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小さなWeb制作会社がコーヒーのスタートアップになった話

コーヒーのサブスク「PostCoffee」代表の下村(兄)です。2020年2月の正式版サービスローンチから1年半、さらにアクセルを踏むためにこのたび既存投資家とHARIOから1.5億円の資金調達を実施しました。

国内ではコーヒーだけに注力しているスタートアップ、またコーヒーという領域でもスタートアップは珍しく、そのためか目新しいイノベーションが起きず、美味しいコーヒー(スペシャルティコーヒー)の広がりは着実ながらもスピードがありません。そんな領域で、なぜ私たちはスタートアップという形でコーヒー業界で挑戦しているのか。このnoteではPostCoffeeの立ち上げの経緯と、ルーツをみなさんにご紹介できればと思います。

元々はWeb制作会社

私たちは兄弟で経営をしています。元々はデジタルクリエイティブを制作するデザインスタジオを16年やっていました。いわゆるWeb制作会社ですね。

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私自身、昔からデザインをするのとコードを書くのが大好きなので、そのハイブリッドなスキルを武器に自ら最前線にたってクリエイティブの制作に勤しんでいました。ときには大企業のデジタル部門を一手に任されるくらいの案件なども受注し、あらゆるデジタルクリエイティブを手掛けてきました。

オフィスは富ヶ谷にあり、ちょうどその頃FUGLENLittle Napなどのコーヒー屋ができ始め、自分の身の回りに美味しいコーヒーを楽しむ環境ができつつありました。

クールなエスプレッソマシンとの出会い

そんなある日、ネットサーフィンをしているときにめちゃくちゃカッコいいエスプレッソマシンを発見します。当時まだ缶コーヒーばかりを飲む自称コーヒー好きだった自分は、このエスプレッソマシンを勢いでオーダーしました(謎)。KEES VAN DER WESTENというオランダのエスプレッソマシンメーカーで、現在はブルーボトルコーヒーを筆頭に、数々の有名コーヒー屋で使用されています。当時はまだ珍しく、国内で目にすることはありませんでした。職人による受注生産だったので、注文してから半年経って完成し、オランダを出港。個人輸入扱いだったので税関をうまく突破できずに税関の倉庫で半年間眠り、注文してから1年してようやく手元に届きました。

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その間、凝り性な私たちはあらゆるコーヒー屋を周り、バリスタの所作を見て学び、エスプレッソマシンを舐め回すように観察し、次第にコーヒー屋をやってみたいという気持ちが芽生えてきます。そしてその気持ちの勢いのままDIYでオフィスをコーヒー屋に改造し始めます。

コーヒー屋で感じたモヤモヤ

当時のオフィスを改造し、富ヶ谷のど真ん中にオープンしたコーヒー屋MAKERS COFFEE。クリエイティブ制作の仕事と並行して、自らバリスタとして店頭に立ち、コーヒーを淹れてお客様に提供するという日々が始まります。

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コーヒー屋をやりだすと業界は狭いもので、たくさんの横のつながりができました。その時まだ学生だったLIGHT UP COFFEEの川野くんから焙煎豆を仕入れ、めちゃくちゃ美味しいコーヒーをたくさんの人に飲んでいただきました。そんな中、ひとつのモヤモヤが頭の中を支配していきます。「ほとんどの人が美味しいコーヒーを知らない...」というモヤです。それと同時にこの美味しいコーヒーをもっとたくさんの人に伝えたい、体験して欲しい、という想いが大きくなっていきます。

なぜそこまでして美味しいコーヒーを人に伝えたいのか。前述したとおり、元々私は缶コーヒーをケースで購入するくらいの缶コーヒージャンキーだったのですが、ホンモノのコーヒーを知ってからは自宅でもハンドドリップをするようになりました。このハンドドリップが毎日のルーティンに入ってから、自然とライフスタイルが変わっていったのです。心に余裕が生まれるようになったと表現するのが正しいのかわかりませんが、一種の禅に通じるものがあるのかもれません。ハンドドリップの所作、空間、時間、その後の美味しいコーヒー体験が、明らかに自分のライフスタイルを進化させました。「コーヒーを淹れて飲む」という行為が習慣になったことで、それまでの自分の趣味もさらに充実したものになりました。

