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九月の読書雑感

図書館の貸し出し禁止期間が解除されたので…というのは建前で、
話す相手はいるけれど、私の表現力では伝えきれない。伝えたい事の整理がてら九月に読んだ本のいくつかを勝手に語る。TLを汚しがちなので適宜使っていく予定。

多少のネタバレは理解したうえで読み進めてほしい。

扱うのは「考えるヒント」「ライ麦畑で捕まえて」「芥川龍之介紀行文集」「美しい星」の四冊。


考えるヒント1&2 



理解に時間のかかる随筆集。荻生徂徠、ヒトラー、文章とは等々…扱うテーマの単語自体はさほど難しくない。しかし内容が兎に角難しい。私の中の難しい文庫本ランキング12に躍り出た位だ。されど大学生になったのならそういう本に触れておくのも良い経験だと思う。人生の通過点に読んでおいて損は無かった。


ライ麦畑で捕まえて



部屋が、服装が、態度が、学校が気に入らない。老害は別として、大人になれば妥協していく不快な感情を放置せず我を通す主人公の姿は多くの若者の心情をつかむと思う。しかしだからと言って高校を三度も退学する主人公は嫌いだ。


芥川龍之介紀行文集


著名な作家の紀行文だからと期待して読むとひどい目に合う一冊。ルポルタージュだと心して読め。芥川龍之介というだけあって、文章は一級品。作者が肯定的に捉えた場面の描写は読んでいて心地が良い。解説を踏まえたら面白く感じられるかも。解説の序文に良い事が書いてある。


美しい星

SFという枠組みでは足りない。作者の表現力も相まって、唯一無二の作品になっている。宇宙人と人間の感性の間で揺れ動く人間模様は面白い。終盤の人間の良し悪しについての考察は迫力が伝わってくる。それほど真剣に考えたのだなと思う。死ぬ間際の演説を見るとそういう感じがとてもする。アポロの杯、潮騒で美的感覚を極限まで高めた三島由紀夫を見てきただけに、作風の違いにとても驚いた。が、金閣寺の作者であると思えば納得はできなくはない。三島由紀夫は三島由紀夫だ。あの二作は純粋でよかったのだけれど。


一通り書いて振り返ってみると、一つ一つの作品に対して然程字数を必要としなかった。あれほど語りたかったことは中身の少ないものなのかも知れない。伝えたい事を文字に起こせたので今日はこれまで。またやるかも。

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