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46才のミュージシャンが慶應大学受験を突然決意し、3ヶ月の勉強の末受かった話。番外編5「休んだら歌が良くなった」

 このシリーズの最初の頃に

「大学受験のために年明けからはお仕事も調整させて頂いて…」

 みたいな事を(若干格好をつけて)書きましたが、それによって音楽面でもマイナスなことだけでなく、意外な副産物があったので今日はそれについて書きたいと思います。

 1/11の濱書房でのライブから2/19のツイキャス配信まで(途中2回ほど弾き語り配信してしまいましたが)基本的には1ヶ月以上ちゃんと歌うという事をしていませんでした。
 これは人前で歌を歌わせて頂くようになってからは極めてまれな事で、多分最後にそういう期間があったのは2006-7年に喉を壊して一時的に声が出なくなった時ではないかと思います。(その時も1ヶ月以内に回復してたかもです)

 なので、試験が終わって久しぶりに歌う時はなかなかに感慨深い感情と同時に、ちょっとした不安感もありました。

 しかし久しぶりに声を出してみると、この長いブランクで余計な癖が抜けていて、どんなに練習してもできなかった事ができるようになっていました!

 具体的には(少し専門的になりますが)チェストボイスの低音域からミドルボイスの中音域に上がっていく際に、これまではどうしても声が裏返ってしまう事を避けようと、そこだけちょっと迂回するような筋肉の使い方になってしまっていた所を、迂回せずにまっすぐミドルボイスに侵入していく事ができるようになっていました。

 ボイストレーニングの先生からは何度も

「声が裏返ってもいいから迂回せずに上げていって!」

 と言われていたのですが、なにせその迂回が無意識に起こってしまうので、どうしてもそれが出来なかったんですね。そしてそれを意識的に直そうとしても、無意識の方がどうしても勝ってしまって矯正できなかったのです。

 それが1ヶ月と少しほぼ歌わなかったことで、無意識がその事を忘れてくれたのでしょう、ちゃんと裏返ることができる(というのも変ですが)ようになりました。

 確かにこれまでも、ちょっと弾いてなかったらギターが上手くなった気がする、みたいなことはありました。
 おそらくそういう無意識下での筋肉のコントロールとか手続き記憶のようなところは、少し時間を置くことによって整理されたり余計な癖が抜けたりし得るのでしょう。たしかスポーツ選手でそんな事を仰っていた方がいらした気がします。

 しかし対して意識上でのパフォーマンスというか、単なる記憶はちょっと休むとすぐ忘れてしまいますね。今日も何かの授業でロカルノ条約の話が出て

はて、ロカルノ条約、、、そんなんありましたなぁ、、なんだっけ?


 となってしまいました。あんなに必死に覚えたのに。儚い。


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