【ライブレポ】東京アイドル劇場 Fragrant Drive公演(2022/3/6)
3月6日(日)、5人組アイドルグループ・Fragrant Driveが、御茶ノ水・YMCAホールにて開催の「東京アイドル劇場」に出演しました。
このライブから2週間後、3月21日には、その日をもってグループを卒業する伊原佳奈美さんと三田のえさんのファイナル公演が開催されます。
YMCAホールにこの5人で立つのは、この日が最後でした。
2020年11月の新体制発足からこの日まで、前体制でもですがFragrant Driveは東京アイドル劇場にかなりの頻度で出演してきました。
先日、Fragrant Driveは音楽メディア「GALPO!」が主催する「GALPO! LIVE SHOW」という全7回のライブシリーズのレギュラー出演を終えたばかりですが、「アイゲキ」の出演数は7回どころの話ではありません。
いくつものグループが入れ替わり立ち替わり出演し、数回出演でご無沙汰になってしまうグループも多くあるアイドル劇場の中で、Fragrant Driveは長いことタイムテーブルに名を連ねています。
出演ペースは、さながら隔週レギュラーかのごとくコンスタントです。
個人的にも、アイドル劇場は思い入れが深いライブです。
Fragrant Driveを初めて生で観たのはここですし、アイドル劇場でしかFragrant Driveのライブを観なかった時期もありました。
他の対バンライブに行きたくなかったわけではなく、一時期は2週間に1回くらいのペースでタイムテーブルに必ず名前があり、ルーティンライブとして予定が組みやすかったこと、アイドル劇場はステージごとに完全入れ換え性をとっており、何組ものアイドルが出演するものの実質単独ライブという形式になっていること、さらには公演時間が30分であり長めに楽しめることなどがその理由でした。
今思うと、何も考えないでよかったあの頃がどれほど恵まれていただろうかと思います。
コロナ禍となってからのアイドル劇場の会場は、ここか高田馬場かどちらかでしたが、多く開催されていた分、思い入れはYMCAホールのほうに分があります。
今、一つの区切りに立ち会ってしまったのだなと思うと、書いているそばから急に寂しさが襲ってきました。
さて、ライブの内容に入っていきます。
この日は制服公演ということになっており、メンバーはいつもの真っ赤な衣装ではなく制服を着てのライブでした。
制服のデザインにはそれぞれの趣向が出ており、例えばコスプレ風に寄ったものだったり、実際に高校時代に着ていたブラウスを着てリアルに近づけたり、新入生風だったりとバラエティー豊かでした。
開演時間となりメンバーがステージに上がる直前、いつもならovertureが流れ始めます。
でもこの日聞こえてきたのは、学校のチャイムの音でした。
なんだかこの音を聞くとライブというより学園ものの寸劇でも始まるのかなという気になってきます。
◆セットリスト
Snow Dust
そよ風のソーダ
ガルスピ
Evergreen
I'm a Dreamer (現体制初披露)
キミのもとへ
ここのところよくかかる曲をはずしてきたようなセットリストでした。
ド定番といってもいい「胸の奥のVermillion」「恋花」「ふたりのストーリー」のうち一曲も入っていないというのは、直近数カ月ではほぼ無かったのではないでしょうか。
全体的に心地いい風が吹き抜けていくような曲ばかりです。
制服ライブだということとも無関係ではなさそうで、例えば「Evergreen」や「ガルスピ」のMVには制服を着たメンバーが踊るカットがあり、「キミのもとへ」には卒業後に学生生活を回想するような言葉の数々が見られます。
この日一曲目は、「Snow Dust」でした。
歌いだしは三田のえさんです。
正直、この日のライブの印象のほとんどは三田さんの歌声に持っていかれました。
ある時から、三田さんの歌が抜群に良くなったと感じていました。
数週間前に卒業を発表し、さよならへのカウントダウンが始まってからも、行き止まりを知ることなく歌唱力を上げています。
増した声量に、外さない音程ということはもちろんのこと、それ以上に、声の引き出しが多彩になったような気がしています。
この日聴こえてきた歌声も、今までとは違うタイプに聴こえました。
「今まで」の一例を挙げるとすると、印象的なのが昨2021年11月に渋谷・SpaceOddにて行われたライブの一曲目「眠れる姫にくちづけを」でのソロパートです。
この時の三田さんの窮屈そうな、絞り出すような歌い方は、タイトロープの上を渡り切るかのようです。
幻想的な、魔法のかかった曲の雰囲気と符合していました。
一方この日耳にしたのは、11月からはがらりと変わって角が取れたように柔らかい歌声です。
声質としてはまるで別物のようでした。
ただ三田さん曰く、どうもこのYMCAホールYには苦手意識があったようでした。
最後の最後の舞台で多少の手ごたえを掴み、いい思い出として終えられたかどうかは本人のみ知るところですが、受け手の感想としては素晴らしかったとだけ書いておきます。
三田さんは卒業後は個人で活動していくとのことで、恐らくライブアイドルからは離れていくのだと思います。
本人に読まれることもあると分かっていながらこういうことを書くのもどうかとは思いますが、せっかく仕上がった歌を聴く機会は、卒業してからもどこかで作ってほしいものです。
そして、一番制服姿が似合っていた伊原佳奈美さん。
彼女もまた、間もなく卒業してしまいます。
「Evergreen」は、伊原さんと板橋さんにとっては合併前の前身グループ「Clef Leaf」時代から5年間も歌ってきた、思い入れの深い曲でした。
落ちサビのソロパートを歌うとき、伊原さんはいつものごとく数秒ごとにフロアへの視線を変えながら、活動の集大成のような充実した歌声を響かせていました。
この日制服=学校にちなんだ演出は、開演のSEだけではありませんでした。
MCで自己紹介をしたときでした。
上手端に立ってトップバッターで挨拶をする板橋さんが、「保健委員の板橋加奈です!」と言いだしたのでした。
学校ということで、それぞれこの日限りの●●委員みたいな設定をつけるのかな、なんだか初期の転校少女*みたいだな..と思っていたのですが、委員会設定は板橋さんだけの様で、辻さんはあまり学校に来ないキャラ、三田さんに至っては「新入生」と、なんとなくそれぞれの普段のキャラと通じるような設定をつけていました。
このキャラ設定は告知コーナーでも活かされていて、辻さんを除く4人が出演する個人撮影会をお知らせするときに、一人だけ出ない辻さんに触れ誰かが「普段学校来ないから..」と言いだし、ゲームばっかしてて学校に来ないキャラとあわせてうまく落としていたところが面白かったです。
楽しい時間を過ごしながらも、一方でもうすぐ現体制が終わってしまうという寂しい事実も常に頭の中にあります。
「あと●●回しかない」
そんな声があちこちから聞こえてきました。
伊原さんと三田さんがいるライブはもう片手程度しか残されていません。
あと一本ある平日のライブに行けるかどうかはタイムテーブルしだいとしか言えませんが、できる限り5人での姿を書きとどめておきたいと思っています。