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父の命日に寄せて: 父の最後を知り、私が見つけたこと
2019年1月、父が香川県で交通事故に遭い、突然亡くなりました。父の死をきっかけに、家族として父のことを改めて知る時間が始まりました。携帯電話の履歴や知人とのやり取り、そして事故後の手続きを通して、父がどんな人生を歩んできたのかを少しずつ知ることになりました。
父の知人と交流
父と再会した際にお世話になっている知人がいることを聞いていたため、携帯電話の履歴から2名と連絡を取りました。(お二人とも父と同世代か少し年上の男性)
1名は取引先のようでしたが、瀬戸内海の島が好きで父が香川出身であるため、小豆島を案内しに旅行に同行したことがあるそうです。ガイドをする代わりに東海地方からの旅費や宿泊費を知人が負担していたと聞いたとき、正直『なんて図々しい…』と驚きました。しかし、そんな図々しさが許されるのも、父の持つ人懐っこさや、憎めない性格があったからなのかもしれません。
バイト先の代表からは『マンションを買ってあげたいとよく話していましたよ』と言われ、父なりに家族のことを思っていたのだと知りました。
もう1名は、父のバイト先の代表でした。事故の話を聞いて、ショックだったこと、私の話を父から聞いていて、「マンションを買ってあげたいとよく話していましたよ」と言われ、父なりに家族のことを気にかけていたのだと知りました。
会社の保険に加入しているため、保険金を手配しますと言われました。フルタイムの社員でありませんし、丁重にお断りしましたが、どうしてもとおっしゃっていただき、書類の準備をしましたが、突然音信不通に。家族経営の企業のため、おそらくご家族に反対されたと思います。
検察で報告を受ける
事故から約1年後の2020年3月下旬に、突然検察から私の携帯電話に連絡がありました。事故の調査結果を報告したいため出向いて欲しいとのことでした。検察庁へ行く機会はありませんし、日帰りで行ってきました。
検察官からは、2019年5月に送検され、調査を重ねた結果は不起訴としたことを言われました。
被疑者は信号だけに目が行き、父の存在に気づかなかったが、前方不注意は認めているとのことでした。車に4人で乗っていて話に夢中になっていて、気づいたら父の存在に気づいたという感じでしょう。。
事故現場にはカメラもなく、目撃者もいなかったため、立証は難しかったと素人でも理解できます。ただ、謝罪が一切なかったことは残念です。
刑事事件担当弁護士の見解
検察との面談後、同じ弁護士事務所の刑事事件担当の弁護士を紹介いただき面談しました。
「検察官の調査報告(メモ書き)を拝見する限り、調査の根拠がわからないにしても不起訴になっても仕方がない。審査会へ異議申し立てもほとんどが認めれられない現状である。」という見解でした。
また、今回のような検察官からのメモ書きは見たことがないとのことでした。そのコメントをお聞きして、約1年近く調査に時間を費やし、メモ書きを開示いただいた検察官に誠意を感じましたし、この話は終了する決断をしました。
[訂正]
以前警察から聴取を受けた投稿をしましたが、聴取を受けた日は2019年4月に呼び出されて出向いたとメモにありました。既に加害者からの事情聴取や現場検証は終了したため、検察に引き渡すため私の捺印が必要だったようです。
父が唯一残したもの
調査した結果、やはりある程度の借金がありました。期日までに判断して相続放棄をして本当によかったです。ちなみに弁護士にも私にも借金の取り立ては一度もありません。知人に借金があるはずだと母は話していましたが、年を重ねており、先方も調査をしなかったのかもしれません。
実は、父の自宅に保険証券がありました。保険金の受取人は従弟でした。故郷の香川へ戻った後に契約をしていたようです。母と離婚し、私とも疎遠であるため、お墓のことなどもあるため従弟を受取人としたのかもしれません。従弟は知らなかったそうです。起業しているとは言え、借金があり生活に余裕がない中、携帯電話料金など滞納をしている形跡を見つけましたが、保険代は滞納せずに支払っていたことに驚きと同時にホッとしました。
最後に
父が事故に遭ったのは、出張先の愛知から長距離バスで戻ってきた直後でした。家族と親戚とは「色々な人達に迷惑をかけているから、もうそろそろ終わりにしなさいと人生強制終了となったのかも」と半分冗談交えて話をしていました。
もし、事故で後遺症が残っていたら誰が介護をしたのだろう?私が勇気を出して再会をしなかったら、葬儀や事故の対応をしたのだろうか?(多分拒否しました)あの時、父と再会をしてよかったです。
父は地位も名誉も財産もなく、夢半ばでこの世を去りました。ただ、痴呆もなく、大病もせずに苦しまずに好きな仕事の商談の帰りにあの世へ旅立つことができてよかったと思っています。
2024年11月からの風の時代は、大企業で地位や名誉があれば幸せという概念は崩れると言われています。実は父の生き方は、かなり時代を先取りしていたのかもしれませんし、私の人生もそんな父の血を受け継いでいるのかなと感じています。
父の生き方は、地位や財産だけが幸せではないことを教えてくれました。来月から始まるスタートアップ企業での新たな挑戦を通じて、私も父のように、自分らしく時代を切り開いていきたいと思います。