見出し画像

【ライブレポ】綺星★フィオレナード 新体制お披露目東名阪ツアー 東京公演

11月25日、赤羽ReNY alphaにて綺星★フィオレナードの東名阪ツアー・東京公演が開催されました。
綺星★フィオレナード(スターフィオレナード、スタフィオ)はこれまで7人組グループとして活動していましたが、2021年10月に世良明梨さんが卒業しました。
翌11月には早くも新メンバーとして満天ころもさんと猫宮りなさんが加入し、現在は8人組グループへと生まれ変わりました。
11月12日に新体制を初お披露目し、11月23日の大阪公演から開催中なのがこの「お披露目ツアー」でした。

ツアーにはスタフィオと多かれ少なかれ関わりのあるグループがいくつも出演し、スタフィオの新たな章への船出に花を添えました。
この日は18:00前からのスタートでしたが、僕が滑り込んだのは18:50くらいで、Fragrant Drive~刹那的アナスタシア~煌めき☆アンフォレント、そして主役の綺星★フィオレナードの計4組
を観てきました。
(YURimMentalさんについてはフラドラの物販に行っているうちにほとんど終わってしまったため、残念ながら観られていません。)

出演順にライブレポに入っていこうと思います。

◆Fragrant Drive

本来は5人組なのですが、この日は片桐みほさんと三田のえさんが不在で、ステージに立ったのは3人でした。

フラドラメンバー紹介

開演ぎりぎりのわずかな時間で考えていたのは、一曲目に何が来るかということでした。
Fragrant Driveを知らない方も居るであろうことを考えるとグループの名刺代わりの曲である「胸の奥のVermillion」か、スタフィオから継承した「℃repuscolo」あたりでしょうか。
予想に反して実際にかかったのは、かつて伊原佳奈美さんと板橋加奈さんが所属していた「Clef Leaf」というグループから引き継いだ「眠れる姫にくちづけを」でした。

板橋加奈さんは緊張したと言っていました。
気持ちの硬さが出てそう見えていたのかは分かりませんが、悩ましげで真剣な表情は曲の雰囲気そのものを見事に映していました。
結構高音がきつい曲だと、「眠れる姫にくちづけを」を聴いて改めて思いました。
前グループから歌いこんできたであろう伊原佳奈美さんは、高めに触れていく声質が持ち味と思います。
そんな声質が、高めの音の多いこの曲にすごく合っていたように感じました。

二曲目も切ない雰囲気を受け継ぎました。
恋花」です。
この日のFragrant Driveにあてがわれた時間は15分と短く、披露できたのは3曲のみでした。
いつも以上に限られた時間なので、わかりやすく盛り上がる曲を持ってきてもよさそうなところですが、この日のセットリストが推してきたのはFragrant Driveの表現力でした。

3人の表情を見てみます。
板橋さんは1曲目から引き続き真剣な表情で、辻梨央さんはここで少し笑みも見せ、伊原さんは前を見据える視線がぶれません。
ステージの使い方は三者三様で、人数は欠けていてもバリエーションがあるので見ていて飽きません。

やがてステージ背景のスクリーンには薔薇のような花がいくつも散らばりました。
「恋花」は、かつての事務所を共にしていたであったFlower Notesの曲です。
Fragrant Driveは、「香り=Fragrance」からそのグループ名をとりました。
香りと花は、切り離せないものです。
どちらかを頭の中でイメージした時、もう片方はどうしたって呼び起こされるはずです。
他のグループの時にもこの絵柄は出ていましたが、一番マッチしたのはFragrant Driveで間違いなかったでしょう。

サビ直前に、辻さんが歌うのがこのパートです。

「切り拓いていくから 一粒の種が秘める力」


いつもは三田さんが歌うはずの直前のパート「選んだ道は 険しく長い」から続いた、長めのソロでした。
辻さんの目は鋭く、ここのパートでは歌い方も力のこもったものになっていました。
普段の「ホーム」の公演の時よりも、意思が込められているような気がしました。

切ないこの曲がより深まっていくのが、この落ちサビです。

「夢を糧にして咲いた花が 月夜の下で薫るよ 永遠に」


辻さんがまずソロを歌います。
歌い終わりに下手側を向き、差し出した手に導かれて奥からやってくるのが、いつもであれば片桐みほさんでした。
後半パート「未来の光を...」をソロで歌います。

片桐さんの居ないこの日、辻さんからバトンを受けたのは板橋さんでした。
この日の前半二曲では、板橋さんの歌い方の良さが全面に出ていたように思います。
板橋さんは切ない系の曲では特に息継ぎを分かりやすく大きめに付けます。
聴いていると歌い手によって様々ではあるのですが、フレーズ終わりをバッサリと切ってしまう潔さが板橋さんにあるように感じます。

この日も、どの曲のどのパートかは忘れてしまいましたが、3人になったことでいつもよりも長めになったフレーズを歌っていた時、その声をたっぷりと味わうことが出来ました。

