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kubellのバリューをアップデート&カルチャーデックを公開しました

2024年7月1日、Chatwork株式会社は株式会社kubellへ社名変更しました。

この社名変更はビジネスチャット事業単体の会社から、BPaaSを柱とした働くプラットフォームを展開する会社へと変わる決意を込めたものです。

このタイミングにあわせ、7月11日に行われたkubellの全社総会「kubell CAMP」にて、新バリューを発表しました。

会社におけるミッション・ビジョン・バリューは企業カルチャーのコアであり、会社におけるすべての意思決定が立脚すべき最重要のコンセプトです。

今回のnoteでは、なぜkubellがこのタイミングでバリューをアップデートするに至ったか、またその新バリューに込めた想いを書いてみようと思います。

kubellのカルチャーにご興味がある方向けに詳しく書いてますが、自社のバリューを作成・アップデートすることを考えている方の参考にもなればと思います。

また、その考え方をまとめたカルチャーデックをこの11月に公開しました。

「kubell COMPASS Ver1.0.0 」
https://speakerdeck.com/kubell_hr/kubell-compass

今回は、このカルチャーデックの中のバリュー部分を引用しながら、新バリューについて解説できればと思います。

バリューをアップデートする背景

私たちkubellはこの2024年で、法人設立20周年を迎えます。7月から社名を変更し、BPaaSという新事業を会社の柱とすべく、新しいフェーズへと移行するタイミングとなっています。

私たちがメインターゲットとする中業企業DXの領域は、まとめると巨大ですが個社それぞれはとても小さく、ビジネスにおいては非効率で難易度がとても高いマーケットです。

テクノロジーだけで綺麗に勝ちきることはできず、かといってオペレーションだけで勝負するには非効率すぎます。

ヒト×テクノロジーの両輪で事業戦略を推進し、大規模なオペレーターチームによるオペレーションエクセレンスと、AIとデータを駆使したテクノロジーイノベーションという大きくベクトルが違うケイパビリティを両立させていくには、優れたカルチャーを構築する必要があります。

SaaSの会社から、SaaSを包含するBPaaSの会社へと明確にフェーズが移行するこのタイミングにおいて、バリューを見直し強化していくことで、カルチャーを競争力とする会社へと進化させていきたいと考えました。

新バリュー

今回、新たにアップデートしたバリューは下記の4つです。

それぞれのバリューのビジュアルについても、kubellのシンボルである「」を様々な形に組み合わせてバリューの意味を表現しています。(kubellの名称は薪を「くべる」が由来です)

ロゴマーク、ロゴタイプにも薪のデザインが入ってます

バリューの文言では、英語をメインのキーワードに、日本語を副文として意味の補足をする構成にしています。

Take Ownership - 自分ごとでやりきる
Playful Challenge - 遊び心を持ってチャレンジ
Beyond Boundaries - 越境し共に高めあう
Integrity Driven - チーム・顧客・社会に対して誠実に

なるべくシンプルでわかりやすく覚えやすいように、かつ4つのバリューそれぞれが補完関係を持ちシナジーを発揮するように、一言一句、徹底的にこだわってつくりました。

以前のバリューでは「遊び心を忘れず、チャレンジを楽しもう」のように日本語の文章形式になっていました。

意味はわかりやすいものの、文章が長いために日常の会話の中で言葉として出にくく、覚えにくいものになっていました。

今回、シンプルな英語をメインとすることで「Playful Challengeで行こう!」のように合い言葉(キーワード)にしやすくし、日本語も併記することでその意味を捉えやすくしています。

