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小さな命を授かって‥。

小さな命を授かってわたしはお母さんになりました。
やっと思い描いていた『温かい家庭を築く』夢が叶いました。

子どもはもう少し落ち着いてからと思って、避妊していたわたし達
そろそろ子どもを迎えてもいいかなぁと思った時にはなかなか出来ない‥

結婚して6年が過ぎたある日
「生理がこない」と自宅で妊娠チェッカーを使って検査してみると陽性に、、、

さっそく産婦人科に行くと先生は「まだ早すぎるよ〜また1週間後に来てね」と、わたしをやんわりと諭してくださった‥。

1週間後の受診でわたしの子宮に子どもの命が無事に着床している事実を知り感動と共に安堵したことを覚えています。

わたしの身体の子宮と言う名の壁は、フワフワと柔らかいベッドの様に
厚くなり小さな命を包み込む。

子宮に到着した命は子宮内膜と言う名のベッドに潜り込み
潜り込んだ命はママの体から栄養や酸素をもらおうと羊膜や胚盤などを
形成しながら、根を下ろすように成長する。

命は成長と同時進行で胎盤を作り『生きる』準備に取り掛かる。
だから授かった命は『生きようと』として創られている。
最初からなかった命なんてないの。

結婚7年目に授かった命
家族で色々あったから互いの両親は涙を流して喜んでくれました。

妊娠の報告で父の涙を見たわたし
何故か「待たせてしまった」と思ったのは、

後継の問題でもない‥両親のために産むわけでもない‥だけれども‥


めちゃめちゃだった結婚生活を黙って見守ってくれた父だから
『ふたりが授かった命』に喜ぶ父の涙にわたしが感動したのです。

ただそれだけです。

わたし一人でない命、身体を大切にしながら過ごす毎日。
幸せを感じながら、思うように動かない身体への歯痒さ、
辛いからと昼寝をする罪悪感‥

そんな風に思わなくても良いことはわかっているのだけれども‥。

今ならわかる、あれはホルモンの変化からくる違和感。
身体の中は大変化を起こして混乱している。

強い眠気や発露する感情も当たり前のこと‥。

青虫が蛹になって蝶々になることを知っているでしょ‥でも
あの蛹の皮の中は知らないでしょ。

青虫はいったんドロドロになって身体を形成し直すの
だからわたし達もドロドロになって当たり前‥。

妊娠中のわたしを労わって‥産後はもっと労わって欲しい。

妊娠初期に増え続けていたホルモンが妊娠中期に安定し、
出産後にはまた減少していく現象に
鬱になることだってあるんだよ‥。


わたしは母の後ろ姿を見て弟のおむつも取り替えて来たから
『子育て大丈夫』と根拠のない自信は吹っ飛んだ。

抱いていないと泣き止まない息子、寝たと思っても布団に下すとパッチと目が覚めてまた泣く息子に睡眠不足のわたし‥。

時間ごとにあげる授乳、吸われる度に切れて痛む乳頭。
飲みが少ないと張ってくるわたしのおっぱい。張ったおっぱいを楽にしようと搾乳すると身体が母乳をつくり過ぎてしまう悪循環‥。

夫の育児休暇は7日だけ、しかも産後がこんなに大変だったなんて知らなかったから、わたしの入院中に取ってしまい‥夫は毎日可愛い息子に逢いに来て帰るだけの楽しい時間を過ごしてた!!

実家も狭い団地暮らしのため、里帰りはしないで母に来てもらったけれど‥
孫の世話が嬉し過ぎて疲労が溜まり‥疲れ果てて帰る母‥結局2週間の滞在‥。

60歳過ぎの母にもっといて欲しいとは言えなかった‥。

いつも頑張り屋のわたしだけど‥
それでもやっぱり子育ては一人では出来ませんでした‥。

母は通いで来てくれたし、夫も父親として赤ん坊の息子のお世話をして、
わたしの泣き言も聞いてくれた‥。

地域の福祉居からは保健師さんが訪ねてくださり、赤ちゃんとわたしの様子を見舞い

1ヶ月検診では未熟児で産まれた息子も「順調に成長していますよ」と言われ安堵する帰り道、息子を胸に抱きながら自然と涙がこぼれてくるわたし‥
健康がこんなに嬉しいなんて‥。

あなたが存在する
それだけで愛おしい‥わたしはあなたを愛している。

そして、赤ちゃん教室で出来た友達とは20年来の
お付き合いをさせていただいています。

何の根拠もない理由を掲げて、『わたしは子育てできる』と思っていたけれど
結局『子育て』は一人では出来ません‥。

家にこもりそうになっていたわたしを
「公園に行ってみようよ♪」と連れ出してくれた友人に

仕事帰りで疲れて眠たい目をこすりながらママの話を聴く夫に

「一人の時間も大事よ」とドキドキしながら赤ん坊の息子を預かってくれた母に
「可愛いわね、頑張ってね♪」と赤ん坊の息子とわたしに微笑みかけてくれた通りすがりのおばさんに

「赤ちゃん小さいの?大変でしょっ!!」と声をかけてくれたおじさんに‥

色々な人に助けてもらって‥ママになっていく‥。
焦らなくてもいい、少しづつ母親になっていくから‥ほら‥
時間をもらったけれどお茶の味がわからなくなるほどソワソワしてた喫茶店
息子をおぶってないのに赤ちゃんをあやすように自然と揺れてたわたしの身体、『子育てすること』が、
わたしの身体や生活の一部になっている‥でもね‥。



息子はわたしの一部ではないの
『子育て』するっていうことは‥

母親のわたしの心と身体が弓が引かれるように曲がること‥。
息子は矢のように遠くの世界に飛ぼうとしている。
わたしは息子を遠くに飛ばすために、もっときつく強くくの字に曲がる。
息子はわたしの気持ちを知らずに先へ先へと、飛んでいく‥
わたしは遠に飛んで行った矢(息子)を愛おしく眺め、立ち尽くす‥。

そう、子育ってこのようなもの‥
『わたしの思い通りにはならない愛しい君』

この気持ちをいつまでも忘れないように‥心に留めて‥。

第20話


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