Laravel から Redshift を使う方法
こんにちは。
adptOSという商業施設店舗の「入店数」や「どういうルートを辿って購買に至ったか」等のデータをダッシュボードで可視化する新規事業でエンジニアをやっています。
今日は少し技術的な話をしてみようと思います。
弊社が運営する adptOS では、商業施設に関する様々なデータを Amazon Redshift に保存して利用しています。
Redshift には PostgreSQL 8.0.2 に基づく API が用意されており、PostgreSQL のクライアントを使って、PostgreSQL サーバーにアクセスするのと同じようにして、利用することができます。
Laravel の Eloquent から Redshift を使う方法
Laravel から Redshift にアクセスしたい場合も、PostgreSQL 用のドライバを使います。
DB_CONNECTION=pgsql
これだけで多くのクエリは問題なく動作します。
$children = User::where('age', '<', 18)->orderBy('age')->get();
簡単ですね。
PostgreSQL だけに存在する RETURNING 句
ただ、Redshift には PostgreSQL との相違もいくつかあり、その中のひとつが、INSERT 文に付ける RETURNING 句になります。
PostgreSQL の 8.2 から実装された RETURNING 句は、INSERT や UPDATE するクエリの戻り値で、書き込まれた値を得るための構文です。RDBMS が採番した id や、NOW() などの関数を使って挿入した値など、挿入するまで決定しない値を得るのにとても便利な構文です。
postgres=# INSERT INTO "users" ("name", "created_at") VALUES ('3pey', NOW()) returning id, created_at;
id | created_at
----+---------------------
1 | 2020-05-15 16:55:00
(1 row)
Laravel の ORM である Eloquent でもこの構文が使われていて、Eloquent のもっともシンプルな操作のひとつである
$user = new App\User;
$user->name = '3pay';
$user->save();
このような保存処理でも
[
[
"query" => "insert into "users" ("name", "updated_at", "created_at") values (?, ?, ?) returning "id"",
"bindings" => [
"3pay",
"2020-05-15 16:55:00",
"2020-05-15 16:55:00",
],
"time" => 5.03,
],
]
id を得るために RETURNING 句が使われています。
いくら Eloquent でクエリが書けても、save() ができないと使い物になりません。INSERT 時に RETURNING 句を使わないようにはできないでしょうか?
INSERT 時に RETURNING 句を使わないようにする
結論から言えば、できます。それも簡単に。
Eloquent では、INSERT 時に DB で採番された id を、自動的に取得して自身の変数にセットするかどうかを、$incrementing というプロパティで設定できます。
/**
* Indicates if the IDs are auto-incrementing.
*
* @var bool
*/
public $incrementing = true;
デフォルトでは true になってるこの値を、false に設定すれば、INSERT クエリで RETURNING 句は使われなくなります。
ソースコードでいうと、Illuminate\Database\Eloquent\Model のこの部分ですね。
if ($this->getIncrementing()) {
$this->insertAndSetId($query, $attributes);
}
else {
if (empty($attributes)) {
return true;
}
$query->insert($attributes);
}
$this->getIncrementing() で取得した $incrementing の値によって、RETURNING 句を付ける $this->insertAndSetId() を呼ぶか、INSERT だけをする $query->insert() を呼ぶかが場合分けされています。
RETURNING 句を使わない弊害
ただ、この方法の欠点として、当たり前ですが、INSERT した後に id が取得されないので、
$user = new App\User;
$user->name = '3pay';
$user->save();
dump($user->id); // null
インスタンスの id の値は null のままです。
id が欲しかったら何らかの方法で、自分で取得する必要があります。
$user = App\User::where('name', '3pay')->firstOrFail();
dump($user->id); // 1
ちょっと面倒くさいですね。
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