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アフガニスタン研修員を招いて|防災力向上に向けて、災害パターンが類似する日本から学ぶ

皆さん、こんにちは!プロジェクトオフィサーの浜田です😊
2024年1月4日から1月11日にかけて、東京と静岡でアフガニスタンからの研修員を招いて本邦研修を実施しました。今回のブログでは、その研修の概要や背景についてお話ししたいと思います。


「本邦研修」とは?

「本邦研修」とは、日本での既存文化を踏まえ独自に発展した経験を伝えるために、開発途上国の関係者に日本に来てもらい、実際に日本の社会や組織に身を置いて学んでもらう技術協力のことです。古くから日本の政府開発援助の一環として発足し、1954年から世界各国の研修員を受け入れています。

 CWS Japanもこの精神に則り、2016年から外務省NGO連携無償資金協力の助成を受け、現地パートナー団体、国土防災技術株式会社、CWS Japanとの三者連携でアフガニスタンにおいて防災事業を展開しています。

私はプロジェクトオフィサーとして携わっていますが、事業内容についてはまだまだ勉強中。詳細は小美野事務局長の以前の記事をご参照いただければと思います。

今回の本邦研修はCWS Japanとしては実に4年半ぶり、2019年6月以来の実施となりました。長いコロナ禍とアフガニスタンの政権交代の影響を受け、本邦研修は実施できていませんでしたが、防災力向上の取り組みはコロナ禍でも日本と現地をオンラインで結んで継続していました。

コロナ禍と政変。これまでとは異なるハードルを越えて

久しぶりの日本での研修実施だったため、日本側の準備は2023年の8月から着手。同時に現地での参加者の選定も厳格なルールに基づいて現地パートナー団体が進め、結果として9月に、大学の講師や国家災害省の技術職員、コミュニティの代表を含む10名の研修員を決定しました。

ここから日本ビザの取得に進んだのですが…アフガニスタン国内では申請がかなわなかったため、パキスタンでの申請を計画。しかしながら、諸般の理由により、最終的にはイランで申請することになりました。

外務省や現地大使館から多大な協力を賜り、実際にビザを取得できたのは11月下旬。ここからスピードを上げて研修員の方々を迎える準備を進めることになりました。

類似する災害パターンから学ぶ

意外なことかもしれませんが、気候や土地柄も違うアフガニスタンと日本ですが、災害パターンは似ている点が多いそうです。今回の研修では、今までの災害対応から培われてきた日本の砂防技術を、アフガニスタンの資材を応用し、地域の防災施設建設に寄与できる方法を探りました。

研修員は、アフガニスタン国内で防災に携わるプロフェッショナルであり、来日前にはすでに現地での研修を受けてきた方ばかり。講義中や現地視察時には講師への質問や白熱した議論が絶えず、スケジュールが大幅に変更されることもしばしばでした。

静岡での研修風景©CWS Japan
静岡での現地視察風景©CWS Japan

感謝と新たな決意

 この研修の成功には、外務省からのNGO連携無償資金協力、国土交通省静岡河川事務所と国土防災技術株式会社の専門家の皆さまからの準備段階および研修を通じて多大な協力があったことを改めて感謝いたします。

私自身は普段、事業会計を主な仕事としており、アフガニスタンの方々と実際に顔を合わせるのは今回が初めてでした。今回の経験を通じて、いつもパソコンと顔を突き合わせてしている私の仕事が、遠く離れたアフガニスタンの防災力向上にほんの少しでもつながっているという実感を得ることができました。

今後も精力的に、自身の役割を全うし、事業に真摯に取り組んでまいります!

 (文:プロジェクト・オフィサー 浜田由美子)

市民との交流「アフガンナイト」の舞台裏

ディレクターの牧👩🏽です。わたしは今回の本邦研修では、研修中(都内)の生活面のサポートと帰国前夜に開催した「アフガンナイト」主催の統括を担当しました。

CWSでは、過去に2回本邦研修を受入ましたが、一度も市民との交流を企画したことがありませんでした。そこで、2023年4月から多文化・多世代共生の場としてオープンしたコミュニティカフェ@大久保を会場として、この企画を提案しました。

ハラル食をどう準備する?

このイベントを企画する上で最も準備に時間を割いたのは食事🍽の提供でした。想定された参加者はアフガン人も含め30名。主賓であるアフガン人はイスラム教徒ですから、もちろんハラール食でなければなりません。

そこで、最初に思いついたのは、新大久保でバングラデシュ人が経営するわたしたちの協力店にケータリングを頼むことでした。その店は、彼らが宿泊する研修施設の近くにもインド料理レストランを経営していたので、そちらでもランチを提供してもらいました。

 ところが、イベント直前になって、CWSが支援してきたクライアントの一人であるパキスタン人シェフ👨🏽‍🍳が「ぜひ、アフガン人が好むアフガンピラウを作りたい」と言いはじめたのです。彼は12月に再入院し、退院したばかりの身体でしたが、何か目標を探しており、精神的な支えを必要としていました。アフガニスタンから大量の難民が流入するパキスタン出身の料理人である彼がアフガン人の食習慣を知らないわけがありません。このイベントを企画した統括責任者であるわたしにとって、30人の食事に穴を開けるリスクを考えると大変難しい決断でしたが、彼の申し出を受けることを決めました。

地域の皆さんとも交流

実はこのイベントは参加費無料でディナーを提供することから、参加者の一般公募は行わず、会場となるルーテル東京教会の関係者、コミュニティカフェの学生や社会人ボランティアを中心に参加を呼びかけました。

ところが、蓋を開けてみると、クローズドな会のはずが、実際は想定していなかった地域の方々も集まって下さり、お皿の枚数から、おそらく来場者は40人ほどだったのではないかと推測します。

通訳のない場でしたが、学生ボランティアが用意したゲームやスライドショーを見ながら、バングラデシュカレー🍛やアフガンピラウを共に味わい、アフガンダンス✨を踊りました。

おわりに|アフガニスタンの存在を今一度

今回の彼らの来日は、コロナ禍のため、長い間オンラインのみでコミュニケーションをとっていたカウンターパートとの初めての対面だったため、大変感慨深いものがありました。

世界各地で次々と新たに起こる戦争や災害に埋もれてしまいがちなアフガニスタンの存在を今一度、彼らとの出会いから日本人市民に思い起こしてもらいたかったですし、文化的背景が異なる彼らとの交流から日本人参加者の間にさまざまな発見があったらうれしく思います。

(文:ディレクター 牧由希子)

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