あなたのために微笑んで、あなたのために涙を流してみたいのです。#シロクマ文芸部#月めくり
月めくりのカレンダーに書いた予定日を眺めながら「早くあなたに逢いたい」と大きく張り出たお腹をゆっくりと優しく温める様に摩るわたしは、もう何枚、月のカレンダーをめくって来たことでしょう。小さな命を授かって、わたしはお母さんになりました。
結婚当初は、子どもはもう少し落ち着いてからと避妊していたわたし達が、そろそろ子どもを迎えてもいいかなぁと思った時には、子どもがなかなか出来ません。もう無理なのかと諦めようと思ったある日「生理がこない」と自宅で妊娠チェッカーを使って検査してみると陽性に。さっそく産婦人科に行くと先生は「まだ早すぎるよ、また1週間後に来てね」とわたしをやんわり諭してくださった。1週間後の受診でわたしの子宮に子どもの命が無事に着床している事実を知り、感動とともに安堵したことを覚えています。
わたしの子宮は、フワフワと柔らかいベッドの様に厚くなり、小さな命を包み込む。命は成長と同時進行で胎盤を作り『生きる』準備に取り掛かる。
授かった命は『生きようと』として創られていく。
結婚7年目に授かった命、家族で色々あったから互いの両親は涙を流して喜んでくれました。
妊娠の報告で父の涙を見たわたしは、何故か「待たせてしまった」と思ったのは、後継の問題でもないし、両親のために産むわけでもないけれど、めちゃめちゃだった結婚生活を黙って見守ってくれた父の喜び涙する姿に、わたしが感動したのです。
わたし一人でない身体を大切にしながら過ごす毎日。
幸せを感じながら、でも思うように動かない身体への歯痒さ。
昼寝をして仕舞った後の罪悪感。
そんな風に思わなくても良いことはわかっている、けれど、幸せと罪との意識が寄せては返す波の様にわたしを覆い、辛く感じて仕舞う日々でした。
今ならわかる、あれはホルモンの変化からくる違和感だったと言うことを。
妊娠中の身体の中は大変化を起こして混乱するから、強い眠気や発露する感情も当たり前。妊娠初期に増え続けていたホルモンが妊娠中期に安定し、出産後にはまた減少していく現象に、鬱になることだってあるのです。だからお願い旦那様、妊娠中のわたしを労わって、産後はもっと労わって。小さい命をあなたと大切に育てていきたい、新しい家族を温かく迎えましょ。
お腹の中で10ヶ月過ごした赤ちゃんに、もう少しで逢える喜びに満たされて、月めくりのカレンダーに何度も目を向けて仕舞うわたしは、もうすぐ愛しいあなたのお母さんになるのです。
早くこの胸に抱いてみたい。あなたのために微笑んで、あなたのために涙を流してみたいのです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の作品は、過去作品の一部に手を加えたり引いたりしてリトライした作品になります。改めて過去の作品を見直すと、文章がごちゃごちゃで、お恥ずかしい限りです(涙)
サイトに訪ねて来て下さる皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。これからも書き続けながら、文章力を磨いていきたいと思っております(汗)。優しい目で見守っていただけたら幸いです。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
こちらの作品は、
小牧幸助 様 のサイト
シロクマ文芸部の今週のお題に参加させていただきました。
素敵な企画、素敵な出会いをありがとうございます。