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ただ、この「美味しいコーヒーを広めたい」という想いを実現するのにコーヒー屋という事業では遠い道のりだということにも気づきました。それまでやっていたデジタルなアウトプットを売る制作事業と比べて、モノやサービスを提供する事業のスケールのしにくさ、難しさも痛感しました。

この課題に対して、これまでに培ったデジタルとクリエイティブのノウハウをフルで活用できないか考え始め、3年程やっていたコーヒー屋をたたむことを決意します。

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デジタルなコーヒー事業の立ち上げ

苦労して立ち上げたコーヒー屋をあっさりとたたみ(笑)、引き続き制作事業を続けながら、デジタルなコーヒー事業を立ち上げるために構想を練ります。そして、試行錯誤しながら慣れない事業計画を作り、日本政策金融公庫から2,000万円の融資を取り付けます。このときはあくまでもスモールビジネス的な事業を立ち上げるテンションでした。

2019年3月、ベータ版としてサービスをローンチ。原宿のイベントスペースを貸し切り、仲間をかき集めてローンチイベントを開催します。コーヒーが好きそうなインスタアカウントを探し出してはDMを送り、招待状を送る、というのをひたすらやった甲斐もあり、当日は行列。

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まともに歩けないくらいの満員御礼で無事イベントを終え、来場者から美味しいコーヒーに対してめちゃめちゃ良い反応を得ることができました。(まともに歩けん!という意見も多数 汗)

美味しいコーヒーの可能性

このあたりから、美味しいコーヒーに限りない可能性を感じ始めます。「美味しいコーヒーを広めたい」という想いは「(爆速で)美味しいコーヒーを広めたい」に変わっていきました。想いの実現を「爆速」で実行していくために、今まで並行してやってきた制作事業を辞め、コーヒー事業だけに集中し、スタートアップという形で挑戦していくことを決意します。

半年後、初めての資金調達を実施し、2020年2月に正式版のサービスをローンチします。(サラッと言ったけどめちゃ失敗したし、苦労しました 笑)

コーヒー屋をやっていたときに、ほとんどの人は美味しいコーヒーを知らないし、自分の好みを把握していないコーヒーのことは全くわからない人がほとんどであるということを感じていたため、コーヒー診断という仕組みを作り美味しいコーヒーの世界への入り口を設けました。

サービスローンチから1年半でベータ版と比べ、ユーザー数は25倍に。コーヒー診断は30万回以上も利用され、インスタの#postcoffeeタグは1万件を突破。少なからずコロナ禍の巣ごもり需要の影響もありますが、多くの失敗を繰り返し、PDCAをたくさん回すことで着実に事業を伸ばしつつあります。

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そして昨日、資金調達のプレスリリースで発表したとおり、既存株主からのフォローと合わせて、HARIOとの資本業務提携を実施しました。

HARIOはコーヒー業界では言わずと知れたコーヒー器具のグローバルメーカーV60は泣く子も黙るデファクトスタンダードなブランドで、サードウェーブコーヒー流行の陰の立役者だったりします。実は2019年に運用していたベータ版のころから、商品の共同開発、協業についてラブコールを送り続けていました。ひょんなことから遂に社長の目に留まり、2021年の春あたりから資本業務提携に向けてお話をさせていただいてました。(2年かけての実現...!)