落ちる曲が続いたとなると、同系統の「℃repuscolo」が続くことはもう無いだろうとなります。
それでなくとも、最後に披露されたこの曲はFragrant Driveのライブに欠かせません。
三曲目は「胸の奥のVermillion」でした。
リストをしなやかに使うことがいかに難しいことか。
ステージを眺めているだけでも伝わってきますが、フリコピをしようとメンバーの動きを真似してみると、より分かります。

たった15分とやりづらさはあったかと思うのですが、充実の良いライブでした。

◆刹那的アナスタシア

デビューからまだ一年と経っていませんが、「ツナスタ」にはそうは見えないような落ち着きがあります。
チェック柄のついた暗めの衣装は、フロアを盛り上げる楽しげな曲とは対照的に、ステージに根をおろしています。
メンバーのビジュアルはみな美しいと形容されるほうに寄っている感じで、今後曲数が増えてもの静かな曲が付いたらどんな表情になるのだろうと想像してしまいます。

AKATSUKI」という曲があります。

「楽な道だけ 選べない僕だから もっと遠くまで行こう 君と一緒に」


サビでは手を回す振りつけによって、何かが弾けたように爽やかな空気が流れ込んでくる、デビューしたばかりで「これから」のツナアスタにはピッタリな曲です。
とはいえ、聴くタイミングを選ばない良い曲とも思っていて、何かを始めようという時だけでなく、これまでを振り返った時に聴いても染みてくる曲だと思っています。
広く刺さる名曲です。

この日のツナスタメンバーの歌声はサビにかけて全体的に高ブレし、その様子は不安定さと期待が混ざったこの曲の世界そのものでした。

どの曲か忘れてしまいましたが、手のひらを上に向けて腕を4拍子で上げていく振り付けではメンバーに乗せられるがままにフリコピをしてしまいます。
手の微妙な動かし方が上手いので、上げさせられる、というほうが正しいのかもしれません。

◆煌めき☆アンフォレント

スタフィオに先行して2015年にトイプラよりデビューした、姉貴分的グループが、この「キラフォレ」です。

アジア経由宇宙行き 銀河に煌めく七つ星

アイドルグループにはグループコンセプトがつきものですが、キラフォレの場合はこうあります。

これまでキラフォレを観たことがなく、このグループコンセプトもライブ後に調べて初めて分かりました。
でも、このグループが宇宙をテーマに入れているのだなということは、ライブを観ているときからなんとなく伝わってきていました。
全5曲のライブを通じて、その雰囲気は壊されていませんでした。

えてしてこうしたグループコンセプトは有名無実で、年数を重ねていくごとに無かったことになっていくことも珍しくないのですが、デビューから6年が経った今であっても、全くの初見の人間にそう遠くないイメージを抱かせるというのは希少ですしすごいことです。

ここで、会場のことに触れたいと思います。
ライブが開催された赤羽ReNY alphaは新しく、2019年にオープンしました。
新宿のオフィス街に新宿ReNYという会場があるのですが、名古屋ReNY limitedとともに新宿からのれん分けしたのでしょう。
さらにさかのぼると、半世紀前のフォークシンガーにとっての登竜門である「ルイード」までたどり着きそうです。
新宿よりもステージやフロアは小ぶりなものの、赤羽には耳だけではない楽しさがあります。
これは新宿にはない魅力だと思います。

ステージの背景は巨大なスクリーンになっていて、曲に合わせてVJかのごとく映像やイメージが飛び出ていました。
フロア後方には見づらい方のためにモニターが両脇についています。
新しい会場なだけに映し出される色も鮮やかで、視覚で不自由させないような趣向が凝らされていました。

しかし赤羽にあるのはそれだけではないようだと、キラフォレの出番で知りました。
一曲目「輪廻×レインカーネーション」のイントロが鳴り出したとき、フロアの両サイドに立っている柱が突然光り出したのでした。
柱にはバーライトが取り付けられていました。
曲の始まりとともに、ステージ背景で飛び散った色を浴びたようにバーライトまでもが真っ赤になっています。

賑やかな始まりとともに、まず耳に入ってきたのは圧倒的な歌唱力でした。
白瀬乃愛さんです。

Fragrant Driveの辻梨央さんが、ソロ名義「つじりお」として「Girls Uplugged」(発音難しい)というライブに11/28に出演します。
対バン相手には9nineの村田寛奈さん、そして元GEMの武田舞彩さんと歌唱力に相当の定評あるメンバーが並んでいるのですが、ここにゲストアーティストとして呼ばれているのが白瀬さんでした。

ライブの時の辻さんのMCや告知ポスターなどでその名前を見聞きすることはあったのですが、この日ようやく一致しました。
歌声を聴いて違うものを感じていましたが、MCの自己紹介でようやくつながるとともに強く納得しました。
この歌唱力ならそれはつじりお達に並ぶよな、と思います。

