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【ライブレポ】Fragrant Drive現体制初単独公演「60 min GIG in AK」

6月27日(日)に池袋AKにて開催されたアイドルグループ・Fragrant Driveのライブに行ってきました。
Fragrant Driveには、昨2020年11月に辻梨央さん、三田のえさんの二人が加入し、新体制5人組となりました。

フラドラメンバー紹介

グループはは2人の加入から精力的にライブを重ねてきましたが、その多くは対バンライブで、「東京アイドル劇場」など実質単独ライブのようなライブはあったものの、単独ライブとはっきり銘打たれたものはこれまで開催されていませんでした。

新体制発足から半年以上経ち、ようやく迎えた新体制初の単独公演です。

グループとしても、有観客での単独ライブは1年以上ぶりと思います。
メンバーのツイートからは意気込みのほどがうかがい知れました。

では、ライブの内容に入っていきます。

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1曲目はいきなり、疾走感たっぷりな「胸の奥のVermillion」でした。
ライブ冒頭は、新体制初の単独公演を迎えることへの緊張感や、一方で楽しみな気持ちなどが混ざってフワフワとした感じがあったのですが、そんな会場の空気を強烈にかき回すように「バーミリオン」が広がりました。

「3.5割増しのテンション(?)」でこの日に臨んだというメンバーの伊原佳奈美さんは、普段板橋加奈さんが担当することの多いアオリを積極的にしていました。
この曲だったか、伊原さんがこちらに向かってニコッとしてきた気がしたのですが、このときばかりはやられてしまいました。

そして2曲目に披露されたのが「Everlasting First Kiss」。
ここでまず書きたいのがいわゆる「レス」についてです。
レスとは、演者が客に対して個別に送る反応(指を指してきたり目を合わせてくること)なのですが、オリジナルメンバーの板橋加奈さん、片桐みほさんはこの「レス」を頻繁にしてきます。
ライブアイドルのライブ会場はさほど広くなく、フロアとステージの距離が近いため、アイドルと目が合うことがたびたびあります。

目線の先にいたからたまたま目が合ったという例も多いのですが、板橋さんと片桐さんにかんしては恐らく狙って「合わせ」にきます。
特に板橋さんは目が合うやいなや、そのことを確信させるかのようにうなずいてきます。
今この時はあなたを見ているのだという意思表示がはっきりと伝わってきますし、その一瞬、おそらく1秒2秒もないでしょう。
わずかな時間ですが、その間一気にライブの世界に引きずり込まれます。

ときの映画監督、ビリーワイルダーは、映画を制作するときのモットーとして「観客の首根っこを掴み、最後まで離すな」ということを掲げていたそうです。
映画だけでなくライブでも通じそうな文句ですが、板橋さんと片桐さんは特に「レス」によってこれを体現しているように感じます。

またこの曲、落ちサビでは片桐みほさんから伊原佳奈美さんへのソロパートによって繋がれます。
この日落ちサビに入ったとき、全ての音が止まった気がしました。

伴奏にはうっすらながら鍵盤の音が聴こえているはずなのですが、それさえも聴こえず、ただ爽やかな片桐さん・伊原さんの声だけが響いていました。

Fragrant Driveの公式YouTubeチャンネルに、ライブ中のメンバーの動きに注目した動画がメンバー編集により上がっています。
この中でメンバーは(恐らく辻梨央さんでしょうか)「落ちサビで音が止む感じが良い」と言っていました。

落ちサビは最大の見せ場でありつつも音を特に外せないパートであることから、メンバーからすると震えるような瞬間だと思いますが、この日は観ているこちらも物音ひとつ立てることすらはばかられるような感じがしました。
緊張感を共有したようなひとときです。

そしてこの「音が止む」瞬間というのは、終盤のある曲でも訪れたので後述します。

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単独ライブを迎えるにあたってメンバーより予告されていたのが「新曲の初披露」でした。

この日早くも3曲目に披露されました。
タイトルは「ふたりのストーリー」。

歌詞はすっかり忘れてしまいましたが、ABメロでつづられる辛い心情が、サビに入ると明るく転化される恋愛ソングといったところで、振り付けには指を指し下す動作があるなどファン側としても比較的真似しやすそうな曲でした。

この曲で注目したいのが、昨年11月加入メンバーの一人である三田のえさん。
三田さんには過去グループでのアイドル経験がないため、彼女にとってFragrant Driveが初めて所属するアイドルグループということになります。

したがってこの「ふたりのストーリー」は新体制のグループのみならず三田さんにとっても人生初の持ち曲です。

ここ数年のアイドル業界はメンバーの移り変わりが激しく、惜しまれつつ卒業した人があくる月には別グループで活動を始めているなどということがよくあります。
アイドルとして生まれ変わるという意味で「転生」と表現されますが、転生が目立つ中にあってアイドル1年生である三田さんは、何もかもに対して新鮮さをもって受け止めるアイドルの姿を見せてくれる貴重な存在です。

