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【ライブレポ】10/9アイドルだいさくせん タートルリリー出演分

10月9日(日)に、渋谷CLUB CRAWLにて「アイドルだいさくせん」が開催されました。
ここに出演した、5人組グループ・タートルリリーについてのライブレポです。
当初は4組出演の対バンライブの予定で、タートルリリーの特典会は終演後ということになっていました。
出番終わりから特典会まで1時間の空きがあるはずだったのですが、前日に急遽2組がラインナップに加わり、タートルリリーの特典会はライブ直後の平行物販ということになりました。

しかも出演時間は対バンにしては長めの30分が設定されています。
チケットの料金は別として、15分や20分のライブ2本よりも30分1本のほうが価値があると思っています。
長い時間で自由度の高いセットリストや、複数挟まれるMCコーナーは、sのグループの色々な側面を見せてくれます。
ワンマンライブやツアーがなかなか難しいライブアイドルにとって30分対バンは貴重な疑似ワンマンのようなもので、さらに平行物販ともなれば行かずにはいられないと急遽決めました。

冷え切った雨の中でも特典会の列が恐ろしい長さだったのは、いつも来られる方を除けば自分のような考えの人が多かったからなのでしょう。
タートルリリーは毎回特典会列が長く、動員で上回っている他グループより待ち時間がかかる体感で、結構人気だというイメージがすっかり定着しています。
メンバーと喋れる時間が長めのレギュレーションだったり、スタッフの方のワンオペが多いからからというのは大きな理由でしょうし、そもそも自分が行くのが動員最重要のフェスや記念碑的なイベントだったりと大切なライブばかりです。
いつもより人が集まるからそう思ってしまうのかもしれません。
ただそれらを差し引いたとしても、SNSで観る数字以上に人を集めている印象があり、率は高いと思います。
あとは分母が増えさえすれば。
この日も人気ぶりを身をもって実感したような一日でした。


会場に入ると、2010年代のバンドのサイン入りポスターが所狭しと貼られている階段はいかにもライブハウスといったもの。
道を挟んだ新設のSHIBUYA DIVEの系列の店だとは、言われなければ想像がつきません。
込み入った感じの通路に入っていくのも、圧迫感のある天井も、久々の体験でした。
じっくり音楽を聴くというよりも、コアなファンが身体を揺らしたり叫んだりしに集まるような場所でした。

言ってみればごちゃごちゃとしたライブハウスで、正直入ったときは居心地の悪さを感じていたのですが、前の演者さんから5分程度のブランクの後にタートルリリーが出てきたとき、周りの雑多な背景が一切気にならなくなりました。
お目当てが出てきてテンションが上がっているのもさることながら、タートルリリーのグループとしての力も見逃せません。

ヨーイドンで出てきて舞台装置を変え(たように見せ)てしまえるオーラがあるということです。
これまで自分はライブをホールや大きな会場で観ることが多く、初めての舞台でも立ち慣れた場所かのように振舞うメンバーを見るたびに、タートルリリーのカラーや雰囲気がホール向きで、箱に後押しされてより輝いて見えるいるのだとばかり思っていました。
しかしそれは半分間違いだったようです。
ホールとは対極の、薄暗い地下のライブハウスであっても、見え方は同じでした。
環境がどうであれ、5人は自分たちのカラーに染めています。
箱にお膳立てされてよく見えていたわけではなかったのでした。
ライブアイドルという枠にはめてしまうと、タートルリリーのことを誤解してとらえてしまうかもしれません。

衣装は「ダイヤの翼」で着ていた深緑色のものでした。
最新曲の衣装に縛られず、日替わりで衣装を変えて見た目にも毎回新鮮さを与えるというのはタートルリリーの良さですが、この日のシチュエーションではダイヤ衣装がベストチョイスだったと思っています。

◆セットリスト
M1. Say Hello!!
M2. ダイヤの翼
M3. Miel
M4. シ・ゲ・キ・チュ・ウ♡
M5. 空に青
M6. アプデ

セットリストを見てみると、30分ライブを十分に活かしたような内容になっていました。
期待通り、15分ライブ×2では見えてこないグループの側面が現れてきます。
コールありということで盛り上がる曲ばかりを入れてくるのかと思いきや、「イチコイ」「真夏の空とキミ」という鉄板の曲はありませんでした。
かわりに「Miel」で妖艶さ、「アプデ」でカッコよさの引き出しを開け、その一方で「Say Hello!!」「空に青」の安心感も忘れていません。
持ち曲数のわりに組み合わせによって大幅に印象が変わってくるのは、それぞれの曲が多彩ということに他なりません。
辻菜月さんとも前にセットリストについて話したことがありましたが、新曲を入れ、盛り上がりに欠かせない鉄板曲を入れるなどの縛りを考えると、持ち時間20分では選択肢が大分ふさがってしまいます。
そこにたった10分あれば、曲数的には2曲加わるだけかもしれませんが、色の違う曲が混ざるとそれだけでライブはより奥が深くなります。

