考察 椎名林檎の『今』
こんばんは!初めまして。
シアンです。
つい先日作詞の講義を受けたので、歌詞についての考察をメモ程度にしてみようと思います。
椎名林檎の『今』という曲です。
椎名林檎特有の重く絡まる言葉遣いや、曲調・演出が最高に痺れる曲ですよね!
これを観ると公演で踊る時と全く同じ高揚感が味わえるので、コロナでステージに立てない今めちゃくちゃリピートしています笑
会場を海にしてしまう発想と、実際にそう見える演出をしてしまうところが本当に素晴らしいです!!
また水面の色がシアンブルーみたいで、うっとり見入ってしまいます。目が盗まれるので要注意ですよ!
※個人的な解釈になります
是非この動画を見てから、もう一度戻ってきてください!公演の演出も見ておいて損はないと思います!
1. 歌詞考察
『今』 ー作詞作曲:椎名林檎
「恐ろしくて堪んないの
ただひとり黒々澱んでいる
わたしの名は過去と言うのよ
迎えを待っている」
過去というものは停滞し、完全に受け身の状態でいる。
暗くて出口の見えない所で、ひたすらに迎えを待っているのだ。ここから出るのが怖くて、その場に留まるしかない。だから誰かが足を運んで連れ出してくれるのを待っているのである。
「恥ずかしくて堪んないの
仰いだら白々拡がっていた
あなたがそう未来と言うのね
眩しく揺らいでいる」
そんな恥ずかしさのあまり俯いていたが、
ふと見上げてみたら光を放つ壮大な「未来」というものが見えた。開放的で水面に映る太陽の様に、揺れている。その美しさに惹かれつつ、過去はどこか自分と同じようなものを感じた。惹かれるのは自分と似ているからなのか、それとも自分にないものを持っているからだろうか。
「遠いようで近いようなあなたの正体を
さあ見せてわたしを捕まえて頂戴ほら
あなたはわたしを判っているんでしょ」
もうすぐで届きそうで、でも届かなさそうなところにいる未来。過去は受動的であり、自分から動けない(=変えられない)ものであるため、未来がこちらに興味を持って手を差し伸べるのを待っている。
「私は貴方の正体を知らないけど、
貴方は私のことを判っているのでしょう?」
「それなら早く近くに来て、貴方自身を全て見せて」
と過去が未来へ誘惑をしている。
「悲しくて動けないわ
包んでもっとそっと
さあ見ていて…
二人が出会う瞬間よ
嗚呼なんて美しいの」
それなのに、
中々近づいてくれない未来に対して、
過去は縮こまり悲しみに暮れている。そして少しずつ煌々と白く光りながら、温かくも侵食してくる未来に対して「もっとこっちに、優しく近づいて」と願う。
そしてあれほど永く切望した「迎え」である手が、すぐそこまで徐々に迫ってきている。その喜びに、過去は未来の方を向き思い切り手を伸ばして、未来を迎え入れようとしているのだ。
ゆっくり、ゆっくりと。
だが確実にこちらに向かってきている。
白く神々しい光が徐々に、過去の周りの黒々とした澱んだ停滞を消し去っていく。
その目映い白と渦巻く黒が交わり、
やっと2人が出会えた美しい瞬間。
それが「今」なのだ。
今というのは過去の延長線上でもあり、未来の始まりでもある。その2つが融合し織りなす瞬間である「今」が生きている瞬間で最も美しく、煌めきを放っているのだ。
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「つまり、どういうことなの?!」
となっている方もいらっしゃるかもしれません。
簡単にまとめたものを次にご用意しているので、そちらも良ければ読んでみてください!
2. まとめ
過去は捉え方次第で、姿を変えるものだと思います。
例えば「受験に落ちた」と混沌と停滞する過去ばかり見ているとしましょう。
すると黒々とした過去にそっと包まれて、貴方もそこから抜け出すことができない。つまり過去と共に、一生迎えを待つことになるのです。
過去に縛られた貴方が抜け出すためにやることは1つ。
未来を仰ぎ「今」を生きることです。今は過去の延長線上であり、未来の原点です。
過去と未来が唯一交わる「美しくて儚い今この瞬間」に魂を燃やすことで、過去の優しく包む腕から解放されるのだと思います。
今は儚くも美しい。
永遠の過去と、平然と佇む未来。
制限ある時間の中で命を燃やすからこそ、
その美しさは初めて発揮される。
だから私たちの生きる「今」という瞬間は、
最高に煌めき、美しさを放つのである。