三田さんは「ふたりのストーリー」で重要なパートの多くを担当していますが、ソロパートを歌っているときは気負いが伝わってきました。
このライブ直前には気持ちがたかぶって泣いてしまったりもしたそうです。
こうした反応の裏には初めての出来事に対する喜びや緊張など、様々な想いがあるのでしょう。
そうした姿を観ていると、こちらとしても純粋さを思い起こさせてくれるような気がします。

ライブ後、三田さんはインスタにてこうつづっています。
深い思いが読み取れます。

初めてみんなと一から一緒に作り上げることができて、やっとフラドラの一員としてスタート出来たような、そんな気持ちにもなりました。
これから一人でも多くの人の力になれるよう、大切に歌って育てていきたいと思います。

ところで、「ふたりのストーリー」について、板橋さんはMCにて「これから育てていく曲」だと評していました。
まさにその通りだと思います。
これからライブで披露する回数を重ねるでしょうが、1カ月後、数か月後、あるいは1年後に聴いて受ける印象の振れ幅が大きい予感がします。


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現体制のFragrant Driveのライブを先頭に立って引っ張っているのが、もう一人の11月新加入メンバーである辻梨央さんだと思います。
辻さんについてここでお伝えしたいのが2点です。

一つは、高い身長や長い手足を活かした動き。
この日の会場・AKビルはさほど大きい会場とは言えませんでしたが、辻さんが動くことでより狭く見えます。
パピナ」だったか、ステージの前後をコの字を描くように移動するというフォーメーションチェンジを一人していたのですが、なにせ手足が長いのでダイナミックでした。

そして二つ目が、歌声。
辻さんはかつて、ライブごとに変化するメンバーのボーカルが見どころの一つだと言っていました。
この日もそれが現れていて、はっきりと分かる点では「Magnet」のサビ前、「この恋の行方は読めない Dark Side」のソロパートを歌うとき、「ダ」の発声では喉をつぶしにかかっているのではないかと思うほど豪快な音を出していました。
言うなれば、「ダ」に濁点がもう一つ二つつくようなイメージでしょうか。

ホークス「ダ」


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盛り上がりに関してはこのブロックが一番でした。

まずは「Melt」。
メンバーの歌声について書き進めます。

この曲、Bメロでは5人中3人のメンバーがコーラスします。
1番では「板橋さん、辻さん、片桐さん」、2番では「板橋さん、伊原さん、三田さん」という組み合わせなのですが、ここではなぜか5人全員で歌っているのかと勘違いしまうほど歌声に厚みを感じました。

とりわけ2番では、5人が円状のフォーメーションをとり、互いに向かい合ってコーラスします。
それもあってか歌っている人と歌っていない人の違いが見た目にも分かりにくく、本来マイクに乗っけていないはずのメンバーの声まで聴こえるような感じでした。

そして迎える落ちサビ、板橋加奈さんの担当パートです。

冷たい雪が唄い融ける春 やがて背中を押すかのように咲いて

ここでは、先ほどの「Everlasting First Kiss」同様、伴奏の音が全て止まった感覚がありました。

気が付けば曲にのめり込み、フレーズの切れ目で板橋さんが大きく息継ぎをするタイミングでは、こちらもそれに合わせてブレスをしてしまっていました。

春に向かい融ける雪と恋愛模様を重ねたこの「Melt」、ライブでは数カ月ぶりの披露でした。
曲のテーマと時期との相性から、夏に向かっていくこの時期のセットリストにはそぐわないと敬遠されているのでしょうが、しかし名曲と思うので冬だけ聴くのも惜しいです。
何かしら理由をつけてシーズン外のライブでも頻繁に披露してほしいと思ってしまうのは野暮というものなのでしょうか。

続く明るい2曲「Evergreen」と「Growing Up」では、「Melt」でしんみりした雰囲気になったからこそより解放感に溢れます。

特に「Growing Up」、「あの空を駆ける風が運ぶ未来」の歌詞に合わせ、空を見上げるように斜め上を指す動作の時に、大きな波が訪れたように感じました。
フロアとステージの呼吸が重なり、月並みですが会場の一体感を生んでいました。

今思うと、この「Melt」~「Evergreen」~「Growing Up」という曲の流れは、雪解けとともに冬をこえて(「Melt」)、永遠に枯れぬ葉となり(Evergreen)、やがて実を結ぶ(Growing Up)という一編のストーリーを表現していたのかもしれません。