歌の上手い人はマイクに乗るボリュームという点でも出色だったりするのですが、白瀬さんはそこまで強い音という感じではありません。
しかし、さりげなくとも歌いだすと空気は間違いなく変わります。
耳がピンと張られるような、場内が聴き耳を立てているような雰囲気が、白瀬さんのソロでは広がります。

メンバーカラーが白の神谷美玲さんは、その表情がとても良いです。
くるりと回転するまさにその直前に不意に笑ったりします。
その前後では全く違う顔つきをしているのに、変化の速さには驚くほどです。

2人にしか今回取り上げられていませんが、曲が分かるようになればまだまだ見どころがありそうですし、もっと観てみたいと思います。

◆綺星★フィオレナード

ここまで全7組が出演しました。
2時間以上かけて暖まり切ったステージの最後に、ようやく新生スタフィオが現れました。

何回かスタフィオのライブを観ていて感じるのが、たった数曲のライブの前後半でまるで雰囲気が変わってしまうということです。
多彩な曲に、その仕掛けがあります。

前半ブロックでは、明るくカラフルな曲が続きました。

M2. Shu★parklinG!!×Ⅱ
M3. Brilla di più♯

飛び跳ねる末永香乃さんや、笑顔でいっぱいの矢羽根かこさんが印象的です。
この日初お披露目された、光沢のある生地に直接「Star FioreNerd」があしらわれた新衣装のカラフルさも、この明るさを盛り立てます。

余談ですが、Brilla di più♯サビでメンバーが天を指さして跳ねたとき、背景のスクリーンには空の上のような映像が映し出されていました。
8人そろったこの光景は、例えば音楽メディアにライブレポートで取り上げられた時に格好の見出し画像になりそうだなと、ふと余計なことを考えていました。
それくらい、一つの絵として完成されていました。

一方、4,5曲目にかかったのは「La mia adolescenza.」「:Dum spiro spero」でした。
ここからは一気に表情が消えます。
「:Dum spiro spero」で特筆したいのは、何度でも書きますが末永香乃さんの歌いぶりです。


いつもおなじみの、マイクを立て、フロアに向かって前のめりになる姿は
それに加え、少し観ていない間に変えたような気がしたのが、「:Dum spiro spero」での歌い方でした。
橘さんとふたりでこの曲のメインパートを張っているのですが、末永さんが1番サビで歌うのがこのフレーズです。

「花が咲くときは星屑 安息の刻」

一息には歌いきることが難しいのですが、末永さんはブレスを意外な位置にとっていたように思います。
どこかというと、「咲くときは」の「とき」と「は」の間に入れていました。
上に書いた歌詞の前後半の間にスペースを入れたのは、前半のフレーズ「~星屑」がロングトーンで、ここがフレーズの切れ目になっているからでした。
おのずとここでブレスするものだと思っていたのですが、末永さんはその前の、言ってしまえば一見半端なところに切り込みを入れていたのでした。

でも、実際聴いてみると、こっちの不自然なほどのブレスのほうが言葉として入ってくる感じがします。

ところで、この日のメンバーはナチュラルハイな様子に見えました。
新体制の始まりとなる大事なツアーです。
気合いや緊張や、それを打ち消そうとするテンションなど、色々と混ざっていたのでしょう。
それを感じ取るとき、冨田菜緒さんの落ち着いた雰囲気を求めてしまいます。
高めにエコーがかかり、なんとなく上ずっている序盤。
そんな状況でも、冨田さんの歌声には安心させてくれるところがあります。

新メンバーについても書いてみます。
満天ころもさんは、かなり曖昧な書き方となってしまいます。
「aile←Ave;nir」だったかと思うのですが、あるフレーズでの手振りが非常に印象的でした。
どのフレーズかを言い表せていないので雲を掴むような話になってしまいますが、詞の世界を現わしているように見えました。
上手の一番奥に居ましたが、このときの満天さんは目立っていました。

もう一人、猫宮りなさん。
猫宮さんについては、既にいくつもソロの歌割を任されていることからも分かりますが、声がよく出ていると感じます。
スタフィオの現メンバーの歌声は、悪い意味ではなくてふわっとしているイメージがどうしてもあります。
マイク音声にエフェクトがかけられているであろうことも一つの理由なのでしょうが、猫宮さんの歌声はそうした傾向とは異にしています。
猫耳をつけた見た目に反し、結構強いです。
どこかの曲でソロを歌ったとき、続くメンバーに被せんばかりに少し長めに伸ばしたところもよかったです。

赤羽ReNY alphaはステージがさほど広くないと書きましたが、スタフィオの場合は特にスペースが無くなっていました。
なにせ8人も居ます。ステージ上では動きづらくて仕方なさそうでした。
観ていてどうしても気にはなってましますし、なによりメンバー自身が何も思わないわけはないと思うのですが、一切顔や態度に出さないところは、当たり前と言われてもすごいなと思います。

以上がライブレポです。
平日夜にこんなに楽しくていいのかというくらい満足のライブでした。
この座組は間違いのない座組だなと、強く確信しました。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集