Take Ownership - 自分ごとでやりきる

Take Ownership は、4つあるバリューの中で最も重要でベースとなるバリューです。

kubellのミッションである「働くをもっと楽しく、創造的に」を体現するために、最も大切なことは仕事に対して Ownership を持つことだと思うからです。

日本語の副文は、「自分ごとでやりきる」としました。自分ごとでやる、ではなく「やりきる」という表現にしているところにこだわっています。

仕事とは、誰かの課題を解決して価値を創出すること。自分の担当の作業が終わったというだけでは、ただ「アウトプット(=出力)」しただけです。

その仕事の目的である価値を創出できたかの「アウトカム(=価値)」を得るまでを仕事として「やりきる」ことが、何より大切なことだと考えています。

今回、各バリューそれぞれに対して、「構成要素」と「ストーリー」、「日常行動」というものを定義しました。

  • 構成要素 = 大事にしてほしい3つのポイント

  • ストーリー = バリューを体現できた姿を現す文章

  • 日常行動 = まずここからはじめてみる、一歩目の行動例

ただ「Take Ownership」と一口に言っても、その概念は抽象的で解釈には幅が発生しますよね。言葉としては覚えられても、どう実行すればいいのか悩んでしまうことも多いと思います。

いままで長年バリューを運用してきて、バリューとしての覚えやすさと、具体的な行動のしやすさを両立させることがとても難しいなと思ってきました。

クレドや行動指針といった、バリューとは別でまとめた文言を設計し運用していたこともありますが、覚えることが増え、行動指針の方に注目が集まってしまいバリュー自体の浸透が難しくなったという過去の経験もあります。(運用次第なのでしょうが・・)

今回、バリューの中の要素としてこの3つを組み込むことで、この覚えやすさと行動のしやすさの両立を実現しようという狙いがあります。

Take Ownershipでは、

この3つを構成要素としています。

構成要素を定義することで、kubellの「Take Ownership」というバリューで求められることは、「主体性を発揮し、目的思考で仕事を捉え、高い完遂力で実行する」ことだと読み解くことができます。

バリューだけの時よりも、グッとイメージが付きやすくなったのではないでしょうか。

さらにイメージをしやすくするため、この3つを発揮できた(=バリューを体現している)姿をストーリーという形で、文章にまとめています。

Take Ownershipのストーリーは下記です。

仕事の目的を背景含めて深く理解し、単なる作業ではなく意味を持った仕事として、自分自身の意思を持って主体的に取り組む。一度手をつけた仕事はしっかりと最後までやり抜き、自分自身の手が離れたとしてもその成果を見届けるところまでを自分の仕事だと意識する。

「主体性」「目的思考」「完遂力」という独立した要素が、どうつながっていくかがイメージしやすくなったかと思います。

そして、最後に日常行動ですが、これは構成要素の各それぞれを実践していくにあたって、まずはこれからはじめようという一歩目となる行動例です。

構成要素の3つそれぞれについて日常行動を定義しており、Take Ownershipでは

  • 主体性:手を挙げる
    言われてからやる、指示されてからやるのではなく、自ら手を挙げ、機会をとりにいく。

  • 目的思考:仕事を意味づける
    その仕事は、会社にとって、組織にとって、自分自身にとって、どういう意味を持つのかを考える。

  • 完遂力:成果を見届ける
    自分の手を離れたとしても、その仕事は終わっていない。仕事の目的が達成されたのかまでを見届ける。

のようになっています。ここまで具体化されると、アクションにしやすいですよね。

この日常行動として一歩目を意識するというところには、kubellのコーポレートビジョンである「すべての人に、一歩先の働き方を」とも考え方をリンクさせています。

一部の人だけが二歩先、三歩先にどんどんと進むのではなく、誰もが足を踏み出せる一歩先を提示することで、すべての人が歩みを止めることなく前進し続けていく未来をkubellは志向しています。

Playful Challenge - 遊び心を持ってチャレンジ

Playful Challengeは、最もkubellらしいバリューかもしれません。遊び心(=Playful)という言葉がバリューに入っている会社は、珍しいのではないでしょうか。

コーポレートミッションである「働くをもっと楽しく、創造的に」を体現していく上で、欠かせない要素が遊び心だと思っています。

Playful Challengeでは、

この3つを構成要素(3つの重要ポイント)として定義しました。遊び心という言葉は以前のバリューでも使われていましたが、解釈が難しかったところがありました。

仕事で遊んじゃっていいの?という声や、ふざけてもらっては困る、のような反応があったことも。

もちろん、仕事を阻害するような遊び方は論外なのですが、その解釈もこの構成要素で、Playful Challengeとは「冒険心を持って取り組み、創造性を発揮し、スピードを追求する」ことだと具体化することができました。

