#タイムリープ実験 (45日目) この世は夢? 万物の心が宇宙を生み出すという新しいシミュレーション仮設
「シミュレーション仮説」というのをご存知でしょうか?
英オックスフォード大学の哲学者ニック・ボストロム博士が提唱し、テスラやSpaceXのCEOを務めるイーロン・マスク氏も支持している仮説です。
このまま科学がどんどん進んでいくと、われわれの子孫は宇宙全体の現象をシミュレーションできるコンピュータを作り上げるかもしれない、いや宇宙のどこかではすでにそんなコンピュータが開発されていて、われわれはすでにシミュレーションの中にいるのかもしれないという仮説です。
でも今日ご紹介するのは、ボストロム博士の仮説を発展させた、まったく新しい「シミュレーション仮説」です。
ニュースメディア「BIG THINK」に興味深い記事が掲載されました。
●新しい仮説は宇宙がそれ自身をシミュレートして存在することを主張
2020/4/26 BIG THINKより
米ロサンゼルスの理論物理学研究所の量子重力研究チームが、万物の心がこの世界自体を生み出しているという「自己シミュレーション仮説」を発表しました。
ボストロム博士の仮説と新しい「自己シミュレーション仮説」の違いは、ボストロム博士の仮説がわれわれの意識も宇宙もすべて、脳や粒子などの物質から生み出されているという唯物論からはじまっているのに対し、新しい仮説は、この世界はすべて情報から生み出され、万物にはすべて心が宿っているという汎心論の立場をとっていることです。
「汎心論」という言葉は難しいですが、ジブリアニメの「千と千尋の神隠し」に登場する「八百万の神」を想像されるとわかりやすいでしょう。
でも「八百万の神」に例えると、唯物論からはじまるボストロム博士の仮説に比べ、何となく新しい仮説の方が古くさく感じられるかもしれません。
ところが、新しい「自己シミュレーション仮説」は、「量子重力理論(ループ量子重力理論)」や「ホログラフィー原理」などの最新の理論物理学に基づいて構築されています。
今までのシミュレーション仮説で「われわれの意識がどうやって生まれるのか?」は、進歩したコンピュータであれば脳のニューロンネットワークをすべてシミュレートでき、ニューロンの活動が複雑に組み合わされば、やがてそこに意識が生まれるはずだ、と説明されてきました。
でも、はたしてそうでしょうか?
量子重力研究チームの仮説は「もともと意識の無い物質がいくら集まっても意識は生まれない」というアイデアからスタートします。
ホログラフィー原理では2次元の平面情報から3次元の立体情報が計算可能という理論です。
われわれの宇宙が物質ではなく「情報」から生まれており、その情報1つ1つには微かだが思考があり、それが組み合わさって1つの大きな思考になるとしたら・・・。
ここで夢の例えが登場します。
夢の中で夢を見ていることに気づく明晰夢を経験された方は、その生き生きとした鮮やかさに驚くはずです。
そのような鮮やかな現実感を味わえるシミュレーターはいまだに開発されていません。
もし仮に、あなたが今住んでいる世界が、夢だとしたらどうでしょう?
あなたが見ているパソコンのモニター、キーボードを打つ指先、目が疲れたので窓の外を見上げると満点の夜空・・・それらは本当に実在すると断言できるでしょうか?
最新の物理学では、われわれの目の前に広がる空間も、そして時間でさえ、世界を構成する根源的なものではないと考えられています。
この宇宙すべてが情報から生成されており、その情報1つ1つの思考からわれわれの意識が生み出されているとしたら・・・というのが「自己シミュレーション仮説」の概要です。
またまた「タイムリープ実験」とは直接関係のない話をしてしまいました。
でも、精神だけが時間移動する「タイムリープ」の原理とは、もしかしたら深いところでつながってくるかもしません。
興味深い仮説なので、近いうちに私のサイト「Back to the past」で、もう少し考察してみたいと思います。