「Growing Up」までで本編は終了し、アンコールで出てきたメンバーは再度「ふたりのストーリー」を披露してライブの幕が降りました。

この曲の直前にひとくだりあったので、ここにも触れます。
ライブもこれで最後ということで、もう一盛り上がりを作るべく板橋さんが「もっと盛り上がれるー?」とフロアを煽ってきました。
それに合わせてこちらも拍手でこたえたのですが、ここで口を挟んだのが辻梨央さんでした。
アオリに対して返ってくる拍手の量に物足りなさがあったしょう。
板橋さんのアオリに被せ、「(ファンは)もっとできる子たちだから!」と仕切り直し、さらなる拍手を煽っていました。
ここの流れは言葉に落とし込むとおかしな感じになるのですが、とにかく辻さんの笑いに落としつつこちらを乗せる感じは素晴らしかったです。

ここまでがライブレポになります。
非常に楽しかったのですが、それにしても60分はあっという間です。
時間の都合上仕方のないことですが、披露されなかった曲もいくつかありました。
簡単には出来ないことを承知していますが、次回以降のワンマンライブ開催も期待しています。

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ここからはライブと直接の関係がないことなのですが、最後の最後に少し書いておきたいことがあります。
この単独公演から数日後、「HADO アイドルウォーズ」にてFragrant Driveが優勝、賞金100万円を獲得したという出来事がありました。

HADOというのはARスポーツの一つで、頭にヘッドギアみたいなものと腕にセンサーを装着して相手とエナジーボールをぶつけ合っ下に公式ルール動画を掲載します)。

体格や身体能力といった生まれ持った個人差はさほど勝敗に寄与せず、誰でもできるところがHADOの魅力とのことです。
連携や立ち回りなどに神経を使うのでしょう。
とはいえ過去HADO経験のあるアイドルの方は「80秒の試合を一回しただけで筋肉痛になる」と言っていましたし、何回も試合を重ねる上では体力勝負な面も大いにあるのだと思いますが。

そんなHADOで、様々なアイドルグループがトーナメントを争う「HADOアイドルウォーズ」という大会がこの4月から週3くらいで開催されており、それにFragrant Driveも頻繁に参加しています。

この「アイドルウォーズ」、全4グループで競うトーナメントで優勝するとその証として「シルバーライト」を獲得、これを5本獲得する、したがってトーナメントで5回優勝すると「ゴールドライト」と同時に「ラスボス」への挑戦権を獲得、そしてラスボスにも勝つとなんと賞金100万円(!)を獲得できるという、夢のような大会です。

Fragrant Driveは先日の大会までで既に4本シルバーライトを獲得しており、ゴールドライトに王手をかけて臨んだこの日に見事優勝、その勢いのままラスボス戦にも勝って100万円をさらっていったのでした。
その試合の模様がこちらです。

文字ではこう簡単に書いてしまえるのですが、こんな言葉で終わらせてはいけないほどその戦いぶりがすごかったです。

アイドルウォーズは、各グループの選抜メンバー2人による2対2の対戦形式となっているのですが、この日のFragrant Driveチームの組み合わせは板橋加奈さんと辻梨央さんでした。
現在同居しているふたりの息はまさにぴったりで、縦横の動きなどはバドミントンやテニスなど球技でのダブルスのそれとしか見えませんでした。

その連携により、ゴールドライトをかけて臨んだPLUMAGE戦はコールドゲームほどの点差をつけたまさに「横綱試合」で勝ちきり、ラスボス戦でもリードを終始保って逃げ切りました。

この試合を観ているときは、思わず声がもれてしまうほど興奮してしまいました。
大げさとは思いつつも、この興奮は2009年のWBC決勝の韓国戦のそれに似ている気がします。

しかし、そんな横綱試合をしたメンバーも、初めから強かったわけではありません。
アイドルウォーズの模様は、YouTubeにアーカイブが上がっていますが、Fragrant Driveが初めて参加した時と100万円獲得時の試合ぶりを比較してみると、動きのスムーズさががまるで違うことがわかります。

普段のライブでのパフォーマンスやそれに向かう姿勢など、Fragrant Driveメンバーを見ていると「自分も頑張ろう」という気持ちにさせてもらえるのですが、このアイドルウォーズにてラスボスに勝利した直後に泣いている辻さんと板橋さんの姿を見ても、よりその思いは増しました。

さて、獲得した100万円の使い道についてですが、グループの活動に充てることはもとより、ふたりの個人的な願いとしては同居中のおうちに机を買いたいとのことでした。
どうやら現在、ふたりのおうちでは段ボールを食卓代わりにしているそうなのですが、100万円もあれば北欧の一点ものアンティークを揃えられそうな気がします。

単独ライブが成功裏に終わったこともあわせ、非常におめでたい数日間でした。

見出し画像:Fragrant Drive公式ツイッターアカウント(@FD_LTG)画像を改変


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