Playful Challengeのストーリー(体現できた姿)は下記です。

私たちは困難な社会課題に取り組むベンチャー企業。たとえ前人未踏の領域であったとしても、新しい発想をもって果敢に挑戦し、期待や想像を超えてワクワクするような驚きを創り出す。未来を待つことなく、スピードこそ価値だととらえ、自ら一歩先をつくりだしていく。

そして、日常行動(一歩目の行動例)

このように定義しました。

  • 冒険心:未知を既知に
    失敗を恐れず、果敢に挑戦する。未知を既知にしていくことで新たな道が開けていく。

  • 創造性:WOW!をつくる
    「それすごいね!」と言われる仕事を。自分ならではの新たな発想を、仕事に持ち込んでいく。

  • スピード:まずやってみる
    悩むよりも先に行動する。まずやってみるからこそ、できることが増えていく。

冒険心の日常行動、「未知を既知に」(みちをきちに) が個人的にお気に入りです。知らない世界を知っていくことって、ワクワクしますよね!

Beyond Boundaries - 越境し共に高めあう

Beyond Boundariesは、これからのkubellに必要だと新たに付け加えたバリューです。他の3つは、過去のバリューから引き継いでブラッシュアップしたものとなっています。

Beyond は 「〜を越える」という意味で、Boundaries は「境界」を意味します。Beyond Boundaries で「境界を越える」「越境する」ということを表しています。(ビヨンドバウンダリーズ と読みます)

kubellではBPaaSという戦略を推進するにあたり、積極的な投資をおこなっていて、現在では500名を越える組織規模になってきました。

より大きなことが成し遂げられるような会社になってきましたが、事業と事業、本部と本部などで、横の連携をとっていくことが難しくなってきました。

働き方を変えるプラットフォームとして事業を推進していくためには、異なる領域を越えてのコラボレーションが必須だと考えています。

Beyond Boundaries の構成要素(3つの重要ポイント)

この3つにしました。

マルチアングルは、様々な角度からの見方という意味です。
Beyond Boundariesでは「マルチアングルな視点を持ち、巻き込み力を発揮し、相互発展する」ことを目指します。

Beyond Boundaries のストーリー(体現できた姿)は下記です。

自分の役割を部門や役職の壁を越えて他者視点で見つめ直し、全体最適の目線で行動する。周囲を巻き込みコラボレーションしていくことで、1+1を3にも4にも変えていく。相手の成長を願って声をかけあうことで、全員で勝つチームへ。

日常行動(一歩目の行動例)は、

  • マルチアングル:他者視点で考える
    マネージャー、他の部門、顧客など、他者の視点にたって自分の仕事を見つめ直し、行動する。

  • 巻き込み力:共通のゴールをつくる
    壁を越え、お互いのミッション実現につながる共通のゴールをつくりだし、共に達成する。

  • 相互発展:フィードバックから学びあう
    お互いに気付いたことがあれば、相手の成長を願ってフィードバックし、感謝の気持ちで受け止める。

と定義しました。

この中でも、巻き込み力の日常行動を考えるのが難しかったです。一方的に他の人を利用するTakerになってもらっては困るし、巻き込み力という言葉には力強さもありながら強引にも見えたりします。

共通のゴール」という言葉を見つけた時には、これだ!とカルチャー推進チーム内で盛り上がりました。

Integrity Driven - チーム・顧客・社会に対して誠実に

4つ目、最後のバリューは Integrity Driven です。

Integrity は翻訳が難しい言葉ですが、「誠実」「真摯」などと訳されます。Driven は drive の過去分詞形で、「〜駆動された」を意味します。(インテグリティードリブンと読みます)

Integrity Driven をそのまま翻訳すると、「誠実さをもとにやっていこう」みたいな感じでしょうか。ドリブン、はデータドリブンやミッションドリブン、などでも使われる言葉ですね。

