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【ライブレポ】210424東京アイドル劇場「Fragrant Drive公演」

女性アイドルグループは数えきれないほどありますが、たまにふと考えるのが、注目されるグループとそうでないグループを分かつものは何なのだろうか?ということです。

僕自信知っているアイドルの数はさほど多くはありませんが、偏狭な了見の中でも、曲やパフォーマンスが良いと思うグループが本当にたくさんあることを日々感じています。
だからといって、そうした魅力的なグループの数々がおしなべて同じ注目度かというと、そういうわけでもありません。これが不思議なのです。

もちろん注目される/されないがパフォーマンスの良し悪しだけでで決まる単純なものとは思っていませんし、そもそも同じようなクオリティーのグループの人気がおしなべて等しくなるとも思っていません。
そもそも、パフォーマンスの良し悪しのジャッジも結局は主観に過ぎません。

つまるところ、注目度というのは個人個人の主観の集まりであり、複数の因子が複雑に絡み合っていることなので、それに差がある理由を言葉にすることは難しいのだと思います。

しかし、これらを考慮した上でも「どうしてもっと注目されないのだろう?」と思うグループがあります。
素人目線でこんなことを言うなんておこがましいことだと自覚しているのですが、実力に対しての注目度があまりにも見合っていないグループが間違いなくあると感じているのです。

その筆頭だと思っているのが、今回のライブレポで対象とする5人組アイドルグループ・Fragrant Driveです。

フラドラメンバー紹介

4月24日(土)、お茶の水のYMCA スペースYホールにて開催された表題のライブに行ってきました。今回はこのライブレポです。

いつもは書きたいことを書き連ねすぎて散文傾向なのですが、グループの魅力をできるだけ端的にお伝えできるよう、今回は焦点を絞って書くこととします。

今回取り上げたいのが、中盤に披露された「Magnet」という曲です。

この曲は、なかなか引き合わない恋愛模様をS極N極のマグネットになぞらえた曲です。
Fragrant Driveの曲には、感情を物や情景に例えた詩的な歌詞が多いと思っているのですが、この「Magnet」もそんな一曲です。

メロディーからはなにか不穏な雰囲気を感じるのですが、これは下で支えるベースと、上から降ってくるようなピアノの音がそう思わせているのかもしれません。

この日、そんなメロディーとメンバーのボーカルがよくマッチしていたパートが2箇所ほど有りました。

まず、辻梨央さんがソロで歌うサビ前、この歌詞です。

この恋の行方は読めない DarkSide

ここでの辻さんの歌声からは、力強さに加え、「Magnet」を構成する妖しいメロディーとの強い親和を見た気がします。
とくにベースの音との親和性があるように聴こえました。

ここでは「倍音」という音楽用語を引きながら語っていこうかと思います。
倍音というのは、ざっくり言うと基準となる音にまとわりつく周辺の音のことを指すらしいのですが、これによって聴く側は無意識下に音の広がりを感じるようです。

本人曰く、どうも辻さんの歌声から放たれる音は「倍音」気味なのだなのです。
下にリンクを貼った動画にて語っています。

思うに、辻さんの倍音はとくに低音域で強かったため、これがサビ前のパートにてベースの音とうまく混ざっているように聴こえた理由なのかもしれません。

また、直後のサビ、メンバー5人全員でコーラスするパートでも音の厚みを感じます。

乾いた唇を潤してほしいだけよ
それすら叶わないの?

ここの音の厚みは、メンバー5人によってさまざまな角度から出される歌声がキーだと思っています。
先述したような辻さんの倍音もさることながら、他のメンバーの音へのアプローチも様々なように思います。
例えば、片桐みほさんは高音から、辻さんや三田のえさんは低めの音からのアプローチに聴こえます。
音の高低からは外れますが、板橋加奈さんは丁寧な歌声で、伊原佳奈美さんは繊細な歌声という印象です。
これらの個性がサビで一つの音に向かってまとまっていくとき、コーラスに厚みが増し、楽器では再現できないようなメロディーとなってこちらに届いてきます。

また、このパートでは振り付けも特徴的です。
メンバーが中央に集まり、四方八方に手を伸ばして何かを手繰り寄せるような振り付けとなっているのですが、歌声と合わせて壮観です。

ところでこの日、「Magnet」の曲中は客席からステージを撮影可能となっていたのですが、僕はほとんど撮らずにステージに見入っていました。
大層なカメラを持ち合わせておらず、スマホカメラではうまく撮れないだろうと踏んでいたということもあったのですが、それよりもこの歌声の厚みやステージの動きは写真では絶対に分からない、生で観ないことにはもったいないだろうという理由の方が大きかったです。

ここまで「Magnet」について書いてきました。
冒頭で内容を絞るとは書きましたが、少々物足りないのであと2点だけ書いてレポの締めとしたいと思います。

曲に込める感情

リーダーの板橋加奈さんは、曲の感情に動きを乗っけるのが上手いと感じます。
この日象徴的だったのが、「Shine Fine Movement」というグループから継承した「You」(間違っていたらすみません)でのラスト、この歌詞の部分です。

明日もまたここで会えるから

このパートでは、たしかメンバー全員が横並びになって手を下ろすような振り付けとなっていたはずなのですが、板橋さんが手を下ろすタイミングは他のメンバーよりも若干遅くしており、これによって名残惜しさを演出しているようにみえました。
板橋さんの感情の乗りについては、他の曲を披露した、下のリンクのライブ動画でも見て取れました。
曲の世界に入ってパフォーマンスするというのは目を引きます。

手足の魅せ方が上手い

先ほど「倍音」の話で取り上げた辻梨央さんは、歌声だけでなく振り付けなど動作でも目立っています。
辻さんはグループの中で身長が高めなのですが、目立つのは単に身長が高いからだけではありません。
手足の動きが非常にしなやかです。滑らかといってもいいのかもしれません。
そして、身長が高くリーチも長い分、このしなやかさがステージで一層映えています。
つい観てしまうメンバーです。

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このライブレポの冒頭で、Fragrant Driveは注目度と実力が見合っていないと書きました。
今回のレポでこれに説得力を増すことが出来たのかは疑問なのですが、ともかくFragrant Driveのメンバーもライブに自信を持っています。
メンバー自主製作のYouTubeラジオでも、ある回のタイトルはストレートに「とにかくライブ来て!!」としています。


タイトルだけ見ても、来てもらっても楽しませるだけの自信が伺えますし、実際このラジオ内でも、「毎日何かしら変化を入れている」「いずれ小さい会場では足りないくらいのキャパにしたいしなると思っている」などライブに込める想いを熱く語っています。

僕としても、Fragrant Driveを生でまだ数回しか観られていませんが、この言葉がまったくの過信からくるものとは思えません。
間違いのない実力に裏付けられた言葉と確信しています。

ところで、Fragrant Driveは昨2020年に辻さんと三田さんが加入して新体制となったのですが、この日披露した「パピナ」をもってグループの持ち曲を新体制で一通り披露しきったとのことでした。
したがって、この日は名実ともに新体制が一つの完成をみた、エポック的な日となったかもしれません。今ある持ち曲をひっさげ、ここからも躍進していくことと期待されます。
新曲もいずれあるかもしれません。

蛇足にはなりますが、Fragrant Driveに関して過去に書いたライブレポや曲レビューのリンクを下に貼りました。
よろしければこちらもご覧ください。

◆【曲紹介】胸の奥のVermillion

◆【ライブレポ】2/20三田のえ生誕祭

◆【ライブレポ】3/27開催対バンライブ

見出し画像:Fragrant Drive公式ツイッターアカウント画像を改変


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