これからのPostCoffee

プレスリリースに思いの丈を綴ったので、私のメッセージ部分をそのまま引用します。

私たちはスタートアップという形をとっているからこそ、いままでコーヒー屋が足を踏み入れることができなかった領域で、コーヒーの再定義に挑戦する義務があると考えています。私たちのミッションは「ライフスタイルを進化させる」です。美味しいコーヒーが身近にあり、毎日の生活にコーヒーライフが浸透していくことで、人々のライフスタイルがより豊かに、楽しく、進化すると信じています。そして、PostCoffeeを使うと、それをいち早く実現することが可能です。

今回、オンライン・オフラインの両側面からさらにプロダクトを磨きあげるために、資金調達を実施しました。心強いフォローと新たなパートナーの参画によって、より一層ミッションの実現が加速することを確信しています。

コーヒーの体験価値を多くの人々へ届けるため、デジタルとリアルをシームレスにつなぐプロダクトの機能拡充、新規事業開発、そのための組織体制強化を進めて参ります。

更に今回の引受先であり、グローバルコーヒー器具メーカーとして業界を牽引するHARIOと共にコーヒー周辺器具の商品開発、おうちコーヒーを広めるための協業を開始します。より一層、新しいコーヒーの世界、新しい体験を創るために邁進していきます。

という感じで、「誰もが美味しいコーヒーにアクセスできる世界」を本気で作っていきます。まだいまのプロダクトの出来栄えは15%くらいです。これからがマジのPostCoffeeになっていきます。

ビジネスとサスティナビリティ

美味しいコーヒー(スペシャルティコーヒー)の分野では生産者の視点でストーリーが語られることが多いのですが、PostCoffeeは敢えてそれを前面には押し出していません。私自身、消費を通して楽しさや人生の豊かさを得ることが多く、コーヒーに関しても本気で消費を楽しんできました。

私たちはコーヒーの「消費」の在り方をもっと楽しく、正しく変化させることに集中することでコーヒーの業界に陰ながらインパクトできると考えています。コーヒーの楽しみ方も多様です。人それぞれの楽しみ方でコーヒーを楽しんで、それが結果的にサスティナブルな関係性になったら最高ですよね。

ビジネスとは仕組みを作ること、だと考えています。人々が消費を楽しめば楽しむほど、勝手に生産者や業界にポジティブな影響を与えるような、そんな仕組みになるようなサービスを作っていきたいと考えています。

スタートアップになってみて

制作会社をやっていた頃も自分は苦労している、やっている!と思っていましたが、いま考えると実質週3くらいしか働いてなかったんじゃないかと思うくらい生ぬるく感じます。いまは前から後ろから横からの激しいプレッシャーに耐えつつ、目の前の大量の作業をこなし、5年後の誰も想像していない未来を目隠ししながら創っている感覚。もうここからは自分が頑張ってどうにかなる問題じゃなくなってきました。なので、、、

仲間を集めています!!!

いまPostCoffeeは社員は6名、アルバイト、インターンを合わせ全体で25名弱の会社です。経営の兄弟2人、エンジニア、マーケター、広報、ロジ&サポート、そして焙煎士x2のメンバーで構成されています。人数が少ないので、全員が網羅的に様々なタスクを持ち合い、ポジションの穴を埋めながら仕事をしています。オフィスは焙煎所、配送センターとが一緒になった1階ワンフロアのスペース。そろそろ手狭なので今月来月にはオフィス部分を引っ越しする予定です。

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これから12〜18ヶ月で社員は15名、全体で50名ほどの組織を作っていきます。まだまだ創業期に近くも、これから事業を一気にスケールしていくような、これからが面白いフェーズに差し掛かりました。

スタートアップの加速度で事業の成長させるのには、精神と時の部屋のような負荷がかかることが多いと思います。ただ、それによって確実に人の成長ができる場になると考えています。

以下の職種で、少しでも興味がある方、精神と時の部屋に入って超サイヤ人になりたい方はぜひお話しましょう!

- プロダクトマネージャー
- リードエンジニア
- デザイナー
- バックオフィス、経理事務
- SNSマーケター
- CRM、CS(カスタマーサクセス)
- 焙煎士、焙煎マネージャー候補​

いずれタイミングをみて、という方も気軽にDM、フォローしてください。
https://twitter.com/cyberryo

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