2,3曲目の「ダイヤの翼」「Miel」は真骨頂でした。
30分ライブでなかったらどちらか一方は必ずセットリストから外れていたでしょうし、両方ともなかったかもしれません。
ライブハウス特有の、黒で塗りつぶされた周囲に光が吸い込まれて生まれた闇が良い演出となっていました。
ターンも綺麗ですし、サビ前の暗転も良い感じでした。

ライブを生き物とするならば「シ・ゲ・キ・チュ・ウ♡」は、その呼吸をリアルに感じました。
割と直線的に盛り上がりへと移っていく曲ですが、おとなしいだけではなくこうした明るさもまた大切で、ライブが平板で終わらないのはこういう曲があってこそです。
ワード選びになんとなくタートルリリーらしさがあり、無くてはならない曲なのだなと再認識しました。
ここで光るのが、先日生誕祭を行った清藤恵さんです。
歌声が気持ちよく出ていて、抜けがとにかくいい。
加えて頼もしさもあり、自分はまだライブ回数は少ないですが清藤さんにとってはこの曲が一番歌いやすいんだろうなという印象です。

ところでこの日は声出し可ということになっていました。
年末にかけてはこれが当たり前になってくるのでしょう。
とはいったものの、少なくともタートルリリーの出番ではわりと静かでした。
曲の間に歓声を上げる方はいたものの曲中の名前コールやmixはほとんど「発動」されず、数年ぶりの声出し現場に来た自分にとっては今日日の声出しはこれくらいなのかと少々驚きだったのですが、タートルリリーにとってはちょうどいいバランスだったように思います。
何でもかんでも叫ぶイメージのグループではありませんし、解禁になったからといって無理にコールを入れる必要もないと思います。
パフォーマンス中は基本的に自分の声を出すよりもステージに注目して歌に耳を傾けたほうがやはり良いです。
コロナでの見方に慣れきってしまうと正直コールなんて要らなくむしろ雑音で、ただ見ているだけで十分ではないかという考えがあったりもするのですが、ただ曲間での歓声はやっぱり大事で、レスポンスを聞けて嬉しそうにしているメンバーを見たり、やはり場面場面で発することの気持ちよさを覚えてしまうと、その中間を取ったようなこの日の楽しみ方は大いにアリだなという風に思うようにもなっていました。

MCでは2分弱余らせた持ち時間をトークで貪欲に埋めていこうとする有川奏
絵さんの回しだったり、辻菜月さんが急にハンドルを切って「じゃあめぐに近況を話してもらおう」と清藤恵さんに振ったと思えば清藤さんが「ここの天井が低くて...」と近況でも何でもないことを話し始めたりと、とにかく粘って会場を冷やさないようにという気持ちが伝わってきました。

リーダーの有川さん、曲間のMCでこの日遅刻したというきよりんのことに触れてこちらはとことんいじり、かたや清藤さんのくだりで「天井にめぐのDNAがついてるかも..」と誰かが言いだして「めぐ推しの人、よかったら...」みたいな雰囲気になったときにはそれ以上膨らませず「そういう子じゃないので!」と制していました。
短時間で誰でも分かるようにメンバーのキャラ付けをしているのが素晴らしかったです。
大爆笑をかっさらう必要はなく、これが集団で組み立てていくべきトークなのだと妙に感心してしまいました。
あまり喋らなかった佐伯さんを含め、MCだけで5人の人となりが伝わってくるようなやり取りでした。
特に初見だと、目の前のステージにいるグループが大きな一つの塊に見えてしまうこともあるのですが、こうしたトークによって個性を持った個人の集まりだと実感すると距離感も縮まります。
この日に関して言えば、遅刻した人というイメージがついてしまったきよりんさんはちょっとかわいそうだったかもしれませんが。


先のように、特典会では待機列が階段を伝って地上にまで伸び、そこから折り返して再び地下のロビーに戻っていくほど長蛇の列で、途中空気が薄くて頭が痛くなったりもしたのですが、それも込みでいい思い出となりました。


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