデリバリー自体が中国の場合は美団外など、インドネシアはGO-FOODなど、サービスとは別のインフラに乗っかるのでUX的には同じになるのかもしれません。お国柄で違ってくるのが、中国の場合、デリバリーサービスが使う足にはEV自転車(ほぼバイク)がかなり普及しているのと、配達員自体の母数が多いので注文から受け取りまでが超スピーディーに感じます。そしてインドネシアの場合は中間所得層以上のマンション、会社など大きな建物になると入場のセキュリティがキツくなるのでデリバリーが難しいシチュエーションが多々ありそうでした。日本の場合も高層オフィスビルになると入場セキュリティが強めですよね。サービス側はそういった部分も考えてUXを設計すると良さそうですね。

体験することでわかるUX

事前注文、決済、ピックアップ、聞くだけだとすごく簡単な仕組みですが、自身がユーザーとなり体験することで見えてくる隠れたおいしいUXが多々ありました。全体を通して特に大きく感じたのはサービスネイティブですべてが実装されると全体のUXが格段に向上するというところでしょうか。

これからの店舗チェーン

スマホ先進国の中国、インドネシアはluckin coffee、Fore Coffee以外にもいろんな飲食チェーン店が独自のアプリを提供しています。決済インフラ、デリバリーインフラがベースとなったプラットフォームがあることが要因だと思いますが、そのUXは間違いなく日本のものより格段に上です。実際今回はluckin coffee、Fore Coffee以外の体験もしてきました。それを通じて店舗チェーンの新しいモデル、最近流行っている言葉で言うとD2C、O2O、OMO、それぞれをミックスしたようなものが見えてきた気がします。ちなみに一番最高のUXだと感じたのは中国のHEYTEA(喜茶)でした!(最高に気持ち良いです!)

そして最もサービスに影響するのは、サービスネイティブなアプリが存在することで、サービスにとって有用なデータを思いのままに抽出、分析することができるようになります。このデータを使いデータドリブンな経営、サービス設計ができるのが一番の強みですね。

ということで、私のやっているPostCoffeeはこれからリアル店舗を展開していく予定です。ここに書いたようなD2C、O2O、OMOのミックスを日本にうまくローカライズして、新しい時代の店舗チェーンモデルを作り、最高のUXを提供するサービスにすべく、挑戦していきます!

PostCoffeeではこれからの時代のリアル店舗を一緒に形作っていく仲間を募集しています。PR職、マーケティング職、クリエイティブ職については特に大歓迎です。興味ある方はTwitterなどで気軽にご連絡ください。


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