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47才のキャンパスライフ 〜慶應一年生ミュージシャンの日々〜 53「文系でも物理学は面白いんだよっ!」

 長い夏休みもようやく終わりかけの9月下旬、秋学期の履修申告が始まりました。入学して2回目ですから、この頃にくらべるとかなり慣れたものです。

 秋学期履修の自分としての新基軸は

物理学(実験あり!)を受講しようとしていること!

 それも「量子の世界」について、です! 理系、文系という分け方だと文系に分類される私ですが、物理学は昔から好きでした。なぜかというと

この世界は一体何がどうやって出来ているのか!!

 という(文章だけ見ると中二感がすごいですが)根源的な問いに向き合う事ができるからです。

 そんな自分の現代物理学への興味が急騰したのは、10数年前に大栗博司先生の「重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る」という新書を読んだときで、そこに書かれていたホログラフィー原理には大いに触発され、曲も作りました。

 ホログラフィー原理について、正確ではないと思いますが僕の理解をざっくり説明すると

1 前提として、まず世界の最小単位について。
 僕らの世界の構成をミクロに追っていくと、僕らは分子でできていて、分子は原子でできていて、原子は原子核と電子でできていて…ぐーんと行って量子、素粒子があって…と、延々と小さく続いていってしまいそうですが、実際にはプランクスケールという、現代物理で扱える最小スケールが決まっています。つまりこの世界の解像度、ピクセル数は(現代物理が扱える範囲では)決まっているという事です。

 (↑ちなみになんで最小が決まるかというと、プランクスケールより小さいものを観測するにはものすごいエネルギーが必要となり、そのエネルギーでそこにブラックホールが生まれてしまうため、原理的に観測できないからということです。面白い!!)

2 ということは、例えば透明なボールがあるとして、ボールの中の最小スケール、量子がとりえる状態の組み合わせの数というのは無限ではない。天文学的数字ではあっても有限だということです。有限だということは計算できるということでもあります。

3 で、ここが凄く面白いんですが、その透明なボールの中の全ての状態を記述するのには、必ずしもボールの体積分の計算量が必要なのではなく、ボールの表面積に符号化して記述できる、らしいんです! つまりボールの表面積分の計算で、そのボールの中身の全ての状態を記述する事ができる! その符号化すごー!

4 であれば、例えば我々が現実として暮らしている三次元のこの世界も、この宇宙全体を包む超巨大なボールの2次元の表面上に符号化された計算の投影にすぎないのかもしれない! ということです! すごー!

5 つまりこの我々が3次元だと思っている空間は、実は2次元の本体が映し出した影に過ぎないのかもしれないってことです。プラトンの洞窟の比喩では、我々が3次元で壁に映った影が2次元ですが、この世界は本当は逆かもしれない…!

6 そういうワクワクだけでなく、2次元上に符号化された世界には重力が含まれていないので、現在まだ果たされていない相対性理論と量子力学の統合にも大きく寄与する考え方だということです!

 …面白くないですか? (間違ってるかもしれないけど、めちゃくちゃ大きくは合ってると思う!)

 というわけで折に触れ現代物理学関係の本や動画を見るのですが、先日見つけたこちらの動画のシリーズ↓

 が大変面白かったので、皆さんにおすすめしたいと思います!

 出演されている野村泰紀先生のお話しぶりがとても素晴らしくて、一発でファンになってしまいました。その動画の中で話されていた

量子力学では「物は波でもあり粒子でもあり」とか言うんですけど、僕はその言葉の使い方があんまり良くないと思ってて、正確に言おうと思ったら
物っていうのは粒子でも波でもなかった」んですよ。
どっちでもあるんじゃなくて、粒子でも波でもない量子ってもんなんですよ。

【成田悠輔が推薦の天才】シン量子力学!6歳にわかるように説明してみよう!【ReHacQvs野村泰紀】より

 というくだりには、目から鱗がぼろぼろぼろーと落ちたような次第です。量子とは、ある状況では我々は波だと理解するようなふるまいをみせ、また違う状況では粒子と感じるようなふるまいを見せる、量子というものなのだ、と。くわー!

 思ったより長くなってしまいました。最後に、その10数年前にホログラフィー理論に感化されて作った曲を貼りますね! ミュージシャンなので。音楽Bでしたが(しつこい)。ぜひ聴いてください!

Quantum Love

Are we really made of molecules?
(僕らは本当に分子で出来ているのか)
Are molecules made of atoms?
(それで分子は原子で出来ているのか)
Are they made of protons, neutrons, electrons?
(それで原子は陽子/中性子/電子で出来ているっていうのか)
Like all those particles dance around
(素粒子達のパーティーみたいに)

Can you hear the quantum vibes?
(量子が震えるのが聴こえるかい)
Can you see the quantum lies?
(量子の嘘が見えるかい)
Am I waking up from reality or dream?
(僕は夢から目覚めるのか 現実から目覚めるのか)

Can you believe this world is merely a hologram projection?
(信じられる? この世界が単なるホログラムの投影に過ぎないって)
The world we live in is encoded far away
(僕らが住んでる世界は、遠くで符号化されてるんだって)
So excited to find who has the game pad that controls me
(僕を操る奴の顔を見てみたい)
Whoever you are, I wanna bless your quantum love
(君がどこのどいつだとしても、その量子的な愛は最高だ)

Einstein / Kaluza-Klein / Calabi-Yau manifold
(アインシュタイン/カルツァ=クライン/カラビ=ヤウ空間)
Superstring / All the strings oscillate in many ways
(超弦/弦が色んな震え方をしている)
Strong / Weak / Electromagnetic forces and Gravity
(強い力/弱い力/電磁力と重力)
Dark matters we cannot see, Hey Maldacena
(見えないダークマター、ねえファン=マルダセナさん)

Is this world really a hologram projection?
(本当にこの世界は単なるホログラムの投影なのか?)
World we live in is the dream we are dreaming on
(僕らが住んでる世界は夢にすぎないのか)
If that is right, does it make sense to fight, to shed blood for illusions?
(そうだとしたら、争いに血を流す事に何の意味があるだろう)
Then how about we share the infinite with a smile
(だったら寧ろ笑顔と共に、無限を分け合うってのはどうだろう)

I want to believe that this world is merely a hologram projection
(そう信じたい この世界は単なるホログラムの投影なんだって)
World we live in is encoded from far away
(僕らが住んでる世界は、遠くから描かれてるんだって )
If that is right, there’re no reasons to fight, to shed blood for illusions
(そうだとしたら、争いに血を流す理由もないんじゃないか)
Then now we can share and bless our quantum world
(そうしたら僕らはこの量子的な世界を祝い、わけあえるだろう)


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