このバリューで伝えたい意味は、日本語の副文「チーム・顧客・社会に対して誠実に」に現れています。

自社の仲間や取引先のパートナー、サービスを利用していただいているお客様、地域社会・株主の皆さま、という様々なステークホルダーに支えられてこそ、会社の永続的な発展が可能となります。

さらに、私たちはビジネスチャットという社会インフラとも言えるサービスを運営しており、今後はBPaaSという領域で業務プロセスそのものも担うような存在になっていき、その社会的責任は重大です。

私は、経営者の最も重要な資質は「誠実さ」だと思っています。会社としても、誠実という価値を大事にしていきたいと考えています。

Integrity Driven の構成要素(3つの重要ポイント)

この3つになりました。

4つのバリューの中で、Integrity Drivenが一番、構成要素を考えるのが難しかったです。誠実さの構成要素って、改めて考えてみると難しいですよね。

Integrity Drivenは「相互信頼・相互尊重を持って、社会的責任を果たす」ことだと定義しました。

Integrity Driven のストーリー(体現できた姿)は下記です。

働く仲間となるチームを信頼し、多様な違いを受け入れ強みへと変えていく。顧客へのリスペクトを忘れず、伴走するパートナーとして共に成長する。働き方を変えていくことが私たちの使命。未来に誇れる仕事を成し遂げて、これからの社会を豊かにしていこう。

DE&I(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)のような多様性の考え方も含めたバリューとなっています。

このストーリーの中にある「未来に誇れる仕事を成し遂げる」という言葉を大事にしています。一生懸命、毎日必死に泥臭く仕事してるのって、このためですよね。

日常行動(一歩目の行動例)は、

  • 相互信頼:小さな約束を守る
    小さくて些細な約束であっても、自分がやるといったことを守ることが、大きな信頼へとつながっていく。

  • 相互尊重:まず肯定的に受け止める
    誰もが自分にない視点を持っていることを認め、違和感があることでもまず肯定的に受け止める。

  • 社会的責任:チームとして正しいことを選ぶ
    個人としての正しさを押しつけるのではなく、チームとしての正しさを常に考え、倫理観を持って選択する。

と定義しました。

小さな約束を守る」が個人的なお気に入りです。結局、信頼関係って小さなことの積み重ねですよね。

「社会的責任」の日常行動が、すべてのバリューの日常行動のなかで一番考えるのが難しかったです。社会的責任の一歩目の行動例ってなんだ・・・と何週間も悩んでしまいました。

最終的に決めたのが「チームとして正しいことを選ぶ」という言葉。チームも小さな社会であって、個人の利害よりもチームとしての正しさを選択すること、それが社会的責任の一歩目だなと思います。

最後に

長文にお付き合いいただきありがとうございました。

kubell社としてバリューをアップデートするのは、実は3度目です。毎回、真剣に悩みに悩んでつくっているのですが、その度に価値観というアイデンティティそのものに向き合うことの難しさを実感します。

オーナーシップとは何か、遊び心とは何か、誠実さとは何か。自分たちの中で暗黙的な価値観として確かに存在していても、それを言語に落とすことは本当に大変な作業でした。

ですが、とことん議論して言語化をやりきったことで、自分たちの中でのバリューに対する解像度が大きく上がったように思います。

今回、バリューそのものを構成要素・ストーリー・日常行動という形でブレイクダウンして具体化するという試みをとってみました。

バリューは一定の抽象度があるからこそ、個々人での解釈の余地が生まれ様々な場面での応用性が出るのだとは思います。

しかし、明らかに違った方向性で解釈されることも多々あり、運用の難しさを感じていました。今回は、その抽象と具体のバランスをうまくとれたのではないかと思っています。

また、冒頭でもご紹介しましたが、kubellのカルチャーへの考え方をカルチャーデックという形でまとめています。

「kubell COMPASS Ver1.0.0 」
https://speakerdeck.com/kubell_hr/kubell-compass

ビジュアル面も含めて、こだわり抜いてつくってますので、ぜひご覧いただければと思います!

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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